DIME2025年12月号では、映像化30周年を記念した『攻殻機動隊』を大特集! 原作者・士郎正宗氏への一問一答をはじめ、歴代監督、バトー役・大塚明夫氏とトグサ役・山寺宏一氏のスペシャル対談など、作品のキーパーソンたちが集結。AI時代の行方からリーダーシップ、組織運営まで、未来を先取りしてきた『攻殻機動隊』から、現代のビジネスパーソンが学ぶべきヒントを探っている。
今回は、今年商業誌デビュー40周年を迎えた士郎正宗氏の展覧会についてレポート。出版社の垣根を越える規模の展覧会は自身初。東京会場だけで5万5000人が来場する大盛況ぶりだ。
士郎正宗の原作人気が再燃させる大規模展覧会
おそらく来場者の多くが、ブレインダイビングしたかのような感覚を覚えたはずだ。間断なく流れ込む圧倒的な情報量に、原作のページをめくった時の懐かしさと畏敬の念を再び抱いたことだろう。
『士郎正宗の世界展~「攻殻機動隊」と創造の軌跡~』は、氏のキャリアを総括した大規模展覧会だ。
1983年に発表した同人誌『ブラックマジック』(のちに青心社が発売)、商業誌デビュー作品『アップルシード』(青心社)、読み切りとして始まった『ドミニオン』(白泉社)、『仙術超攻殻オリオン』(青心社)、『攻殻機動隊』の生原稿(大阪会場は複製画)を中心に構成され、アナログ時代の画材や、作中に登場した科学技術の裏付けとなった蔵書まで展示。何よりもファンの目を釘付けにしたのは、会場の随所に添えられたコメントだ。
「僕は欄外の注釈が好きなんですよ。情報量が他の漫画の数倍はありますから」(『攻殻機動隊PSサウンドトラック』より)と作者本人が語るように、緻密な書き込み、徹底的に練り込まれた設定と並び、欄外こそが士郎作品の本体と熱弁するファンは多い。古参ファンにとってこの展覧会は創作の源へ迫るとともに〝作家を追う喜び〟を改めて噛み締める内容だった。
それだけではない。Webすら身近になかった時代に生まれた『攻殻』はその難解さゆえ敬遠してという読者は多い。しかし、ぶ厚いリアリティーを帯びはじめた今こそ再注目を浴びるタイミングだ。そんな声がSNSを駆け巡っている。

「驚愕するほど緻密なのに、書き損じが一切ない」と講談社の担当編集者もうなる生原稿は自作のライトテーブルを使い、下書きを透かしながらペンを入れる独特の手法で描き込まれている。

すべては再現されていないが、注釈付きの生原稿も展示。

『日経サイエンス』などのサイエンス誌ほか、昆虫図鑑や生物科学雑誌、美術関連の本などを展示。

自作のインクなどの画材や制作過程なども紹介。
大友克洋氏描き下ろしイラストのサプライズも!

CLAMPや弐瓶勉、大暮維人など有名アーティストとコラボした作品の展示ほか、コラボグッズや複製原画も販売。さらに大阪会場では、東京展では公開されなかった『AKIRA』原作者・大友克洋とのコラボも目玉に!
取材・文・編集/渡辺和博 撮影/藤岡雅樹
©Shirow Masamune/KODANSHA ©Shirow Masamune/SEISHINSHA ©Shirow Masamune/「士郎正宗の世界展」製作委員会 ©MASH・ROOM/講談社
知っているようで知らない「攻殻機動隊」入門ガイド、基本用語と世界観を解説!
DIME2025年12月号では、映像化30周年を記念した『攻殻機動隊』を大特集! 原作者・士郎正宗氏への一問一答をはじめ、歴代監督、バトー役・大塚明夫氏とトグサ…







DIME MAGAZINE












