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カスハラが増加傾向の今、企業がすぐに実行すべき7つの防衛策

2026.01.04

カスハラ対策はマニュアルを整備するだけでは機能しない。現場が迷わず対応できる仕組みと、従業員を守る姿勢を企業が明確に示すことが重要。7つの対策とツールを組み合わせることで、従業員が安心して働ける環境を整えられる。

顧客からの度を越えた要求や理不尽な言動によって、従業員が精神的負担を抱える「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が深刻化している。サービス業に限らず、法人営業やサポート窓口など、あらゆる業種で発生しているのが実情だ。従業員を守ることは企業の責任であり、適切な対策を講じることで離職防止や職場環境改善にもつながる。

本記事では、初動対応から再発防止策まで、企業がやるべきカスハラ対策を7つに整理して解説する。すぐに導入できる具体的なツールも紹介するため、社内整備の参考にしてほしい。

カスハラ対策が求められる背景と企業のリスク

カスハラの問題は年々増加傾向にあり、企業にとって看過できないリスクとなっている。まずは背景とリスクを押さえておくことが重要である。

■カスハラ増加の背景

近年、顧客側が強い立場にあるという意識が広がり、過剰な要求が生まれやすい状況になっている。特に以下の社会的変化が背景にある。

  • 「お客様は神様」という風潮が長く続いたこと
  • SNSにより苦情や不満が拡散しやすくなったこと
  • 競争激化により過度な顧客満足至上主義が生まれたこと

これらが、企業側が強く言い返しにくい構図を形作っている。

■企業が受ける具体的なリスク

カスハラを放置すると、組織に深刻なダメージを与える可能性がある。

  • 従業員の心身の不調・休職・退職
  • 労災認定や訴訟リスク
  • サービス低下による顧客離れ
  • 企業ブランドの毀損

従業員の安全配慮義務を果たすためにも、企業としての対策が欠かせない。

企業がやるべきカスハラ対策7選

カスハラ対策は、マニュアル整備だけでは不十分である。現場が迷わず対応でき、組織として守れる体制づくりが重要だ。ここでは企業が取り組むべき具体策を紹介する。

■1.カスハラの定義を明確化し社内で共通認識を持つ

「どこからがカスハラに当たるのか」を曖昧にしたままでは、現場での判断に迷いが生じる。

(行うべきこと)

  • カスハラに該当する言動例を整理し、社内に周知する
  • NG行為、注意喚起対象行為、指導対象行為を分類する
  • 文書化し、採用・研修時に共有する

■2.初動対応フローを整備して迷わず動ける体制を作る

問題発生時に、誰がどのタイミングで対応するかを明確にすることで、現場の負担が減る。

(フロー整備のポイント)

  • 対応の基本手順(一次対応→上長報告→判断→必要時エスカレーション)
  • 警察・弁護士への相談基準を明確化
  • 想定問答集やトークスクリプトを用意する

■3.相談・報告しやすい社内窓口や制度を整える

「報告すると自分が責められるのでは」という心理を取り除く仕組みが重要である。

(制度設計の例)

  • 匿名でも相談できる窓口を設置
  • 専用フォームやチャット窓口を用意
  • 報告時の記録テンプレートを用意し、負担を軽減する

■4.マニュアルだけでなく実践トレーニングを行う

マニュアルを読むだけでは習得は難しい。現場で使えるスキルとして身につける必要がある。

(効果的な研修例)

  • 役割演習(ロールプレイング)
  • 想定ケースごとの回答例共有
  • メンタルの保ち方・受け流し方のトレーニング

■5.悪質行為には毅然と対応し法的措置も視野に入れる

顧客だからといって、ハラスメント行為を容認する必要はない。従業員を守る姿勢が重要である。

(毅然とした対応のポイント)

  • 注意・警告を段階的に行う
  • 改善が見られない場合はサービス提供を中止
  • 威力業務妨害や強要に該当する場合は警察・弁護士へ相談

■6.記録(エビデンス)管理を徹底する

事実を正確に残すことで、後の判断材料となる。

(記録に残すべき項目)

  • 日付、時間、担当者名
  • 発言内容・状況・相手の反応
  • 社内報告日時と対応内容

記録は再発防止の教材にも活用できる。

■7.従業員のケアとアフターフォロー制度を用意する

カスハラ被害を受けた従業員のケアを怠ると、深刻な離職につながる。

(フォロー例)

  • 面談や相談機会を設ける
  • 評価への影響を排除する仕組みを明確化
  • 心理的安全性を守る組織文化を醸成する

カスハラ対策に有効なツール紹介

体制整備だけでなく、ツールを活用することで負担を大きく軽減できる。ここでは具体的なサービスを紹介する。

■通話内容の記録を残すツールやアプリ

通話でのカスハラは、録音しておくことで証拠確保や社内振り返りに役立つ。

活用できるツール例

  • KDDI「Voice Viewer」
KDDI「Voice Viewer」のWeb画面

参照:KDDI株式会社

  • TIS「CTIクラウド」
TIS「CTIクラウド」のWeb画面

参照:TIS株式会社

  • Power Harassment Recorder(iOSアプリ)
Power Harassment RecorderのAppStoreの画面

参照:AppStore

(導入時のチェックポイント)

  • 録音データの保管期間とアクセス権限
  • 法律に配慮した告知文の準備
  • 研修や振り返り材料としての活用方法を決める

■カスハラ対策に有効なその他のツール

録音以外にも、カスハラ抑止・教育・分析に役立つツールがある。

  • SoftBank「Soft Voice(怒り声を穏やかな声に変換するAI)」
SoftBank「Soft Voice」のWeb画面

参照:Soft Bank Corp. 

  • Fujitsu「AIカスハラ対応トレーニング」(仮想体験型研修)
Fujitsu「AIカスハラ対応トレーニング」のニュース画面

参照:富士通株式会社

  • Eラーニング教材や社内研修プログラム など

行政・法的ガイドラインと企業が知っておくべきポイント

国や自治体もカスハラ対策を推進しており、企業はこれらのガイドラインを理解しておく必要がある。

■厚生労働省や自治体が示すガイドライン

国は「パワハラ防止法」の中で、顧客からの著しい迷惑行為に対して企業が対策を講じる努力義務を求めている。東京都や大阪府なども支援サイトやガイドラインを公開している。

厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルの画面

参照:厚生労働省

東京都のカスタマーハラスメント防止対策推進事業のWeb画面

参照:東京都

■法的観点と外部専門家の活用方法

以下の観点を押さえておくとよい。

  • 企業は従業員の安全配慮義務を果たす必要がある
  • 悪質なケースは威力業務妨害や暴行罪などに該当する可能性がある
  • 弁護士・社労士と連携すると社内体制が整えやすい

まとめ

カスハラ対策は紙のマニュアルを整備するだけでは機能しない。現場が迷わず対応できる仕組みと、従業員を守る姿勢を企業が明確に示すことが重要である。本記事で紹介した7つの対策とツールを組み合わせることで、従業員が安心して働ける環境を整えられるはずだ。今日から取り組める対策から一つずつ進め、継続的に見直すことで、カスハラに強い組織づくりが可能となる。

本記事の内容を以下で簡単におさらいしよう。

  • 背景とリスク
    • 「お客様は神様」風潮やSNS拡散で過度な要求が増加
    • 放置すると従業員の不調、退職、労災、ブランド毀損につながる
  • 企業が取るべき7つの対策
    • カスハラの定義を文書化し共有
    • 初動対応フローを整備(一次対応→上長→判断)
    • 匿名相談窓口・報告テンプレを用意
    • ロールプレイングなど実践研修
    • 段階的注意→提供停止→法的措置
    • 日時・発言内容など記録徹底
    • 被害者へのフォローと安全な環境づくり
  • 有効ツール
    • 録音ツール(KDDI Voice Viewer/TIS CTIクラウド/iOS録音アプリ)
    • AI分析、Eラーニング、抑止掲示物
  • 行政ポイント
    • パワハラ防止法で対策は努力義務
    • 悪質例は警察・弁護士と連携が有効

構成/編集部

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