経済産業省は、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を「社会人基礎力」として定義して、3つの能力と12の能力要素を挙げている。
総合人材情報サービスのアイデムは、2025年9月に総合求人サイト『イーアイデム』を通じて求人に応募した会員を対象に、求職者の自己評価や仕事探しに関する調査を実施した。
パート・アルバイトを希望する理由では、半数以上が「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」と回答し、一方で正社員を希望する理由では、半数以上が「将来にわたって安定して働きたいから」と回答した。
・回答者プロフィール
社会人基礎力の自己評価で規律性に自信がある人は半数以上
<社会人基礎力12の能力要素>
主体性:物事に進んで取り組む力
働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
実行力:目的を設定し確実に行動する力
課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
創造力:新しい価値を生み出す力
発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
傾聴力:相手の意見を丁寧に聞く力
柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
状況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
規律性:社会のルールや人との約束を守る力
ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
求人に応募した人に自分の社会人基礎力をどう評価するか質問すると、「かなり自信がある」の割合がもっとも高かったのは「規律性」で半数以上だった。それに「傾聴力」(36.3%)、「柔軟性」(29.7%)が続いた。
「まったく自信がない」の割合がもっとも高かったは「働きかけ力」の4.0%で、2位は「想像力」と「ストレスコントロール力」(各3.2%)、3位は「計画力」(3.0%)という結果になった。
2020年11月に実施した調査での同様の質問と「かなり自信がある」と「まあまあ自信がある」の合計で比較すると、12の能力要素に大きな傾向に変化は見られなかったが、2020年11月調査時よりも2025年9月調査時のほうが高い割合になっている能力が多かったという。
最近の求職者傾向では、約5年前の求職者よりも自分の社会人基礎力に自信がある人が多いようだ。5年前は新型コロナウイルス感染状況が深刻で活動が制限されていた時期だったので、活動量の増加が自信につながっているのかもしれない。
能力要素別では、「ストレスコントロール力」の「自信がある(「かなり自信がある」と「まあまあ自信がある」の合計)」は2020年11月調査時は57.0%だったが、2025年9月調査時は70.1%で13.1ポイントも高くなっている。
ほかにも「計画力」、「想像力」、「発信力」も5ポイント以上割合が高くなった。一方で「主体性」、「実行力」、「傾聴力」、「柔軟性」、「状況把握力」、「規律性」は、5年前の結果と大きな差はなかったという。
パート・アルバイトを希望する理由の半数以上は都合のよいタイムタイミングで働きたい
求人に応募したパートまたはアルバイトを希望する人に、希望した理由を質問すると、もっとも多かったのは「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」(53.4%)だった。それに「生活との両立を図りたいから」(36.6%)、「すぐに働き始めたかったから」(25.1%)が続いた。
性別でみると男性のほうが女性よりも「気楽に働きたいから」が12.2ポイント、「一定期間で計画的に働けるから」が10.2ポイントも高かった。計画的に無理のない範囲での就労を希望する人が多い印象だ。
女性のほうが高かったのは、「扶養の範囲内で働きたいから」(12.9ポイント)、「生活との両立を図りたいから」(8.7ポイント)だった。
正社員を希望する半数以上は将来も安定して働きたい
正社員雇用希望で求人応募した人の理由では、もっとも多かったのは「将来にわたって安定して働きたいから」(52.5%)だった。それに「社会保険に加入できるから」(39.3%)、「ほかの雇用形態より社会的な信用度が高いと思うから」(27.9%)が続いた。
性別でみると男性のほうが女性よりも「社会保険に加入できるから」は30.6ポイント高く、「自身のキャリアを維持・向上したいから」も22.6ポイント高かった。さらに「ほかの雇用形態より社会的な信用度が高いと思うから」も18.4ポイントも高かった。女性のほうが5ptポイント以上高くなった項目はなかったという。
男性は、保障や成長できる環境のほかに、雇用形態からイメージされる周囲の印象も重要と考えているようだ。
「社会人基礎力」の自己評価では、「かなり自信がある」の割合の上位は「規律性」、「傾聴力」、「柔軟性」という結果だった。一方で「まったく自信がない」の割合が高かったは「働きかけ力」、「想像力」、「ストレスコントロール力」、「計画力」といった自発的な思考が必要なことだった。
正社員を希望する人は、安定性や社会的信用度を重視しており、求職者が全体的に保守的で安定志向ということが推測できる結果だった。
「2025年9月イーアイデム会員対象 仕事探しに関するアンケート調査」概要
調査対象:総合求人サイト『イーアイデム』の会員で2025年9月1日~2025年9月30日の期間に『イーアイデム』から求人に応募した人
調査期間:2025年9月2日~2025年10月5日
有効回答:501名
調査方法:インターネット調査
調査主体:アイデム
※調査結果は四捨五入のために合計が100%にならない場合があります。
https://apj.aidem.co.jp/enquete/
構成/KUMU







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