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「メルカリ ハロ」はなぜ終了した?メルカリが新戦略「越境取引」で狙う次なる市場

2025.11.27

12月18日にスキマバイトサービス「メルカリ ハロ」が終了します。

市場を席捲する「タイミー」の強力なライバルと見られていましたが、メルカリはまさかの完全撤退を宣言しました。

次なる成長戦略として打ち出したのが越境取引。円安という追い風が吹いている領域です。

サービス開始から1年半で撤退を決断

「メルカリ ハロ」は2024年4月にサービスを開始し、今年6月には登録者数が1200万人を超えています。終了を決めた理由として、会社は「競争激化や新たな規制、不正対応への負担増加などの業界環境の変化」を挙げました。

1200万もの登録者数を持ちながら、事業売却ではなく撤退を選択していることから、事業の存続に困難を抱えていたのでしょう。

「メルカリ ハロ」は、「タイミー」などと比べて求人数が少ないという声が少なくありませんでした。特にメルカリが事業者からの利用料の徴収を始めた2025年4月1日以降、更に数が減った印象があります。

スキマバイトサービス市場はここ数年で急成長しました。そして数多くの競合も誕生しました。しかし、ほとんどのサービスは人材派遣や求人サイトを運営する会社のもの。「シェアフル」は総合人材サービス大手パーソルホールディングス、「スポットバイトル」はアルバイト情報サイト「バイトル」の運営会社。「LINEスキマニ」はLINEヤフーですが、「LINEキャリア」という求人サービスも提供しています。

スキマバイトサービスは「タイミー」が市場を開拓し、物流会社や飲食店などを中心とした数多くのクライアントを獲得。先行者利益を得ました。後発組の多くは人材不足に悩む企業をすでに顧客として抱えていた求人情報サービス会社で、豊富な案件数を持つスキマバイトサービスを立ち上げ、登録者の開拓を進めました。

メルカリはその逆で、圧倒的なブランド力で数多くの登録者を獲得。その登録者の多さを武器に掲載する企業を集めようとしました。それが上手くかみ合わなかったように見えます。

ところで、メルカリが突如として畑違いのスキマバイトサービスを始めたのは、なぜでしょうか?

経済圏にお金が入る仕組みを構築しようとしたメルカリ

その答えは経済圏の拡大にあります。

メルカリの事業は大きく2つに分かれます。1つはフリマアプリの運営。もう1つが金融事業です。メルカリは「メルカード」や「メルペイ」の顧客獲得を進めています。金融事業は直近四半期の売上高が142億円で、2割もの増収でした。

「メルカリ ハロ」は給与確定後、「メルカリアプリでチャージする」をタップすると、銀行口座からメルペイへのチャージができる仕組みでした。「メルカリ ハロ」の経済圏を広げることができるのです。

「メルカリ ハロ」でユーザーにお金が入る仕組みを用意し、クレジットカードなどを利用して「メルカリ」で消費するという経済圏を築こうとしたのです。

非常に優れた構想ですが、拡大するには至りませんでした。

「メルカリ ハロ」がサービスを開始したタイミングも遅かった印象があります。「タイミー」は2018年8月に市場投入していました。2024年にメルカリが本格参入したころには、すでに優秀な働き手が育っていたのです。事業者の中には、働き手に技術力の差を感じることもあったと聞きます。

高市内閣の誕生も新事業の追い風に

「メルカリ ハロ」の撤退はメルカリの成長戦略を変えました。

中期方針において、メルカリは売上の2桁成長を目指しています。2026年6月期の売上予想は上限で9%増。主力である国内のフリマアプリ、2025年7-9月の流通総額は前年同期間比で5%の増加でした。

アメリカ事業は、コロナ特需からの反動でしばらくは減収が続いていましたが、2025年7-9月は2%の増収、流通総額は0.4%増加しました。

国内は手堅く成長を続けており、アメリカも増収に転じています。しかし、中期的に2桁成長を目指す高い目標に対しては、やや弱い印象を受けます。

そうした中で打ち出したのが越境取引による成長でした。海外の顧客をターゲットとした「メルカリ グローバルアプリ」を、台湾・香港でリリース。中期的には50か国以上の国で展開する計画です。

エンタメ・ホビーに特化したUI/UXで、日本のアニメやマンガの海外ファンを取り込もうとしています。

越境取引には潜在的な伸びしろがあります。

「メルカリ」や「楽天」などで扱う商品を代理購入するBuyeeの運営会社BEENOSは2025年8月に上場廃止になりましたが、その前に開示していた2024年10-12月の越境ECサービスの流通総額は14.6%も増加していました。

この領域の一番のポイントは円安が進行していること。海外のユーザーにとって、円で取引される日本の商品は相対的に割安なのです。

高市内閣は「責任ある積極財政」を掲げています。基本路線は財政拡張であり、円安は更に進むと見られています。11月20日には1ドル157円台まで円安が進行しました。

越境取引を開始したメルカリには追い風。メルカリにとって越境取引は、畑違いのスキマバイトサービスよりも事業を進めやすいのではないでしょうか。

文/不破聡

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大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

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