DIME2025年12月号では、映像化30周年を記念した『攻殻機動隊』を大特集! 原作者・士郎正宗氏への一問一答をはじめ、歴代監督、バトー役・大塚明夫氏とトグサ役・山寺宏一氏のスペシャル対談など、作品のキーパーソンたちが集結。AI時代の行方からリーダーシップ、組織運営まで、未来を先取りしてきた『攻殻機動隊』から、現代のビジネスパーソンが学ぶべきヒントを探っている。
今回は、8つの質問から滅多に公の場に姿を現さないことで知られる謎多き漫画家・士郎正宗氏の現在地を探る。画業40周年、展覧会開催、新作アニメ放送予定と今年も話題が尽きない今、何を思うのか。

原作者・士郎正宗氏へ一問一答
Q. 1 『攻殻機動隊』で描きたかったテーマ、表現したかったことは?
A. 1
各個人が通信端末を使って連携する様子や、人工知能たちがちょっとヌケていてかわいかったり、冷徹合理的でコワかったり、人間の思惑から逸脱した行動を取りはじめたりする様子を「融合が起こるところまで」描くのが『攻殻機動隊』の受け持ち部分となります。
Q. 2 攻殻機動隊』の先見性は科学技術や思想、企業の商品やサービスにも大きな影響を与えていると言われています。最近注目されている商品、サービス、技術は?
A. 2
立場的・商業的には「どうだすごいだろう!」と言ったほうが良いのかもしれませんが、個人的には原作版の『攻殻』に特筆すべき先見性はないと思います。SF分野においては、個人が携帯端末で通信しあったり、機械による身体機能補助をしたりなどは、昔の海外TVドラマでもすでにありました。僕はたまたま『実現・一般化するタイミング』に漫画を描いていただけで幸運だったと解釈しています。
同様のテクノロジーを取り扱っている『アップルシード』は少し時代がずれているためか『攻殻』とは異なる経過をたどっています。光学迷彩に関する詳細は『紅殻のパンドラ』を参照してください。災害対策商品類は常に注目しています。最近購入した遮熱カーテンとエアコン室外機の遮熱フィルムは効果があったように思います(メーカーの方々に感謝)。
Q. 3 専門的知識や神話的な背景などが惜しみなく詰め込まれていますが、最近読んでおもしろかった本は?
A. 3
最近読んでおもしろかったのは、雑誌『日経サイエンス 2025年8月号』のプラナリアの記事(続く編集部による注と『生成AIはロボットの頭脳になるか』全部込みのセットで)です。消化進行中の〝積ん読〟は『サボテンはすごい!』(ベレ出版)、『消防のための除染の教科書』(イカロス出版)、定期再読中の『音楽・情報・脳』(放送大学教育振興会)です。

『サボテンはすごい! 過酷な環境を生き抜く驚きのしくみ』/堀部貴紀著(ペレ出版)

『消防のための 除染の教科書』/浜田昌彦著(イカロス出版)
Q. 4 『攻殻機動隊』で今後描きたいテーマなどはありますか?
A. 4
別テーマは別タイトルで描く派なので、僕個人のマンガ版『攻殻』は終了しているつもりです。『草薙素子+人形使いP2501』は物語世界内で名前を変えてほかの作品で活動継続しています。
Q. 5 アニメ、実写、ゲーム、小説など広がりつづける『攻殻』ワールドをどのように受け止めていますか?
A. 5
一般視聴者諸氏と同じで、生きているうちに1作でも多くのおもしろい作品、楽しい作品、興味深い作品に出会えればよいなと思ってます。それが「自分が何がしか関わっている作品か否か」によって違いがあるようには感じておりません。
Q. 6 SNS発の問題が次々と起こっています。『攻殻機動隊』で描いたネットワーク社会と比べた時、今のSNS社会をどのように捉えていますか?
A. 6
思ったよりも負の側面が強いように感じられて残念に思います(実際にそうか否かはわかりません、個人的感想です)。その状況を強制されるのもあまり好ましく思っておりません(避けられませんが)。

©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
Q. 7 草薙素子はときに理想の上司とも言われます。素子にモデルはいますか? 原作とアニメ諸作品で、気に入っているビジュアルは?
A. 7
草薙素子にモデルはおりません。
アニメ・ゲーム作品ごとに、ルックス、声優配役、演出方針が異なっているのは、それぞれの作品において、各監督やプロデューサー諸氏によって必要に応じた最適化がなされたものと伺っております。絵柄が異なっているとシリーズを見分けやすくて良いという側面もあるかと思います。1995年度の企画最初期から現在に至るまで、僕個人の好みでキャラそのほかの絵柄に反対したり、何か要求指示を出したりしたことはありません。
そもそもマンガ版でも、過去のコミカライズや現在進行中の吉本氏版まで、描き手・絵柄が変わっていっておりますし、僕個人も3冊の単行本で描き方を変えています。
もともとそういうちょっと風変わりな一面や、多面性・平行世界性を持つ作品なのです。映画には映画の、TVシリーズにはTVシリーズなりのコンプライアンスや一般汎用性、各映像作品ごとの方向性や演出方針に適したルックスがありますので、視聴者諸氏同様にその『程度や判断』について個々に思うところはありますが、いずれも監督やプロデューサー管轄案件なので、理由や詳細に関して僕ではわかりませんので、各監督やプロデューサーにご質問なさってください。
Q. 8 最後にAIをはじめとするテクノロジーが怒濤の勢いで進化する中で働くビジネスパーソンに向け、メッセージやアドバイスをいただけますでしょうか?
A. 8
デジタルリテラシーだけで何とかなる時代はもう終わったと思って、AIに依存しすぎず、よく導き育て、仕事の自動化や省力化、問題の洗い出しや予想外の解決方法発見などに活用して、よりよい社会になるよう役立ててください。資源・燃料の頼りない国がどうしたら一定以上豊かで安全な状態を達成&維持発展可能か皆さんで考えつづけてほしいと思います。
取材・文・編集/渡辺和博 撮影/藤岡雅樹
知っているようで知らない「攻殻機動隊」入門ガイド、基本用語と世界観を解説!
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