健康意識の高まりから、着用することで血行を促進し疲労を回復するリカバリーウェアが注目を集めている。
市場は活気づいているが、熱心に事業を展開している一社がMTG。すでに『SIXPAD』と『NEWPEACE』の2ブランドからリカバリーウェアを発売しているが、2025年7月に新ブランド『ReD』を立ち上げ、好調な滑り出しを切った。
『ReD』はオリジナルの血行促進繊維『VITALTECH®(バイタルテック)』を採用(®マークは以下省略)。身体から放出される遠赤外線を吸収し、再び肌へ放出することで血行促進や疲労回復などを叶える。
メンズ/レディースともにインナー、スリープウェア、カジュアルウェアをラインアップ。発売が開始された7月10日から同月末日までの短期間で、累計出荷数が10万枚を突破した。
24時間着用するインナーでリカバリーウェアをつくる
同社ではこの8年間、薄い生地でも血行を促進できる素材の開発に注力してきた。その結果、『SIXPAD』『NEWPEACE』から発売されているリカバリーウェアに使われている『Mediculation®(メディキュレーション)』と『ReD』に採用されている『VITALTECH』が誕生している。
『VITALTECH』は、インナーに使うことを意図して開発された。先行開発から携わったReD VITALWEAR本部の石津亮氏は「生地の薄いインナーにしてリカバリーウェアを多くの人に届けることを企画し、そのために欠かせない素材として『VITALTECH』の開発に着手しました」と話す。
インナーにこだわったのは、インナーは24時間着るので24時間リカバリーが可能になるからであった。『SIXPAD』からリカバリーウェアが発売された2022年10月には検討が始まっていた。
『VITALTECH』が血行を促進するのは、常温で遠赤外線を放出する8種の天然鉱石を独自配合で繊維に練り込んでいるからである。石津氏は血行を促進するメカニズムをこう解説する。
「人間の体から放出される遠赤外線を『VITALTECH』を使った生地が吸収し、吸収した遠赤外線は再び人間の体に放出されます。一般論になりますが、これにより表皮付近で共鳴振動作用が起こり、血行が促進されるわけです」
天然鉱石の中で何が常温で遠赤外線を放出するかは、開発着手時点では不明。
何が使えるかの特定だけではなく、薄いインナーに使って効果を発揮するのか、安定して調達できるか、安全性に問題ないか、といったこともクリアしなければならなかった。
「リストアップした鉱石を世界中で探し、鉱石の組み合わせ、配合比率を変えるなどしてあらゆるパターンを検証しました。何パターンも試作して検討しましたが、試作をつくらなかったものも含めると検討したのは何十パターンにも及びます。使用する天然鉱石を決めるまで苦難の連続でした」
こう振り返る石津氏。繊維に配合しやすくするよう、天然鉱石は粉末にしてからポリエステル樹脂に練り込んでチップ化するが、チップ化する段階で使う天然鉱石の組み合わせと配合比率を決めなければならない。
繊維に練り込むチップは多すぎると切れてしまい糸ができないことから、検証しながら切れない最大量を見極めていくことになった。
生地の薄いインナーをつくるので、糸の太さもポイントだ。最終的に一般的なインナーに採用されている糸と同じデニールとなったが、裏を返すと、デニールを小さくしてより薄い生地でつくると遠赤外線の吸収・放出が厚生労働省の基準を満たせないということになる。
石津氏も「現在の生地の厚さでも、厚生労働省が定めた遠赤外線の吸収・放出量(物性試験で、未加工品と比較して5%以上高いこと)を満たすものをつくるのが大変でした」と明かす。
配信タイミングにこだわったタクシーサイネージの活用
『ReD』は発売前に、期間限定ながらJALの国際線ファーストクラスで利用できるリラクシングウェアに導入されたほど。ブランドアンバサダーに俳優の大泉洋さんを起用し、テレビCMのほか、期間限定で中部国際空港セントレアの第1ターミナルに掲出しているキービジュアルなどに登場した。
テレビCMでは同社としては珍しく、価格(3960円から)を出した。価格を出した理由を、ReD VITALWEAR本部 本部長の竹中淳也氏は次のように話す。
「いままでのリカバリーウェアには、価格が少し高いイメージがあったと思います。『3960円から』と打ち出すことで業界の価格設定を覆したいという思いから、価格を出すことにしました」
『ReD』はテレビCM以外にも、YouTubeやAmazon Prime VideoのようなOTT(Over The Top:インターネット回線を通じて配信される動画や音声などのコンテンツ)、ディスプレイ広告を強化。積極的に露出させたことで認知を急速に拡大していった。
露出で注力したのが、タクシーの車内に搭載した液晶ディスプレイに動画広告を配信するタクシーサイネージ。乗車直後に配信することにこだわったという。タクシーサイネージに注力することにした理由を、竹中氏は次のように話す。
「ブランドアンバサダーを務める大泉さんと同世代の40代、50代はタクシーの利用が多いことが調査からわかっていましたが、平均乗車時間が17分と言われている間は車内でホッとひと息つけるので、そんな時にタクシーサイネージから動画を流せば注目してくれるはずです。乗車して行き先を告げた直後あたりなら、まだスマホを見たりすることも少ないですから、乗車直後に動画を流すことにこだわりました」







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