
今回は「初心者に向けた銘柄選び」を教えてもらうべく、配当金・分配金で年間600万円超の「てじお(@tejiharu)さん」に、またもやインタビュー。「どうやって買いたい銘柄を見つけられるのか、そして銘柄分析はどうすればよいか」をテーマに深掘り調査しました。
目的ごとに違う銘柄の選び方
――てじおさんに聞きたいことがあります!銘柄選びはどうされていますか?これ、投資初心者は具体的に教えていただけると嬉しいはず……。
前回のインタビューで、自分のポートフォリオを目的の異なる3つのジャンルに分けているという話をしましたが、「1.株主優待目的」、「2.増配や値上がり益を期待」、「3.毎月のキャッシュフロー目的」、それぞれの目的ごとに銘柄の選びかたを変えています。
配当金・分配金で年間600万円超!優待族のてじおさんに聞く「自分年金」の作りかた
株主優待を使い映画を見たりレストランを利用したりして楽しむ「てじお(@tejiharu)さん」の配当金・分配金は、なんと年間600万円超。@ DIME読者にもき…
例えば、「株主優待目的」の銘柄では、自分が欲しい株主優待がもらえる銘柄を探して、その銘柄を購入するといった具合です。
株主優待には様々なジャンルのものがありますが、現在、私は「飲食店の利用券・割引券」、「映画チケット」、「QUOカードやデジタルギフト」の3種類に絞って銘柄を探しています。
このうち、飲食店の利用券・割引券がもらえる銘柄は、たくさんありますが
・バルニバービ(3418)では「GARB Tokyo」や「GOOD MORNING CAFE」など
・グルメ杵屋(9850)では「自家製麺 杵屋」や「そじ坊」など
・トリドールホールディングス(3397)では「丸亀製麺」や「コナズ珈琲」など
それぞれの店舗で利用できる株主優待券をもらうことができます。

バルニバービの株主優待を使って楽しいオフ会

トリドールホールディングスの株主優待が使えるコナズ珈琲で
映画チケットがもらえる銘柄では、松竹(9601)や、東京テアトル(9633)。QUOカードやデジタルギフトがもらえる銘柄では、椿本興業(8052)、アズ企画設計(3490)、ユニバーサル園芸社(6061)などを保有しています。
どのような株主優待がもらえるかは、各証券会社のホームページやヤフーファイナンスの株主優待ランキングから検索することができます。株主優待を探したり、各社の優待一覧を眺めたりするのはとても楽しいので、ぜひ見てみてください。私も、いつもこれらのページをチェックしています。
また、「増配や値上がり益を目的」の銘柄ならば、これから株価が上がりそうな銘柄、増配期待の銘柄、高配当を続けてくれそうな銘柄を探してその会社の株を購入します。ただ、それがわかれば苦労はしないのですが……(笑)。
株価や配当の推移は、各証券会社のホームページや会社四季報などから見ることができますので、ご自身の目的に合った銘柄が見つけられるといいでしょう。
銘柄を選択する際に、購入する目的を意識しておくことのいい点は、その銘柄を売却するタイミングの判断にも利用できる可能性があるということです。
例えば、私の場合「株主優待目的」で買った銘柄の株主優待が改悪、廃止となった場合や、その優待が自分には必要でなくなったら、その株は売却します。 「増配や高配当を目的」に選択した銘柄では、減配した場合や、株価が上昇して配当利回りが下がったら売却しますし、「値上がり益を目的」に選択した銘柄では、株価が下がって損切が必要になったり、設定した目標株価に達したりしたら売ってしまいます。
銘柄を選んだら、次にすべきことは?
――売却タイミングまでルールを決めているんですね!すごく参考になります。
――気になる企業が出てきたら何をするかを教えてください。一般的には、連続増配か、企業の営業利益かなどと言われていますが……。
私の場合、これも目的別に行動パターンが分かれます。
優待目的の銘柄の場合は、優待の内容(使える飲食店や映画館がどこにあるのか、飲食店ならランチ営業の有無、QUOカードやデジタルギフトであれば年間いくら分貰えるのか 等)、必要な株数、権利月はいつか等を確認して、その株主優待が自分に必要なものだと思えば、その株主優待をだしている企業のことはほとんど調べず、また株価もあまり見ずに、株を購入してしまいます。これ、よい子はマネしないで……(と、てじおさんがつぶやく)。
株主優待の楽しさを前にすると、私は理性が失われてしまうのでダメですね(笑)。そのため、遠足の時のおやつのように「株主優待目的の銘柄はポートフォリオ全体の2割まで」と決めています。
値上がり目的や配当を目的とした銘柄の場合、前回話したように、Yahooファイナンスの個別銘柄のページで、過去からの1株当たり配当金や売上高、営業利益の推移をグラフでチェックします。業績が右肩上がりで、配当利回りは順調に増配しているか減配していないかを見ていきます。
前回のインタビューで、保有株として紹介した日本エスコン(8892)です。配当金も順調に増えているのがわかります。
あと、私がもう一つ参考にしているのは、クオンツ・リサーチ社から提供されているクオンツスコアです。これは銘柄を定量的に成長性、割安性、企業規模、テクニカル、財務健全性、市場トレンドの6つの項目でスコアリングしたものです。クオンツスコアは、株マップ.comで見ることができます。
使い方は注目ランキングを見るだけでも参考になりますが、それぞれの銘柄のクオンツスコアを診断したいなら、検索窓に企業名やコードを入れて、基本情報の隣の「診断」タブを選べば結果がすぐにわかります。
ここでは、配当目的の銘柄と値上がり益目的の銘柄それぞれの場合で、私が好ましいと思うクオンツスコアのパターンを紹介します。
配当目的の銘柄の場合には……
現在の配当利回りが高いか(例えば年利4%以上か)、株価の下落リスクが低いか(クオンツスコアの割安性スコアが高い)、減配のリスクが低いか(クオンツスコアの財務健全性スコアが高い)どうかを主に確認します。
例えば、ジーテクト(5970)では、高利回り(4.46%)、割安性スコアが高い(星10個中10個)、財務健全性スコアが高い(星10個中8個)という条件を満たしています。配当利回りも近年増配傾向にあります。
INPEX(1605)や竹内製作所(6432)なども昨今の株高のために配当利回りが4%を切ってしまっていますが、割安性や財務健全性のスコアの条件を満たしていると思います。
※株価は2025年9月27日時点
――クオンツスコア、簡単に診断結果を見ることができるので、これは持ち株や気になる銘柄を調べたいですね。
次に、値上がり益目的の銘柄の場合には……
株価の成長性が高いか(クオンツスコアの成長性スコアが高い)、チャートの形がテクニカル的に魅力的か(クオンツスコアのテクニカルスコアが高い)。これに加え、どんどん値上がりする銘柄は割安になる暇がない(クオンツスコアの割安性スコアが低い)ので、そのような条件も満たしているかを見ています。
私の所有している銘柄の中では、トリドール(3397)やギフトホールディングス(9279)が成長性と割安性のスコアが条件を満たしています。トリドールは成長性が星10個中10個。
ギフトホールディングスも成長性が星10個中10個ですね。ただ、もう長いこと株価が上昇した後なので上昇の勢いは少し収まっているようで、テクニカルのスコアはそれぞれ今一つです。
――欲しい銘柄を買うタイミングも知りたいです!複数の銘柄をリスト化しておいて、安いと思う時に買う方法もありますよね
この点、お恥ずかしい話ですが、私は銘柄のスクリーニングをして、「よし買おう!」という判断になったら、もう買いたくて買いたくて……。
――震える?
これ、よい子はマネしないで……(と、てじおさんがつぶやく、今回2度目)。
翌営業日の朝には寄付きでの成行注文(その日の最初の取引で値段を指定せずに買う)を入れていることが多いです。さすがに、権利日の直前には、1回、権利落ちを通過してからにしようか……と葛藤しますが。
――ナガワ(9663)は上手なタイミングで買われていたと思いました!
ナガワは元々、株主優待の権利が年1回、3月だけの銘柄で、私の購入ルール(株主優待目的の銘柄は年2回権利)だと買えない銘柄なのですが、今年のナガワの株主総会に出席した株友さんが、おみやげに六花亭のお菓子を貰っていたのを見て、どうしても欲しくなって買ってみたら、たまたま、その直後に増配や長期保有での株主優待条件のリリースがあっただけですよ。
待たないで買うので高値掴みすることが多いため、その場合は、年末に損出ししてから買いなおして平均買値を下げることは、必ずするようにしています。 ただ、値上がり益や配当金を目的に購入する銘柄の場合には、1円でも安く買うのは正義だと思うので、よい子のみなさんは、ちゃんと指値で買うようにしてください。
――最後はよい子へのアドバイスまで。クオンツスコア、気になる株や保有株を確認するにもよさそうですね。すごくためになることを教えていただき、今回もありがとうございました!