小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

心理学で解く、先延ばしにしてしまう癖「プロクラスティネーション」の原因と克服法

2025.10.19

やらなければと思いながら、ついSNSや別の作業に逃げてしまう――そんな“先延ばし癖”の裏には、心理的な原因が隠れていることがあります。本記事では、プロクラスティネーションの主な要因と、今日から実践できる克服法を心理学の視点でわかりやすく解説します。

やらなければいけないことがあるのに、ついSNSを見てしまったり、関係のない調べものに没頭してしまったり…。そんな先延ばしの経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

さっさと終わらせれば楽になるとわかっているのに、なぜか行動に移せない。その原因は、あなたのやる気や意志の弱さだけではないかもしれません。この現象は「プロクラスティネーション」と呼ばれ、単に嫌なことから逃げているだけではない、複雑な心理が隠されている可能性が高いのです。

この記事では、あなたが物事を先延ばしにしてしまう原因、そしてその癖を克服するための方法を解説します。

先延ばし癖(プロクラスティネーション)とは

先延ばし癖とは、やるべき重要なことがあるとわかっていながら、意図的に行動を後回しにしてしまうことが習慣化している状態を指します。これは心理学や行動科学の用語で「プロクラスティネーション(Procrastination)」とも呼ばれます。

先延ばし癖は、単なる怠けや時間管理が苦手なこととは少し違います。先延ばしをしてしまう人の多くは、そのタスクの重要性を十分に認識しています。それにもかかわらず、着手できずに代わりに他の優先度の低いことを始めてしまうのです。

この行動は、一時的には面倒なことから逃れられて楽に感じますが、締め切りが近づくにつれて、かえって強い不安やストレスを引き起こす原因となります。結果として、仕事の評価が下がったり、人間関係に支障をきたしたりと、日常生活に悪影響を及ぼすことも少なくありません。

先延ばしをしてしまう人の心理的特徴

では、なぜ私たちはやるべきことがあるとわかっていながら、つい先延ばしにしてしまうのでしょうか。

その背景には、単なる性格の問題ではなく、心理的な特徴が隠されている可能性があります。

自分にどんな特徴があるのかを理解することは、効果的な対策を立てるための第一歩です。ここでは、先延ばしを引き起こしやすい代表的な心理的特徴を見ていきましょう。

1.失敗に対する強い恐怖心

「もし失敗したらどうしよう…」という過剰な不安や恐怖心が、行動へのブレーキとなり、先延ばしを引き起こすことがあります。

なぜそうなるかというと、課題に取り組む前から失敗したときのことを考えすぎてしまい、タスクに着手すること自体をためらってしまう心理状態になっているからです。

この恐怖心の背景には、過去の失敗経験から“失敗=自分の価値が否定されること”という強い思い込みが隠れている場合があります。

その結果、「もし失敗するくらいなら、初めからやらないほうがマシだ」という考えに陥り、無意識のうちに行動を避けてしまうのです。

2.自己効力感の低さ

自己効力感とは、「自分ならこの課題をやり遂げることができる」と自分の能力を信じる感覚のことです。この感覚が低いと、先延ばしを引き起こしやすくなります。

人は何かを始める際、無意識に成功の可能性をはかっています。そこで自己効力感が低いと、特に難しいプロジェクトや未経験の課題に対しては、「どうせやってもうまくいかないだろう」と成功の確率が低いと感じます。

その結果、課題そのものを脅威のように感じ、挑戦する前から無力感を抱いてしまいます。そして、その不快な感情から逃れるために、より簡単で安全な別の作業へと逃避し、本来やるべきことを先延ばしにしてしまうのです。

3.完璧主義

「完璧にしなければいけない」という強いプレッシャーが、かえって行動へのハードルを上げ、先延ばしの大きな原因となります。

自分に高すぎる基準を課すあまり、「完璧にできないくらいなら、始めないほうがマシだ」という思考に陥り、最初の一歩が踏み出せなくなるのです。

その結果、完璧な計画を立てるのに時間を使いすぎたり、少しでも失敗することを恐れて身動きが取れなくなったりして、最も重要なタスクが後回しにされてしまいます。

先延ばし癖を克服するための方法

克服への大切な第一歩は、まず自分がどのような状況でどんな気持ちから先延ばしをしてしまうのか、そのパターンを自覚することです。自分の行動や、その裏にある不安や恐怖心を理解して初めて、効果的な対策を打つことができます。

ここでは、その自己認識を深めたうえで、すぐに実践できる具体的な克服法をご紹介します。

1.タスクを細かく分ける

タスクを細かく分けることは、心理的特徴で取り上げた「自己効力感の低さ」を持つ方に特に有効な方法となります。

大きく漠然としたタスクは、どこから手をつければいいかわからず、先延ばしの原因になります。その対策として、タスクを、これならすぐにできるというレベルまで、具体的な行動に細かく分解することです。

例えば、企画書の作成なら、「参考資料を3つ探す」「構成案の目次を作る」といった具体的なステップに分けます。そうすると、一つ一つのステップが小さいため、行動への心理的なハードルがぐっと下がります。

そして、小さな達成を積み重ねることで自信がつき、次の行動へのモチベーションが生まれます。

2.10分間だけ作業を始めてみる

10分間だけ作業を始めてみることは、心理的特徴で取り上げた「失敗に対する強い恐怖心」を持つ方、「完璧主義」の方に特に有効な方法です。

「失敗したらどうしよう」「完璧にできなければ意味がない」といった心理から、かえって一歩も踏み出せなくなってしまうときにこそ、10分間だけ作業を始めてみるという考え方を試してみてください。

このアプローチの目的は、完璧な成果を出すことではありません。ただ、“10分間作業すること”自体をゴールに設定します。これにより、“失敗するかもしれない大きな課題”が、“誰でもできる失敗のしようのない小さな行動”へと心理的に変わります。

まず「始めても大丈夫だった」という小さな成功体験を積み重ねることで、行動へのブレーキとなっている不安を和らげることができます。たとえ10分でやめたとしても、「少し手をつけることができた」という事実が自信となり、次の一歩を踏み出すための足がかりになるのです。

文・構成/藤野綾子

精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年10月16日(木) 発売

DIME最新号は、「2025ヒット商品総決算」特集&「攻殻機動隊」映像化30周年大特集!今年話題を集めたヒット商品をどこよりも早く徹底解剖。DIMEでしか手に入らない「攻殻機動隊」オリジナルカレンダーが特別付録に付いてくる!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。