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業務用炊飯ジャーの悩みを解決!鈴茂器工と象印マホービンが開発したコンパクトな業務用炊飯ジャーがスゴい

2025.11.03

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

寿司ロボット、ご飯盛付けロボット等の米飯加工機械を製造販売する鈴茂器工と、象印マホービンが共同開発した、業務用の一升炊き「業務用IH炊飯ジャー(NW-QSZ18A)」(2026年4月発売予定)が公開された。製造は象印マホービンが行い、販売、メンテナンスは鈴茂器工が担当する。

コンパクトサイズを複数台活用することで炊きムラを抑え常に炊き立ての味を実現

両社が共同開発に至った背景として、現状の業務用の炊飯器には課題や不満があり、それらを解決する形として、1升用という業務用としてはコンパクトなサイズの開発に着手した。

「弊社の主戦場は家庭用炊飯ジャー市場ですが、多くのメーカーが参入しており、約20年前から高級炊飯ジャーが台頭、10万円超のモデルも一般化しており、競争が激化しています。家庭用炊飯ジャーは、味、使いやすさの双方で大きく進化しましたが、飲食店向けではガス炊飯器が多く、進化が相対的に遅れているのが現状です。

飲食店業界のニーズに合わせ、家庭用で培った高火力、使いやすさ、安定性を業務用向けに転用した商品を提供したいと、業務用市場を牽引する食品加工機械メーカーの鈴茂器工さんと共同開発に着手しました」(象印マホービン 商品企画部 企画グループ マネージャー 三嶋一徳氏)

象印マホービンが飲食店業界にリサーチしたところ、2升、3升と大量に炊いている飲食店が多く、ガスで炊く大型の炊飯器から保温容器に移す流れが一般的だった。1升用は飲食店用としては小型だが、複数台を使用して「炊き立て」を常時提供可能にするため、あえて1升用のコンパクトサイズで開発した。

「大量に炊くことで炊きムラが生じて味が不安定になり、長時間保温するので時間が経つと味が低下してしまいます。また、時間帯によって需要も変動するため、たくさん炊いてご飯が残ってしまう食品ロスも発生します。

1升炊きを複数台で連続炊飯することで、常に炊き立てで安定したおいしいご飯を提供できますし、ピークタイム、アイドルタイムの需要変動に対しても、1升炊きを複数回連続で炊くことで柔軟に対応できます。コンパクトサイズで、1台で保温までできるため保温容器も必要なくスペースも取りません」(三嶋氏)

飲食店ではアルバイトを含め、複数のスタッフが炊飯を担当することから、「誰が炊いても安定しておいしいご飯」を実現するため、家庭用にはない業務特化機能を多数搭載している。

「水量補正機能」は 事前に炊飯量を設定することで、水の量が多すぎる、少なすぎるといった入れ間違いが発生しても、炊飯フローを自動調整し、同等の炊き上がりに補正して(1~5合は加水量の±5%補正、6~10合は±100ml補正)、水量のばらつきによる品質低下を最小化する。

そのほか、「かんたん酢飯コース」(後述)、家庭用炊飯ジャーのように大火力で炊飯できる「豪熱大火力」、連続炊飯機能、水温補正機能、炊き分け機能7コース、12時間の高め保温といった機能を備えている。また、お手入れも家庭用と同様に内蓋と内釜の2点だけなので、作業を効率化できる。

炊飯器で酢飯が炊ける!「かんたん酢飯コース」

インバウンドの増加に伴い、日本食の中でも特に「寿司」への関心が高まっており、これまで寿司を提供していなかった飲食店においても、新たな顧客層を取り込むために寿司メニューの導入を検討する動きが活発化している。

しかし、酢飯作りは「炊飯後の酢合わせ」に高度な技術や手間がかかる上、専用機器を置くスペースが必要で、導入には大きなハードルがあったことから、新製品では米と水、専用酢を入れるだけで酢飯が炊きあがる「かんたん酢飯コース」を搭載した。

「居酒屋や和食店、セットメニューなど、寿司専門店以外でも寿司メニューを導入しやすくさせることを目的に、鈴茂器工はS-Cube(エスキューブ)というコンパクトサイズのシャリ玉ロボットを昨年発売しました。しかし、その元となる酢飯作りは手間がかかる、技術が必要など障壁があったことから、炊飯器で酢飯が炊ける『かんたん酢飯コース』の機能を搭載しました。

酢飯を炊飯器で炊くと、芯が残ったり焦げついたりしてしまうこともあり、開発には時間を要しました。焦げつかずに均一な味に仕上げるため、『内堀醸造』さんと共同で専用酢を開発することになり、砂糖など配合を細かく調整していただきようやく専用酢が完成しました」(鈴茂器工株式会社 ソリューション統括部 製品開発課 馬場友和氏)

研いだ米と水を入れて、一升を炊く場合は専用酢一本をすべて投入し、10回ほどかき混ぜてから「かんたん酢飯コース」を選んでスイッチを入れればOK。酢が均一に染み込んだ状態で酢飯が炊きあがる。

「炊飯ジャーで炊いた酢飯を最大一升まで入れられる『S-Cube』に投入すれば、シャリが自動的に出来上がります。さらに『Sushi Biz』さんのような、ネタがカットされた状態で届けられる海鮮食材の仕入れサイトを使えば、専門的な技術がなくても寿司を始めやすい環境が整うと考えています」(馬場氏)

【AJの読み】飲食業界の「人手不足解消」「効率化」に貢献する鈴茂器工

寿司ロボットシェアNo.1の鈴茂器工と象印マホービンがタッグを組んだ「業務用IH炊飯ジャー(NW-QSZ18A)」は、メニューレパートリーの拡大、人手不足解消、効率化、省スペース化が簡単にできる製品として注目される。

発表を行った展示会「スズモフェア2025東京」では、そのほかにも鈴茂器工の様々な製品や技術が紹介されていた。そのひとつが、労働力不足の解決と顧客満足度を上げるソリューションとして実用化された、AIを搭載したAI画像認識システム「Visレジ(ビスレジ)」。

商品アイテムが多い飲食店では、不慣れなスタッフが商品キーを探すのに手間取り、レジの行列が発生して、顧客の不満につながることもある。また、スキマバイトをはじめとする短時間労働者が増加する中で、十分な教育訓練時間を確保することが困難になっている場合も。

AI画像認識システムVisレジは、利用客が商品をピックアップしてカメラの認識部分に設置すると、2秒ほどAIが自動で商品を識別、POSに商品データが反映され、スタッフの習熟度によらず会計がスムーズに進む。

約150種類ものメニューがある「はなまるうどん」中野通り店で導入され、Visレジ導入後、画像認識からメニューが画面に反映されるまでの時間は約2~3秒に短縮。大幅な時間短縮により、スタッフからは「サービススピードの向上と作業負荷の軽減につながる」と評価されているという。

AIカメラを使った技術では、大きさや形も異なる容器や、不規則に置かれた容器にもAIカメラが読み取って、きちんと正しい形に寿司を配置できる機械も。データを登録すれば文字のように配置することも可能だ。

本連載でも紹介したシャリ玉ロボット「S-Cube」は、寿司職人が握るシャリに近づけた機能を搭載し、寿司専門店以外の新市場の開拓を目指した製品。

寿司職人も太鼓判!握る技術を極めたシャリ玉ロボット「S-Cube」のお手並み拝見

■連載/阿部純子のトレンド探検隊 寿司職人が握る寿司に近づけた、新しいタイプのシャリ玉ロボット「S-Cube」 回転寿司や、スーパーマーケットで販売する中食の寿…

今回の業務用IH炊飯ジャーの登場で、技術を要する酢合わせまでIH炊飯ジャーで完了でき、しかも家庭用の炊飯器とほとんど変わらないコンパクトなサイズとなれば、「S-Cube」とセットで設置することで、専門店以外の寿司メニュー導入へのハードルがさらに下がることが期待できる。

取材・文/阿部純子

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