日本は、9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.9%と物価上昇が続くインフレの状態だった。一方、中国の9月のCPIは前年同月比-0.3%、8月の-0.4%と、2025年はCPIが、前年同月比でマイナスになる月が多く、デフレ傾向にある。
そうはいっても、中国の外食産業の規模は日本の約5倍。中国の需要を取り込めるかどうかで、業績が大きく左右される。
そんな中、私の住む広州で、日本企業のお店で人気を加速させているのが、スシローとサイゼリアである。
二極化する中国の外食産業
中国の都心では、価格の二極化が大きい。
車をまだ持つことができない人もまだまだ多い一方で、高級車や高い家賃のマンションに住む人もいる。そのため、外食産業でも二極化している。中国料理で非常に安いのであれば、1人200円くらいで食べられる。他方、一般的な中華料理、西洋料理の場合だと1人3,000~5,000円くらいはかかり、日本よりも高い。
平日でも大行列のスシロー
スシローは平日の夜でも混んでいて、いつも店前に人だかりができている
中国にも、様々な日本の回転ずし店があるが、中国ではスシローの店舗が多く出店している。
日本で、スシローというと、1皿120円で、安く外食できるというイメージだが、中国では少し異なる。マグロや卵などの120円メニューは214円(10元)、日本で330円のえび天うどんは中国では470円(22元)と少し高い。
中国料理の安いお店よりは高いが、西洋料理ほどは高くならない…といった感じだ。
2023年に福島第一原子力発電所が処理水を海洋放出したときに、一時的に客足が減ったことがあった。その後に客足が戻り、今では、平日の昼でも座席の予約が満席でなかなかできず、予約なしで行くと30分~1時間程度待たなければならないほどの人気ぶりである。
出前寿司の文化も根付いている
中国のスシローでは、ワイマイという配達サービスを受けることができるため、家で食べる人も含めれば、非常に多くの人がスシローを食べていることになる。
メニューは、卵やマグロ、鉄火巻きなど定番メニューは日本と同じであるが、ラーメンや季節限定メニューなど現地に合わせた味付けやすしネタも用意されている。
さらに、『ハイキュー!!』『クレヨンしんちゃん』のような日本のアニメとコラボした限定メニューやグッズも展開。日本のアニメは中国でも人気なため、そのような限定品も集客に寄与していると考えられる。また、ポイント制度があり、ポイントを集めると、日本にもないだっごずしグッズがもらえる。
スシローは、2026年度に海外の売上比率を全体の35%にする予定で(2024年9月期は25.5%)、その61%は中国大陸、台湾、香港である。
特に2025年9月以降、中国大陸の業績改善が非常に顕著で、営業利益の増加に寄与している。今後も、引き続き出店を拡大していく予定で、さらなる利益増加が期待できそうだ。
一方、中国でさらなるデフレがすすみ不景気になれば、中価格帯であるスシローは、売上が減少する可能性はある。
スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIE(3563)の株は、株主優待として、100株以上で1,650円相当(3年以上継続保有の場合1,100円増)の電子優待割引券が受け取ることができる。
中国でも低価格を維持するサイゼリア
中国には、高い価格帯のお店もあるが、安く食べられる飲食店もたくさんある。そこに、価格で真っ向勝負しているのがサイゼリアである。
スシローは、観光客など人が最も多く集まるデパートや駅の地下街のような一等地を中心に出店しているようだが、サイゼリアは一等地はもちろん、駅から少し離れた場所や地元の人しか行かないようなデパートにもある。
スシローは行きたくても混みすぎて食べには行けないこともあるが、サイゼリアは空いている場所や時を選べば行きたいときに行くことができる。
日本でもサイゼリアは安いが、中国でも非常に安い!
日本で100円のグラスワインは、なんと中国で64円(3元)、ミラノ風ドリア300円は、中国で406円(日本より少し量が多い。)、パルマ風スパゲッティ400円は中国で321円と、非常に安く、かつ少し量が多い。
中国人が好きな辛い料理やドリアンを使ったピザもある。
サイゼリアの中国事業(香港含む)は2025年8月期で、海外事業の約85%を占め、売上は広州、上海が多く占め、この2地域を中心に、さらなる出店を拡大している。海外事業が全体の売上に占める割合は、約37%で、今後も出店を加速し中国事業の売上が拡大していきそうだ。
サイゼリア(7581)の株は、残念ながら株主優待はないが、国内事業において、円安や物価高騰を企業努力で吸収し、中国事業の出店加速でさらなる中国での売上拡大が見込め、株価上昇が期待できそうだ。
そして、デフレが進み節約志向が進んだとしても、価格の安さの強みが発揮されるだろうし、円高となればオーストラリアから輸入している食材の原価を低減することができる。







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