マーケターが創業50年の教育事業を個人M&A
山口篤志氏は、マーケターとして会社員に勤めながら創業50年の教育事業の個人M&Aを行った。TRANBIやBATONZといったプラットフォームを利用して50社以上交渉。そのうち、交渉承諾までいったのは5社、買収権獲得したのは2社だった。当初は「すぐ出せる資金:200万円、買収時期:6ヶ月以内」としていたが売り手の反応がよくない。そこで売り手の譲渡希望額と時期に合わせ、即レス・現地下見、直接面談などを心がけた結果、買収権獲得につながった。
そんな山口氏に、失敗しないポイントのアドバイスと実践して良かったことを聞いた。
●個人M&Aで失敗しないポイント
「M&A後3年、生活できる現金を別に確保しておくこと」
「心の健康状態を保つために、M&A後3年間は生活できる現金を別に確保しておくこと。起業後は自分が予期しない出費が多くあり、生活するための現金は持っておいたほうがいいと先輩経営者などから聞き、3年間、家族が生活できる現金を確保しました。実際に起業してみると、本当に予期せぬ出費が連発し、3ヶ月で数百万円あった預金口座が20万円に。備えがあることが心の安定材料となりました」
●個人M&Aを実践して良かったと思うこと
「失敗から唯一無二の体験とスキルを得られた」
「個人M&Aを行ってから1年半経ち、成功よりも失敗のほうが多くありますが、良かった点しかありません。最も良かったのが失敗から得られる体験です。マーケターとして試してみたかったことを行いましたが、失敗続きでした。けれど、その失敗から得られる経験と改善のための道のりが自分のマーケティングスキルを向上させていると実感しています。このスキルと自信はビジネスマンとして将来の資産になると思っています」
会社員では得られない成長と視野の広がりをもたらす「個人M&A」
個人M&Aは、ゼロからの起業よりも現実的で、キャリアを自ら切り拓く手段として注目を集めている。一方で、情報収集・資金計画・運営体制といった準備を怠るとリスクも大きい。
今回の実践者たちの共通点は、自分の目で確かめ、納得できるリスクを取っていること、そして買収後のリアルな経営に真摯に向き合う姿勢といえよう。経営を自分ごととして考える。その一歩を踏み出す人にこそ、次のチャンスが訪れるはずだ。
取材・文/石原亜香利
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