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なぜ3000人だけ?会員制スーパー「Table to Farm」が小さな運営にこだわる理由

2025.10.31

ビューティーディレクター MICHIRUさんとおくる、連載「Wellbeing beauty by MICHIRU」。連載第6回は会員制オンラインスーパーマーケット「Table to Farm(テーブルトゥファーム)」。ディレクター・発起人の相馬夕輝さんに、食の世界の課題と新しい取り組みについて伺った。

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後編では、Table to Farmが取り組む生産者と消費者をつなぐ新しいプロジェクト「CSF(Community Supported Food culture)」のことを中心に伺っていく。

食べる人がつくることに関わるフードシステム、Community Supported Foodculture(CSF)

MICHIRUさん(以下、MICHIRU):Table to Farmの特徴の一つが、会員制のスーパーマーケットであることだと思います。なぜ会員制にしているのですか?

相馬:どの生産者も小さくやられている方が多いので、どうしても生産量自体が限られます。規模を適正にするためというのが理由の一つです。現段階では3000人くらいが会員数のマックスだと考えていて、それ以上になると「販売するためにこういうものを作ろう」というように、順番が逆になってしまいそうだと思っています。

MICHIRU:そうなると本末転倒ですものね。

相馬:私たちが日本中のすべての購入者を網羅するのではなく、同じくらいの規模の人たちが日本にたくさんできるほうがいいんじゃないかなと思っているんです。またもう一つの理由に、プロジェクト開始の時点から、食べる人がつくることに関わるフードシステム「CSF」の取り組みをすることが前提だったので、その取り組みを応援してくれる人が、食べる人であってほしかった。その点でも不特定多数とのやり取りは難しいと判断しました。

MICHIRU:「CSF」というのは? 初めて聞きました。

相馬:CSFは私たちがつくった言葉です。「CSA(Community Supported Agriculture=地域支援型農業)という、海外で広がり始めている農業支援システムがあり、それを元にしています。生産者と消費者が事前に契約をして購入費を先払いにすることで、天候の変動などによる収穫量や価格の変動のリスクを共有するというものです。私たちは農業だけでなく、畜産や漁業などにも関わるので、農業(Agriculture)を食文化全体(Foodculture)に置き換えて、CSFとしました。

MICHIRU:そういう形で私たち食べる側が、作ることに“半歩”踏み入れられるんですね! 

純血の日本牛を未来へ。CSFの一例目

相馬:CSFの一例目として、純血の日本牛「竹の谷蔓牛(たけのたにつるうし)」の畜産を広げる取り組みが始まっています。竹の谷蔓牛は、日本最古の和牛の一種。噛むほどに口の中に旨みが広がる赤身のお肉で、食べても体が重くならないし、もう最高なんですよ。

その竹の谷蔓牛はこれまで岡山県の平田さんという方が、一人でその純血を守って育んできました。今回、北海道十勝・松橋農場の松橋さんを後継者に、「広大な環境でのびのび育ててほしい」という平田さんの願いの通り、自然循環型放牧を目指して譲り渡されました。

平田五美さんと竹の谷蔓牛 photo:Ayumi Mineoka

MICHIRU:平田さんのところから竹の谷蔓牛が旅立つ動画をホームページで見たのですが、まるで自分の子どもを送り出しているような姿に感動しました。ぜひ読者のみなさんにも見てほしいです。

日本には美味しいものがすでにある

photo:Ayumi Mineoka

MICHIRU:あと、お米のプロジェクトも始まっているのですよね。

相馬:米は中編でも話に出てきた「亀の尾」と、もう一つ「旭・朝日」という品種を扱っているのですが、これらは人工的な品種改良をされていない自然交配種です。肥料成分との相性が悪くて、自然栽培でこそ育つ品種。新しく作る人が増えてほしいけれど、自然栽培では基本的に農薬や化学肥料を用いる慣行栽培に比べると、収量も半分くらいしか得られないし、栽培も難しい。種だけ渡すだけではなく長期的にサポートをしながら、ノウハウを持つ生産者との橋渡しをしていく必要があると考えました。

MICHIRU:サポートを受けた方が栽培したお米も、今年すでに発売されているとか。食べたいものを作ってくれる人を広げる助けもできるとは、素晴らしい取り組みですね。

相馬:「素の味」、本当に美味しいものを作っている方の多くは70代、80代。この10年、20年でどう引き継いていくのかは、かなり大きなミッションです。原材料がなくなると、食文化も残しようがなくなってしまいますから。

パリッと歯切れの良い食感と圧倒的な口溶けが特徴/有明一番摘焼きのり 優等(成清海苔店)

MICHIRU:食事会の時にも感じましたが、美味しいものはすでに日本にあるんですね。ご飯と梅干しと、海苔。それだけでも食材そのものが自然の循環の中にあるものだったら、元気になるじゃないですか。そういったものをセレクトする力を、私たち自身がつけていくことが大切ですね。

相馬:そう、すでにあるんですよ。美味しいものがあれば、調理もシンプルでじゅうぶん。朝ごはんなんて、調理する必要はないんだなと思いますよね。そういう美味しさの価値を感じてもらえたら嬉しいです。

相馬夕輝(あいまゆうき)
郷土料理や食文化をフィールドワークとして学び体験してきた経験を活かし、新たなフードシステムを構築することを目指して「Table to Farm」のプロジェクトを始動。ブランドディレクション、商品選定、ウェブメディアや食事会など、日本各地の生産者をめぐる。またD&DEPARTMENT PROJECT飲食部門「つづくをたべる部」ディレクターとして、その土地の食材や食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画なども手がける。

MICHIRU(みちる)
メイクアップアーティスト・ビューティーディレクター/渡仏、渡米を経て、国内外のファッション誌や広告、ファッションショーやメイクアイテムのディレクション、女優やアーティストのメイクなどを数多く手がける。また体の内側からきれいになれるインナービューティーを提唱するなど幅広く活躍中。本連載ではナビゲーターを務める。

取材・構成/福田真木子
写真/黒石あみ

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