近年、SDGsに対する意識の高まりから、環境負荷に配慮した製品が市場に出回るようになった。こうしたサステナブルなプロダクトは通常の商品より割高である場合がほとんどだが、実際のところ、どれくらいの上乗せ金額であれば支払う意思ありの人が多いのだろうか?
ボストン コンサルティング グループはこのほど、日本全国の15歳から69歳までの消費者を対象に実施した「サステナブルな社会の実現に関する消費者意識調査」の調査結果を発表した。
環境負荷の少ないジーンズ、洗濯用洗剤に上乗せ料金を支払う意思を調査
第10回調査では、環境負荷の少ないジーンズ、洗濯用洗剤に、消費者はそれぞれどれだけの上乗せ料金(プレミアム)を支払う意思があるかを調べた。その結果、環境負荷の少ないジーンズには約3割が10%以上のプレミアムを支払う意思を示した(図表1)。
また、環境負荷の少ない洗濯用洗剤についても、約3割の回答者が10%以上のプレミアムを支払う意思を示している(図表2)。
ただし、本調査はアンケートのため、各割合の消費者が実際にプレミアムを支払うわけではないことには留意が必要だ。
2021年のBCGのグローバル調査では、自動車、ファッション、食品、住宅、家電の5つの製品カテゴリーにおいて、サプライチェーンの脱炭素化による最終製品コストへの影響は1~4%程度という試算も示された。消費者が実際にプレミアムを支払えば、GX(グリーントランスフォーメーション)投資の回収ができる可能性があるともいえる。そのためには、上乗せ料金を支払う消費者のセグメントを精緻に特定して訴求することが重要だ。
「地球温暖化/気候変動問題を知り行動を変えた」と答えた割合は2割程度で2024年以降横ばい
「地球温暖化/気候変動問題を知って行動を変えた」と答えた割合は、第11回調査では18%となった。この割合は2021年4月から2023年7月にかけて緩やかに増加したものの、2024年1月以降の調査ではほぼ横ばいで推移している(図表3)。
また、環境負荷の少ない商品を選択したいと答えた回答者は64%で、実際に行動に移しているのはそのうち30%となった。
実際に環境負荷の少ない商品を選択している理由の1位は「最近の暑さ/寒さなど、気象の変化を感じるから」、2位は「子供世代や孫世代の将来が心配だから」(図表4)。この順位は2024年以降の調査で変わっておらず、子や孫世代を案じる層は、環境に配慮した製品の購買層として、注目すべき層の1つと考えられる。
調査を担当したBCG東京オフィスのプリンシパル・伊原彩乃氏は
「脱炭素に価値を感じ、選ぶ意思のある層はさまざまな製品について存在していることが改めて明らかになりました。その層を見極め、需要を的確に掴み、応えることが必要です。これは最終製品メーカーだけの話ではありません。
素材・中間財メーカーから『顧客が自社のグリーン製品を採用してくれない』と嘆く声がよく聞かれますが、自社製品を使った最終製品の需要を自ら分析し、顧客企業に提案する姿勢も必要と考えています」と述べている。
<調査概要>
日本全国の15歳~69歳の男女を対象にインターネットで実施。人口動態に応じ、ウェイトバックして集計。第10回は2025年1月8日~10日、第11回は2025年7月25日~28日に実施。n=3,300。
構成/こじへい







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