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あなたの給料はいつから上がる?最低賃金の適用開始日、7割以上の人が「知らない」

2025.10.24

2025年度の改定により、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えた。しかし、最低賃金の適用開始日が都道府県によって異なることを「知らない」労働者も少なくない。

そこで、税理士の菅原 由一氏は、20歳以上60歳未満の労働者400名を対象に、「最低賃金」についてのアンケート調査を実施した。

6割が最低賃金アップでも生活は「変わらない」、手取りを圧迫する最大の要因は「物価高」と「社会保険料」

まず、「今年の最低賃金が全国平均で1,121円になったことを知っているか?」と尋ねたところ、「知っている」と答えた人は52.0%にとどまり、48.0%が「知らない」と回答した。

最低賃金が毎年ニュースで報じられているにもかかわらず、半数近くの人が具体的な金額を把握していないことが明らかに。

次に、「最低賃金の適用開始日が都道府県によって異なることを知っているか?」を尋ねると、「知っている」は57.3%、42.8%が「知らない」と答えた。この結果から、4割超の人が「10月1日に全国一斉スタート」と誤解していることがうかがえる。

続いて、「あなたの居住地もしくは勤務地の最低賃金の適用開始日を知っているか?」尋ねたところ、「知っている」はわずか27.3%、72.8%が「知らない」と回答。

今度は、「最低賃金の引き上げは、あなたの生活にプラスの影響があると思うか?」と尋ねたところ、「とてもプラス」(10.0%)、「ややプラス」(23.5%)と答えた人33.5%に対し、「変わらない」は60.3%と最多に。

また、「ややマイナス」(3.5%)、「とてもマイナス」(2.8%)と答えた人も6.3%いた。この結果から、多くの生活者が賃上げによる生活改善を実感できていないことがわかる。

さらに、「最低賃金の引き上げよりも「手取り収入」に影響していると感じる要因は何か?」と尋ねたところ、最も多かったのは「物価高騰(食料品・光熱費など)」(65.8%)、次いで「社会保険料の負担増」(61.8%)、「所得税・住民税などの税負担」(49.0%)であった。

今回の調査から、「最低賃金=生活改善」という構図が成り立っていない現状が見えてきた。

調査概要
調査期間:2025年10月3日
調査手法:インターネット調査
調査対象:20歳以上60歳未満の正社員、契約・派遣社員、パート・アルバイトの男女全国
有効回答者数:400名(5歳刻みに各50名)
調査機関:Freeasy
※「脱・税理士スガワラくん 調べ」

税理士・菅原 由一が解説! 「最低賃金引き上げと中小企業クライシス」

10月1日から各地で最低賃金の引き上げが実施されています。しかし実際には、適用時期や金額は都道府県ごとに異なり、必ずしも一斉スタートではありません。

政府は2030年までに全国平均1,500円を目指すとしていますが、現状からの急激な上昇は中小企業や生活者に大きな負担を与える可能性があります。そこで今回は、地域ごとの違いや経済への影響を整理し、今後の課題を解説します。

■地域ごとに異なる最低賃金の適用時期

最低賃金の改定は「10月1日から」と認識されがちですが、実際には都道府県ごとに適用開始日が異なります。

早い自治体は10月1日から、遅い自治体では翌年1月以降に適用されるケースもあります。例えば秋田県では、2026年3月31日を適用開始日と定めています。

■全国平均は「1,121円」

2025年度の最低賃金は、当初「全国平均1,118円」と発表されましたが、各地の決定が出そろった結果、実際は「1,121円」に確定しました。前年からの上昇幅は66円となり、全国で初めてすべての都道府県が1,000円を超えました。

最低額:1,023円(宮崎県・沖縄県)
最高額:1,226円(東京都)

■2030年「全国平均1,500円」実現のハードル

政府は2030年までに全国平均1,500円を目標に掲げています。しかし、現在のペースでは4年間で約400円の上昇が必要であり、年7%超の上昇率となります。これは過去の推移と比べても急激で、中小企業にとっては人件費増・経営圧迫を招きかねません。

■生活者への影響

最低賃金が引き上げられても、労働者の手取りは減ります。これは、社会保険加入対象の拡大によるものです。

これまで社会保険に加入していなかった層も新たに加入が必要となり、給与の約15%が保険料として差し引かれるため、実際の手取りが減少してしまうのです。

一方で、税制上の「年収の壁」は160万円に引き上げられ、一定の負担軽減効果があるものの、社会保険料の増加分が上回るため、生活改善にはつながりにくい状況です。

最低賃金の引き上げと並行して、社会保険制度の見直しを行わなければ、労働者の可処分所得の向上には結びつかない可能性があります。

■中小企業淘汰と雇用流動化の懸念

最低賃金の引き上げをめぐっては、「支払えない中小企業は市場から撤退してほしい」という政府の意図が透けて見えるとも言われています。実際、雇用の流動化が進められています。

一方で、この動きを「淘汰は必要」と捉える考え方もあります。ビジネスは競争であり、すべての企業が同時に成長することはありません。

消費者に選ばれる企業があれば、選ばれない企業も出てきます。その意味で、生産性を高められない企業が市場から退出することは、構造的に避けられない側面もあります。

特に「最低賃金すれすれの給与しか支払えない会社」は、持続的に人材を確保することが難しい状況です。

人手不足の時代においては、一定以上の給与水準を提示できなければ、従業員を雇い続けることは困難です。つまり、最低賃金に依存する経営ではなく、より高い水準で社員に還元できるビジネスモデルを構築できるかどうかが問われています。

■今後の企業経営に求められる視点

事業計画・給与計画・今後10年間の目標などを設計することは非常に大切です。そして、社員にもっと還元していくという思考も不可欠です。

同業他社の平均給料や最低賃金を基準に物事を考えるのではなく、もっともっと上を目指せばいくらでもビジネスモデルは考えられます。

■まとめ

今年の最低賃金は、10月から順次施行されますが、都道府県によって適用日が異なります。最も遅い地域では来年の3月31日になる見込みです。

全国平均は1,121円で、前年から66円(約6.2~6.3%)の大幅な引き上げとなりました。政府は2030年までに1,500円を目指すとしていますが、この急激なペースでの引き上げには懸念の声もあります。

最低賃金の上昇に経営が左右されてしまうようでは、企業の持続的な成長は難しいでしょう。厳しい経営環境にある会社も多いと思いますが、これを機に企業努力を行い、できるだけ利益を社員に還元できるような会社作りを目指していただきたいと思います。

関連情報
https://sugawarakun.com/

構成/Ara

昭和63年生まれ。最新のトレンドを横断的に紹介するオールラウンド系ライター。編集プロダクションでの書籍制作や、男性向け美容・健康WEBマガジンでのライター経験を経て、現在は最新ファッションアイテムを中心に執筆活動を展開中。

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