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「好き」を仕事に、「生きる」をデザインする──パソナが描くウェルビーイングな働き方

2025.11.28

近年、“ウェルビーイング”を重視する企業が増える中、パソナグループが淡路島で進める取り組みは、その先端をいく示唆に富む事例であると言える。

近年ではリモートワークやワーケーションの浸透も追い風となり、都市と地方を往復する「二拠点ワーク」を選ぶ社員も増加傾向にある中、淡路島への本社機能の一部移転を進めて以降、多様な働き方を選ぶ社員が年々増加している。

島内では、今後もウェルビーイングをテーマにした地域共創イベントやワーケーション体験プログラムが複数予定されており、「働く」と「暮らす」をシームレスに結ぶ新しいモデルが形になりつつある。

自然豊かな環境のもと、社員一人ひとりが自分らしく働き、生きることを体現し、アートやエンターテインメントを通じて地域と共生を目指す―。その実践が今、大きな注目を集めているのだ。

では、その具体的な事例を見ていこう。

エンタメで「働く」を叶える ― 地方に生まれた新しい職業モデル

エンターテインメント業界でプロとして生計を立てられるのは、ほんの一握り――。

そんな厳しい現実に反し、地方にいながらエンターテインメントで働ける仕組みづくりを進めているのが「Pasona Awaji Art & Entertainment」の取り組みだ。

「雇用創造」「公演制作」「人材育成」という3本柱のもと、約150名のアーティストやスタッフが正社員・契約社員として淡路島に在籍。日々の舞台公演や作品制作、教育プログラムを通じて、島の文化と観光を盛り上げている。

まさに“好きなことを仕事にする”を現実にした、新しいキャリアの形だ。

「Pasona Awaji Art & Entertainment」では、世界中のアーティストが集い、複数のプロジェクトが同時進行で展開されている。

バレエダンサー針山愛美氏が率いる「Pasona Awaji World Ballet」では、ウクライナの国立バレエ団のダンサーをはじめ世界で活躍するプロが在籍。日本の民話をモチーフとした作品を制作し、淡路島発の文化発信を続けている。

また、オペラ歌手・藤井泰子氏が率いる「PASONA AWAJI OPERA COMPANY」では、島民合唱団とともに19年ぶりとなる「淡路第九」を実現。2025年にはバレエとの共演による「カルメン」公演も実施。

そのほか、イタリア、シチリア島でのコンペティションで世界2位の快挙を成し遂げた太鼓集団 鼓淡(こたん)、音楽を通じた地方創生事業を目指し現在60名の音楽家が在籍するパソナ音楽島プロジェクト、そして世界760組以上のアーティストが参加する国際フェス「Awaji Art Circus」など、多彩なプロジェクトが淡路島を舞台に繰り広げられている。

また、今年の10月に閉幕をした大阪・関西万博では、各プロジェクトが様々な文化交流を通じ、各国パビリオンと演奏によるコラボレーションや、EXPOナショナルデーホール レイガーデンにて特別講演等を実現。「淡路島から世界へ」をキーワードにPasona Awaji Art & Entertainmentの新しい可能性を展開し、更なる活動を広げている。

これらの活動は、単なるエンターテインメントにとどまらず、地域文化の再生と国際交流のハブとしての役割を果たしている。

“ハイブリッドキャリア”という働き方の進化

淡路島で暮らしながら舞台や音楽、デザイン、制作などの活動に従事しつつ、都市部でのプロジェクトやオンライン公演にも携わる。

「地方で働く」でも「東京で働く」でもない。

自らの感性と専門性を活かしながら、働く場所も表現の場も自在に選ぶ。

正に、アートとエンターテインメントを軸にしたハイブリッドキャリアの創造である。

その自由度こそが、ウェルビーイングな働き方の核心にある。

淡路島の自然、地域の人々、そしてアーティストたちの情熱が共鳴し合い、島全体がひとつの「生きた舞台」として進化している。

観客も出演者も、そこに関わるすべての人が“心の充足”を得る――。

それはまさに、パソナが掲げる理念「真に豊かな理想の生き方・働き方の実現」を体現する現場と言える。

アートを通じて、個の輝きを社会に還元

もう一つの注目すべき取り組みが、特例子会社であるパソナハートフルによるアート活動だ。

同社では、障がいのある社員をはじめとした多様なメンバーが、絵画やオブジェなどを制作。淡路島内の施設やオフィス空間に展示し、訪れる人の心を豊かにするアートプロジェクトを継続している。

この活動の根底にあるのは、「人は誰もが自分の才能を発揮する場を持つべき」という信念だ。

日本では障害者の雇用が単純作業中心なものが多く、オフィスワークは希少である。

パソナハートフルは、アートや農業など個々の才能を活かす多様な職域を提供している。社員一人ひとりが自分の感性を自由に表現し、その創造性が周囲の人々にポジティブな影響を与える―。まさにウェルビーイングの本質を体現する試みだ。

淡路島北部のアート村では、既に200点を超え、作品数絵画展示のほか、ワークショップや地域住民との交流イベントなども行われ、アートが人と人をつなぐハブとなっている。

同社が運営する和食レストラン「青の舎」に展示されている作品群。

“働くこと”を、もっと幸せなものへ

「働く」と「生きる」の境界が曖昧になりつつある現代。

パソナの淡路島の事例は、企業が果たす社会的使命と、個人の幸福のバランスを模索する“新しい時代のモデルケース”としてより注目されていくことだろう。

都会のスピードから少し距離を置き、自然と人とのつながりの中で、心身ともに満たされた働き方を選ぶ。そこには、同社が掲げる「真に豊かな理想の生き方・働き方の実現」

次世代の働き方を導く指針として、この取り組みが広く浸透し、より多くの人々の生き方や価値観に良い影響を与える日が近いことを心より望む。

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