
テレワークが浸透し、テキストコミュニケーションが当たり前となる中、相手の心情や意図が読めなかったり、既読スルーの不満を抱えたりしていないだろうか。また最近ではメールやチャット文を生成AIで作ることもあるだろう。
けれどAIが作った文章はどうしても温度感に欠ける。
今回は、そんなビジネスコミュニケーションのちょっとしたストレスを解消するべく、社内コミュニケーションの専門家に工夫のポイントや事例を聞いた。
今ドキ企業のコミュニケーション課題
企業に研修提供やコンサルティングを行うバヅクリ株式会社によれば、日頃から携わるクライアント企業の多くは、メールやチャットなどのテキストコミュニケーションに課題が生じているという。
代表取締役社長 CEOの佐藤 太一氏は3つの課題を挙げる。
1、上司と部下のすれ違いや誤解
「特に深刻なのは管理職と部下の関係です。『テキストで何をどう伝えればいいのかわからない』『相手の意図が読み取れない』というストレスが生じています。こうした問題が特に目立つのは、銀行や老舗メーカーといったレガシー企業。未だにメールが主流の組織も多く、そもそもデジタルコミュニケーションのルールが社内に存在していないケースは少なくありません」
2、AI中毒
「『上司への返答が思いつかず、とりあえずAIに聞いて、そのままコピペで返す』といったシーンは珍しくありません。AIは便利ですが、使い方を誤れば“自ら考えない”ことの温床にもなります」
3、タイパ文化
『さらに拍車をかけるのが、タイパ(タイムパフォーマンス)文化です。短く、速く、効率よくといった価値観が定着した一方で、雑談やちょっとした確認、行間を読む力が弱くなり、『言わなくても察する』『空気を読む』『微妙なニュアンスを伝える』といった、日本の組織文化の土台がテキスト文化の中で機能不全に陥っているように感じます」