AIの普及に期待が高まる一方で、実際の業務ではいまだに活用が限定的と言われている。メールDXツール『yaritori(ヤリトリ)』を提供するOneboxは、『yaritori』を通じて働く環境やビジネスコミュニケーションのあり方の変化を明らかにする目的で、2024年より「ビジネスメール実態調査」を行っている。
その最新版では。AIがメール対応に与える影響に関する設問を追加して実施し、結果を『ビジネスメール調査2026』として公開した。もっとも基本的なビジネスツールのひとつである「メール」は、今回の調査ではAI活用で業務の効率化が進んでいない実態が見えたという。
メールがもっとも利用するコミュニケーション手段と7割が回答
・仕事上で利用しているコミュニケーション手段を全て教えてください。(複数回答可)
・選択したコミュニケーション手段の中で「一番」利用するものを教えてください。
今回の調査では、仕事上でよく利用しているコミュニケーション手段でもっとも多かった回答は「メール」だった。普段からメールを使っているビジネスパーソンは約7割で、そのうち一番利用するコミュニケーション手段としてメールを挙げた人は55.5%だった。
ビジネスチャットや新しいコミュニケーションツールが次々と登場する中で、いまだにメールが利用され続けている実態がわかった。
メール作成・返信に5分以上かける人が3割超
・メール1通あたりの作成・返信にかかる平均時間を教えてください。
・「5分以上」を選択された方へ。作成・返信に時間がかかる理由を教えてください。(複数回答可)
メールの作成・返信にかかる時間では、「5分以上」と回答した割合は3割以上で、昨年の調査と同様の結果になった。業務効率化を多くの企業が重要なテーマとしているが、メール対応にかかる時間は依然として減っていない現状があった。
さらに「5分以上」と回答した人の約6割は、文章の推敲に時間を要していると回答している。メール文面の作成・推敲は生成AIの得意分野なので、AI活用による効率化の余地はありそうだ。
メール対応でAIを使わない人の理由は「使わないほうが早くて正確」が最多
・メール対応にAIを活用していますか?
・「(メール対応にAIを)活用しない」と回答した方へ質問です。その理由を教えてください。(複数回答可)
メール作成・返信に時間がかかっているにも関わらず、AIを活用して効率化を進めている人はまだ少数派のようだ。メール対応へのAI活用については、「活用しない(週0日)」と回答した人が半数を超える結果になった。
AIによる業務効率化が進んで「AIエージェント」などの活用が注目を集める中で、「ほぼすべてのメール業務で活用している(ほぼ毎日)」と回答した人は全体の18.2%しかいなかった。
活用しない理由としては、「使わないほうが早くて正確」(35.19%)がもっとも多く、それに「使い方がわからない」(34.26%)が続く。AIの普及が進む中でも、依然として業務レベルではAIを活用しきれていない実情がありそうだ。
メール業務へのAI活用の最多は「下書き作成」
・「(メール対応にAIを)活用する」を回答した方へ質問です。具体的にどのような作業に活用するのか教えてください。(複数回答可)
・メールにおけるAI活用の「メリット」を教えてください。(複数回答可)
具体的なAIの用途では、「メール本文の下書き」、「メールの自動返信」、「メール本文の修正」が上位だった。メール対応に必要な一連のタスクのなかで、とくに多くの時間を使う「メール本文の作成」についてはAI活用が進んでいるようだ。
AI活用をしている人からは、メリットとして「メール対応時間の削減」、「メール文面の表現の質向上」、「誤字脱字の削減」などが挙がった。
AI活用の有無によって、業務スピードや業務の質の面で差が生まれており、AI活用によって業務効率やメール品質の向上に一定の効果が出ているようだ。
今回の調査では、メール対応業務のAI活用が進んでおらず、半数以上のビジネスパーソンが活用できていないことが浮き彫りになった。『ChatGPT』や『Gemini』などが話題となる一方で、現場レベルでは「AIの使い方がわからない」や「業務で活用できると認識していない」といった人もいるようだ。
ビジネスコミュニケーションの主役はいまだにメールで、その傾向は昨年から変わっていない。AIの精度は飛躍的に向上しているが、メール作成にかかる時間が減っていないことは、AIの活用の遅れが推察される。
AIを活用している人からは「対応時間の削減」や「文面品質の向上」といった効果の声が多く、メール業務へのAIの実践活用は、今後の働き方の効率化や質の向上を支えるカギになりそうだ。
『ビジネスメール調査2026』概要
調査対象:20歳~59歳の会社員(20代76名、30代76名、40代76名、50代72名)
調査期間:2025年10月8日
回答者数:300名
調査方法:インターネット調査
構成/KUMU







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