SF作品の多くは、造語や示唆が多く、教養も試される。名作と名高い『攻殻機動隊』も例外ではない。設定を理解することが士郎ワールドの深淵に触れる近道だ。
すべてはココから始まった

原作者:士郎正宗 コミックス:全3巻 連載期間:1989~1997年(不定期)
掲載媒体:『ヤングマガジン海賊版』『ヤングマガジン』(講談社)
攻殻機動隊とは?
東京への核攻撃を機に勃発した第4次非核大戦終戦を経て、科学技術が飛躍的な進歩を遂げた2029年の日本を舞台に、内務省直属の公安警察組織(通称:攻殻機動隊)の活躍を描く。多くの人間がインターネットへ直接アクセスできる時代が到来し、人間拡張が一般化。人間はサイボーグなどと共生しており、〝ゴースト〟と呼ばれる意識を保持することがアイデンティティーを大きく左右する。一方で国家や多国籍企業はネットワークを介した情報戦を繰り広げており、サイバーテロなどの凶悪犯罪が後を絶たない。『ブラックマジック』『アップルシード』など諸作品と世界線を共有する〝士郎ワールド〟の中核を担う。
基本用語集
科学技術
ゴースト
人間の根源的な意識や魂のこと。電脳化、義体化で記憶や体が交換可能となった時代において、人間をロボットやAIと区別する最後の領域として位置づけられている。
サイボーグ
生身の肉体を機械へと置換した存在をサイボーグと呼ぶ。義足など部分的な補助から全身義体化まで、人間拡張の形態は様々。その在り方は人と機械の境界線上に位置づけられる。
電脳
人間の脳をネットワークへ直接接続可能にする技術であり、これにより人間の在り方は大きく変わった。記憶や情報の送受信を即座に行なえる一方で、外部からの侵入・操作のリスクも。
アンドロイド
人間の外見を模して設計された機械体のこと。生身やゴーストを持たない点でサイボーグと区別され、労働や戦闘など多目的に運用。人間社会を機械的に補完する存在として機能している。
義体
体を機械化するために作られた人工の肉体を義体と呼ぶ。損傷や欠損した部位の補填や脳以外のすべてを機械に置換した場合は全身義体とも呼ばれ、義体化の割合や性能で能力値に差が出る。
ポスト・ヒューマン
人間の脳が突然変異的に進化し、超人的な演算能力や身体制御を獲得した存在を指す。従来の電脳やAIを凌駕する知性を持ち、『攻殻機動隊』の世界において新たな脅威として出現した。
出来事
人形使い・プロジェクト2501
進化の末にゴーストを獲得した自律進化型AI。ハッキングした人間の記憶を根こそぎ消して人形のように操作することから〝人形使い〟と呼ばれる。人間と人工知能の境界を揺るがす存在。
ファイア・スターター
電脳やAIに感染して自律進化や擬似自我を引き起こす非合法ウイルス。感染者のゴーストを複製・改ざんし、記憶や人格を操作する。情報機関や軍事利用され、事件の火種になった。
笑い男事件
匿名ハッカー「笑い男」が起こした事件。企業や政府のシステムへ侵入し、大規模な情報漏洩などを強行。電脳ハッキングした人の顔に笑い男エンブレムを表示させたことでミーム化した。
持続可能戦争
国家や企業が経済維持のために設計した戦争システム。無人兵器やAIに加え、進化したポスト・ヒューマンが戦闘を主導。終結ではなく存続を前提に紛争を資源循環型産業として持続させる。
個別の11人
思想を誘導するウイルスの感染者たちで、総理暗殺未遂や社会的不安を引き起こした。その背後には、難民排斥を正当化するために混乱を演出した内閣情報庁高官・合田一人がいた。
ロクス・ソルス社
高度なガイノイド(愛玩用女性型ロボット)技術を持つ多国籍軍事産業企業。暴力団との関係もあり、サイバー技術や義体技術の最前線を担う一方、違法性の高い技術開発の噂が後を絶たない。
特別付録は攻殻機動隊2026年カレンダー!DIME最新号の特集は「攻殻機動隊に学べ!」
2025年を理解し、きたる未来へのヒントを探る超豪華2大特集! 今月のDIMEは映像化30周年を記念した『攻殻機動隊』を大特集! 原作者・士郎正宗氏への一問一答…
主人公が所属する〝公安9課〟の主なメンバー
公安9課とは?
〝罪に対して常に攻性であること〟をモットーにした国際救助隊。荒巻大輔が創設。草薙素子を中心に、戦闘・諜報・電脳戦に長けた精鋭で編成されており、サイバー犯罪やテロに対応する特殊部隊の役割を担う。
主人公 草薙素子

全身義体の女性型サイボーグで、公安9課の指揮官を務める。高度な戦闘力と電脳戦能力を兼ね備え、人間性と機械性の狭間で葛藤しながらも任務を遂行する。
荒巻大輔

頼れる老獪な司令塔。冷徹な判断と統率力で草薙素子らクセ者揃いの隊員を導く。
バトー

元特殊部隊員で戦闘のスペシャリスト。身体の大部分をサイボーグ化している。
トグサ

元刑事で調査能力が高く正義感が強い。公安9課の中でもっとも義体化率が低い。
イシカワ

元軍人で、電脳戦のプロフェッショナル。情報収集と解析分野で任務を支える知略家。
タチコマ(多脚思考戦車)

多脚戦車型AI。好奇心旺盛で独自の思考を持つ公安9課のマスコット的存在。







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