高市早苗首相が「ワークライフバランスという言葉を捨てる」と発言したことが話題になったが、働きすぎを助長すると受け取られた一方で、「理想の人生を送るためにワークとライフを切り離さない新しい働き方」の提案としても受け止められた。
この価値観の変化について、コーチング技術を使いながらフリーランスや会社員などの副業・起業支援をしているマーケティングフルサポートは、全国の社会人を対象とした「ワークライフバランス」に関する意識調査を実施して検証した。
「ワークライフバランス」の受け取り方は、ビジネスのコーチングを受けた経験によって異なり、コーチング未経験者は「プライベートと分けて働きたい」という志向が強く、コーチング経験者は「柔軟に対応したい」と考えていることが浮き彫りになった。
またコーチング経験者は、半数以上が「ワークライフバランス」をあまり意識していないと回答しているが、この考え方は、仕事を生活や人生の一部として捉えて考える「ワークインライフ」に通じると言えそうだ。
ワークライフバランス」の意味がコーチング経験の有無で異なる
・コーチング未経験者の回答
・コーチング経験者の回答
「ワークライフバランス」という言葉から連想するものとして、コーチング未経験者の54.5%は「仕事とプライベートの時間配分」と回答。一方のコーチング経験者は、「仕事とプライベートの時間配分」は34.7%で、1位は「自分の価値観に沿った生き方や働き方」の49%だった。
コーチング未経験者の半数以上が「時間配分」と考えているのに対して、コーチング経験者の約半数は「自分の価値観に沿った生き方や働き方」ととらえていることがわかった。
理想の働き方は、コーチング未経験者は公私を分けて、コーチング経験者は柔軟に対応
・コーチング未経験者の回答
・コーチング経験者の回答
「理想の働き方」では、コーチング未経験者の約6割が「仕事と生活を分けてメリハリを持ちたい」と考えており、コーチング経験者は「状況に応じて柔軟に変えたい」(53.1%)、「仕事も生活も自然に混ざっているのがいい」(34%)と仕事とプライベートの境界を意識しないことを選ぶ人が多かった。
コーチング未経験者の「仕事と生活をわけてメリハリをもちたい」と回答した人からは、「残業時間が多く、ライフの方が少なくなっている」(40代女性・会社員)、「プライベートへかける時間がなかなか持てない」(40代男性・会社員)、「基本的にはプライベートを充実させることができているが、もう少し自由に休みを取りたい」(20代女性・会社員)といったコメントがあった。
「実際にワークライフバランスをどのくらい意識しているか?」という質問では、コーチング未経験者は「時々意識する」という回答が最多だったが、コーチング経験者は「あまり意識していない」と回答した人が36.1%で最多だった。
コーチング経験者で「ワークライフバランスをあまり意識していない」と回答した人からは、「仕事が好きなのでプライベートの時間はないが特に困っていない。ただ、世間的にはこれはWLBが整っているとは言わないと思っている」(40代女性・会社役員、経営者)、「稼働時間は長いが、やりたいことで自分が選んだことである。仕事とプライベートがハッキリ分かれている感覚はない」(30代男性・自営業、自由業)、「バランスではなく、仕事は人生の一部ワークインライフと認識したから」(40代男性・会社員)といったコメントがあった。
コーチングを経験して仕事や働くことの考え方が変化
・コーチング経験者の回答
コーチング経験者からは、「以前は「仕事は仕方なくやっていることで、できるだけ時間を短くする」という考えだったが、やりたいことだからいくらでも働いていいという感覚になった」(30代男性・自営業、自由業)、「自分自身の生き方が仕事そのものだと感じた」(50代女性・自営業、自由業)、「社会へどのような機能を提供するかを意識するようになった」(30代男性・会社員)などのコメントがあった。
コーチングを受けることでやりたいことが明確になり、仕事がライフワークとなって境目がなくなって、ワークライフバランスは気にならなくなりつつあるという声もあった。今回の調査を行ったマーケティングフルサポートの仙道達也代表は、「ワークライフバランス」の考え方の変化として、次のように考察している。
「今回の調査から明らかになったのは、『ワークライフバランス』という言葉の中身が人によって異なるということでした。
『ワークライフバランスの意味』について多くの未経験者が“時間をどう分けるか”に意識を置いているのは、仕事と生活を“対立概念”として見ているためです。これは“働く=我慢するもの”という旧来の価値観の延長線上にあります。
一方でコーチングを経験した人は、“自分が何のために働くか”という軸を持つため時間配分よりも“生き方の質”を重視するようになります。コーチングにより“バランスを取る”ではなく、“統合する”という考え方へのシフトが起きていると考えられます。
『理想の働き方』や『普段のワークライフバランスへの意識』に関する調査結果は、その変化を表しているとも言えそうです。コーチングにより仕事とプライベートをあえて切り離す発想自体が不要になり、自ら納得したうえで仕事に取り組むという在り方が育まれていきます。
コーチングを経験した人の多くは、“働く=貢献する”という意識に変わっています。夢や人生の目的が明確になると“仕事は生活のため”から“自分を活かすため”へと意味が変わっていきます。それが今回の回答に見られた“満たされた働き方”につながっていると考えられそうです」
「ワークライフバランスという言葉を捨てる」という発言は、その強さゆえにさまざまな意見がSNS上で飛び交ったが、これは働き方が転換点を迎えていることを象徴している証明だろう。これからはワークとライフの境界を越えて、自分らしい豊かな「ワークインライフ」を模索していく時代になっていきそうだ。
「「ワークライフバランス」に関する意識調査」概要
調査対象:
・コーチング未経験者/クラウドワークス( https://crowdworks.jp )に登録している週5日フルタイム勤務の方
・コーチング経験者/マーケティングフルサポートによるコーチングプログラムおよび起業塾受講者
調査時期:2025年10月8日~2025年10月10日
調査方法:インターネット上のアンケート調査
有効回答数:123人/147人(合計270人)
回答者属性:
・性別:男性74人/33人、女性49人/113人、無回答/1人
・年齢:20代19人/1人、30代44人/12人、40代47人/46人、50代12人/64人、60代以上1人/24人
・就業状況:会社員(経営者・会社役員/14人、正社員117人/18人、契約社員4人/11人、派遣社員2人/4人)、パート・アルバイト11人、自営業・自由業86人、そのほか3人
https://marketing-full-support.co.jp/
構成/KUMU







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