数々のヒット商品を紹介しつづけてきた『DIME』は、2026年春に40周年を迎える。そこで2025年11月14日に発売したDIME1月号では「【完全保存版】僕たちを夢中にさせたヒット商品クロニクル」と銘打ち、創刊となった1986年前後を基軸に、時代を彩ったエポックメイキングなモノ&サービスを振り返る特集を展開した。そこから見えてきたのは、ユーザーの「暮らしを便利にしよう」「楽しくしよう」という作り手たちの〝思い〟だった。
本記事では今年シェーバー事業70周年を迎えたパナソニックを取材、同社は手のひらサイズの新発想シェーバー『ラムダッシュ パームイン』 シリーズが絶好調。2人の担当者と歴史を振り返った。

日本・彦根の工場でものづくり!
シェーバー界のゲームチェンジャー
1955年 電気シェーバー第1号機誕生!

『MS10 電気シェーバー第1号機』
当時の松下電工社長がアメリカ視察で出合った電動シェーバーに衝撃を受け、開発を決意。ここからシェーバーの歴史が幕を開けた。
ラジカセ、ザウルス、ゲームボーイ、あの頃夢中になったアイテムが勢揃い!DIME最新号の大特集は「ヒット商品クロニクル」
数々のヒット商品を紹介しつづけてきた『DIME』は、2026年春に40周年を迎えます。そこで今月発売のDIME最新号は「[完全保存版]僕たちを夢中にさせたヒット…
1995年 リニアモーター搭載

『ES881 リニアスムーサー』
同社初となるリニアシェーバー。往復3枚刃、12000ストローク/分、とかつてない早剃りを実現。価格は3万3000円と高価ながら好評を得た。
2002年 『ラムダッシュ』 として鮮烈デビュー

『ES8093 3枚刃ラムダッシュ』
初代『ラムダッシュ』は30°鋭角内刃、全方位フロートヘッド、ダイレクトリニアドライブ、という3つの〝世界一〟の技術をたずさえてデビュー。
2007年 4枚刃でさらなる深剃りに

『ES8259 4枚刃ラムダッシュ』
〝早剃り〟から〝深剃り〟へと進化。ヘッドに4枚刃を収納し、ストローク数も14000/分にスピードアップを果たした。
2011年 ついに5枚刃へ

『ES-LV90 5枚刃ラムダッシュ』
第3世代はついに5枚刃化。肌への接触面積が増えたことで肌への圧が減少。ソフトな肌あたりながらしっかりと剃れるよう進化。
2020年 スキンケアという概念をプラス

『スキンケアシェーバー ラムダッシュ ES-MT21』
スキンケア機能を積んだ新提案シェーバーが誕生。ヘッド部に搭載されたイオンプレートにより、化粧水の保湿成分を角質層まで浸透させる。
2023年 新定番の手のひらサイズ

『ラムダッシュ パームイン ES-PV6A』
2025年 シェーバー事業70周年でカラバリ豊富に

『ラムダッシュ パームイン ES-PV70』
手首や指先の感覚を使って、なでるように剃る時代が到来。ミネラル成分から生まれた素材のボディーは陶器のような触り心地。今年は70周年スペシャルカラーも登場。
彦根メイド『ラムダッシュ』のココがすごい

ラムダッシュの5枚刃ヘッドを搭載。スムースローラー搭載により肌への摩擦を軽減。

手のひらに収まるコンパクトさがウリ。本体質量は約145gと軽く持ち運びにも便利。

『ラムダッシュ』史上最速となるリニアモーター駆動で、「濃い・太い・くせ」ヒゲも逃さない。
1986年 DIME創刊の年は「万年筆型シェーバ-」なんて遊び心ある挑戦も!

バブルど真ん中の1986年! この時期はシェーバーにも遊び心が!? 『万年筆型シェーバーES590A』はナショナル伝統の回転刃シェーバー。単3電池1本使用。
「リニアで行くぞ!」と腹を括ったところが出発点
清水 「パナソニック初となる電気シェーバー発売は1955年。日本人の多くがカミソリを使用している中、わずか3分でヒゲ剃りを完了させることができる、と大きく話題に。その後、様々なモデルを開発・提案して、1995年に現在の主流をなすリニアシェーバーが生まれました」
田中 「初代リニアシェーバーは往復3枚刃の高速リニアモーター駆動で、価格は3万3000円と高価だったのですね」
清水 「はい。余談ですが初代リニアのモーターと回路の生産はコスト面でも苦労したそうです。往復刃、回転刃など様々なモデルを生産した迷走期(笑)も経て、『メインはリニア』とこの時には腹を括っていたのでしょうね」
田中 「その7年後の2002年には『ラムダッシュ』がデビュー。ギリシア語で『刃』を意味する『Λ』と、『鋭さ、先進性』を表す『DASH』からの造語です」
清水 「それまで声高に『リニア、リニア』と言ってきたので、それを変えるのはもったいない、という見方もあったようですが、この時点で3つの世界一の技術を有していたため『ラムダッシュでやろう!』と機運が高まりました」
田中 「3つの世界一の技術とは、『°30鋭角内刃』『全方位フロートヘッド』『ダイレクトリニアドライブ』のことですね」
清水 「特に『°30鋭角内刃』は、ステンレス素材を形成して、曲げて、熱を入れて作る鍛造刃であることから〝日本刀の製法から学んだ〟と当時よく説明したのを覚えています」
田中 「ヘッドも3枚刃から4枚、5枚と代を重ね現行は6枚刃……となると次は?」
清水 「より多枚刃へ、という考えもありつつ、より心地よく使えるのか、本当に必要かとなると話は別。6枚刃試作の際も『ヘッドが大きすぎる』という意見を受けて小さくしたら『これじゃ5枚刃と見分けがつかない』と言われたり(笑)」
田中 「災難ですね(笑)。そうした正常進化とは違うところで生まれたのが『パームイン』シリーズ。おかげさまでシェーバー事業全体を底上げするほど好評です!」
清水 「もともと2018年頃に、技術側から〝雪だるま形状のシェーバー〟を提案しました。ただし主たる想定用途は介護現場。手に近いところで剃る方が安全で扱いやすいだろう、という発想で」
田中 「試作品にデザイナーが着目してまずフォルムを造形したんですよね。『この中にメカを入れてください!』と言われた技術側は相当苦心したと聞きました」
清水 「電子基板を分割してモーターとバッテリーのすき間に入れるなど、かなり工夫しました」
田中 「剃り性能の高さに加え、天然由来素材『NAGOR®︎』を採用し、石目調を再現するなど、使う人の感性に訴える製品だと考えています。また、持ち手付きのシェーバーだと〝使ってきた製品からの買い替え〟が多かったのに対し、『パームイン』では2台目としての購入や女性からのプレゼントといった需要が目立ちます」
清水 「新たな側面でも注目していただけて、我々開発陣も嬉しい限りです。これからも歩みを止めませんよ!」

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部
パーソナルビジネスユニット パーソナルブランドマネジメント部
田中 亨さん
2020年入社。メンズシェーバー国内マーケティング担当の主務として日本のシェーバー需要や新たな提案性をリサーチ中。

パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部
パーソナルビジネスユニット パーソナル商品部
清水宏明さん
1995年入社。パナソニック彦根工場の〝Mr.シェーバー〟。エンジニアとして入社後モーター開発を経て現在は刃の開発に取り組む。
取材・文/前田賢紀 編集/髙栁 惠
DIME1月号
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