Excelを使えば、アンケートの作成から集計・分析までを一括で行える。目的や質問を整理し、チェックボックスやリストで回答欄を作成。COUNTIF関数やグラフ機能を使えば自動集計や可視化も簡単にでき、Googleフォームと連携すればオンライン回収にも対応できる。
目次
Excelを使えば、専用ツールを使わなくても簡単にアンケートを作成できる。質問内容の設計から回答欄の作成、集計・分析までを一つのファイルで完結できるのが大きな魅力である。
この記事では、Excelでアンケートを作る手順と集計やグラフ化を効率的に行う方法を解説する。
Excelでアンケートを作る前の準備
Excelでアンケートを作る前に、目的や設計をしっかり固めておくことで、集計しやすく実用的なフォームを作成できるようになる。
■ アンケートの目的を明確にする
まず重要なのは、アンケートを実施する目的を明確にすることである。目的が曖昧なまま設問を作ると、必要なデータが得られず分析に活かせない。例えば、目的が異なれば設問の方向性も変わる。
- 顧客満足度を把握したい
- 社内の業務改善の意見を集めたい
- 新サービスや商品のニーズを調査したい
このように目的を一文で説明できるレベルまで整理してから、設問構成を考えるのが理想である。
■ 質問内容と形式を整理する
次に、質問内容と回答形式を整理する。質問の種類は主に以下の3つである。
- 選択式:回答が限定され、集計が容易
- 評価式:5段階評価などで数値化しやすい
- 自由記述式:具体的な意見や改善点を収集できる
選択式は分析向きだが、自由記述式は深い意見を得られるという特徴がある。目的に応じてこれらを組み合わせ、質問数は10問以内に抑えると回答率が上がりやすい。
■ 回答しやすいレイアウトを設計する
質問と回答欄の配置は、視認性と入力のしやすさを意識して設計する。レイアウト設計のポイントは次のとおりである。
- 質問文と回答セルを横並びに配置する
- 各項目の間隔を一定に保つ
- 回答欄に背景色や罫線を設定して見やすくする
- 印刷用はA4サイズに収まるよう調整する
- オンライン入力用はセル幅を広めに設定する
これらを意識することで、回答者が迷わず入力できるアンケートに仕上がる。
Excelでアンケートを作成する手順
Excelでは、フォーム機能を使うことで質問と回答欄を効率的に作成できる。ここでは基本的な3ステップを解説する。
■ 開発タブを表示してフォームを作る
まず、アンケート作成に必要な「開発タブ」を表示する。開発タブには、チェックボックスやドロップダウンリストなど、回答欄を作るための機能が含まれている。
開発タブを表示する手順
- Excelを開き「ファイル」をクリックする

- 「オプション」→「リボンのユーザー設定」を選択する


- 右側の一覧で「開発」にチェックを入れて「OK」を押す

開発タブが表示されたら、フォーム作成の準備完了である。
■ チェックボックスやリストで回答欄を作る
アンケートでは、「はい/いいえ」や「5段階評価」などを簡単に選べるようにすると回答しやすくなる。Excelでは、フォームコントロールを使ってチェックボックスやドロップダウンリストを設置できる。
チェックボックスの作り方
- 「開発」タブをクリック
- 「挿入」→「フォームコントロール」内の「チェックボックス」を選択

- シート上にドラッグして配置する
- 表示される文字列を編集して選択肢を整える
ドロップダウンリストの作り方
- 任意のセルを選択
- 「データ」タブ → 「データの入力規則」をクリック

- 「リスト」を選び、元の値欄に「はい,いいえ」などを入力

- 「OK」を押すと、セルにプルダウンが作成される

■ 入力制限や保護設定で誤入力を防ぐ
アンケートでは、回答者がセルを誤って編集しないようにすることも重要である。Excelの「入力規則」や「シート保護」を設定すれば、必要な部分だけ入力できる安全なフォームになる。
入力制限を設定するポイント
- 回答セルには「データの入力規則」で入力内容を制限する
- 文字数を制限したり、数値のみを許可する設定も可能
シート保護の手順
- 編集してほしいセルだけを選択して右クリックする
- 「セルの書式設定」→「保護」タブで「ロックを解除」を選択する
- 「校閲」タブ →「シートの保護」を選択する
- パスワードを設定して「OK」をクリックする
これにより、質問文やレイアウトが崩れる心配なく配布できる。
アンケート結果を集計・分析する方法
作成したアンケートを有効活用するには、回答を正しく集計・分析することが欠かせない。ここでは、Excelの関数やグラフ機能、Googleフォームとの連携による自動集計の方法を紹介する。
■ COUNTIF関数で回答を集計する
アンケート結果を自動で集計したい場合、COUNTIF関数が最も基本的で使いやすい。指定した条件に一致する回答数をカウントできるため、「はい」「いいえ」などの集計に便利である。
構文
=COUNTIF(範囲, 条件)
例えば、B2:B20に「はい」「いいえ」の回答が入力されている場合、「はい」の件数を数えるには以下のように入力する。
=COUNTIF(B2:B20, “はい”)
このようにすれば、自動で集計が更新されるため、回答が増えても手作業の集計が不要になる。
■ グラフで結果を分かりやすく可視化する
集計結果を視覚的に理解するには、グラフ化が効果的である。Excelでは、円グラフ・棒グラフ・縦棒グラフなどを簡単に作成できる。
グラフ作成の手順
- 集計済みのデータ範囲を選択する
- 「挿入」タブをクリック
- 「グラフ」グループから「円グラフ」や「棒グラフ」を選ぶ
- タイトルや色を調整して見やすく整える
アンケートの満足度調査や選択式の質問などでは、円グラフが全体の割合を直感的に示せるためおすすめである。
■ Googleフォームとの連携による自動集計
回答をオンラインで収集したい場合は、Googleフォームとの連携が便利である。Googleフォームで作成したアンケートをGoogleスプレッドシートに自動集計し、そのデータを取り込むことで、Excel上で分析・グラフ化を行えるようになる。
基本的な流れ
- Googleフォームでアンケートを作成
- 回答結果をGoogleスプレッドシートに自動保存
- Excelで「データ」タブ → 「外部データの取り込み」からスプレッドシートを読み込む
- COUNTIFやグラフ機能で分析・可視化する
これにより、回答の入力から集計までを自動化でき、アンケート回収の手間を大幅に削減できる。
まとめ
この記事では、Excelでアンケートを作成し、効率的に集計・分析する方法を解説した。Excelの基本機能を活用すれば、社内調査や顧客満足度アンケートを手軽に作成できる。
主なポイント
- 作成前の準備:アンケートの目的を明確にし、質問内容や形式を整理する
- 作成ステップ:開発タブを使い、チェックボックスやドロップダウンリストで回答欄を作る
- 入力保護:誤入力を防ぐための入力規則やシート保護を設定する
- 集計・分析:COUNTIF関数で自動集計し、グラフで結果を可視化する
- 効率化:Googleフォームと連携して回答を自動収集・更新する
Excelアンケートは、無料で始められ、カスタマイズの自由度が高いのが強みである。まずは小規模なアンケートから試し、自社やチームに合ったテンプレートを作っておくことで、
次回以降の調査をよりスムーズかつ効率的に進められるだろう。
構成/編集部







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