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〝休憩時間ゼロ〟で働き続けた店長が勝訴!会社に3400万円の支払い命令が下った理由

2025.11.21

裁判所のジャッジ

裁判所
「Xさんの勝訴だ」
「ランチタイムとディナータイムの間の時間(14~17時)も、Xさんが業務にあたっており、業務以外の理由で店舗を離れることができなかった。したがって、この時間は会社の指揮命令下にあったといえ、労働時間に当たる」

―― 社長、何か反論でも?

Y社長
「14~17時の3時間のうち2時間30分は休憩できたはずです!」

裁判所
「いや、実際にさまざまな仕事をしている。会社はXさんが仕事から離れられるような対策を講じていないこ。Xさん自身が『社長の怒りを買わないように、本当は休憩を取っていなくても報告書には休憩時間を記載していた』と主張していることなどからすれば、報告書の記載に基づいて休憩時間を認定することは相当ではない」

約2000万円もの請求が認められたのは、長時間労働、すなわちXさんが勤務実績報告書に記載した労働時間が概ね認められたためです。

■ その他のバトル

詳細は割愛しますが、会社は「Xさんは管理監督者だった」「弊社は固定残業代を採用している」「変形労働制を採用しているのでXさんが主張するような残業代は発生しない」と主張しました。しかし、これらはすべて裁判所から退けられました。

管理監督者と認定されれば残業代は支払われません(労働基準法41条)。しかし、飲食店の店長レベルで管理監督者と認定されることはほぼありません。すなわち、残業代は支払われるべきものです。

■ 付加金

キョーレツです。ダメ押しで裁判所は、約1400万円の支払いも命じています。いわば〝お仕置き〟で、法律用語では「付加金」といいます(労働基準法114条)。今回、裁判所は以下の事情を考慮しています。

・未払い賃金額が元本だけで1900万円もある
・Xさんは管理監督者ではない
・固定残業代の主張も認められない
・法違反の態様が悪質である など

■ 最後に

今回のような事件は、氷山の一角の、さらにその先端の鋭利な部分にすぎないでしょう。飲食店の店長の中には、アルバイトを休憩に入らせた後も自らは休憩なしで働き、退勤後にタイムカードを押した後も残務処理をしている人が少なくありません。

全国の店長のみなさま、どうか身体と心が壊れる前に、労働組合や弁護士に相談してください。今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
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