
⾼市早苗新総裁の就任直後に放った「ワークライフバランスという⾔葉を捨てます」という発⾔が議論を呼んでいる。
こうした中でオープンワークは、社員クチコミサイト「OpenWork」のデータをもとにした「ワークライフバランスは捨てるべきか?『ハードワークだが士気が高い企業ランキング』」を発表した。
本ランキングは、直近3年間で OpenWork に⼀定数の投稿がある企業を対象に、平均残業時間が法定外残業時間である⽉ 45 時間を超え、かつ、OpenWork 上の有給消化率の平均である 66%を下回るにも関わらず、「社員の⼠気」スコアが高い企業に順位を付けて紹介するものだ。
【特徴 1】ハードワークだが、成⻑や報酬に直結。プロフェッショナルな業界企業が集中
TOP20 社中、⾦融業界から4社・不動産関連業界から3社・コンサルティング業界からも3社ランクインと、⽐較的専⾨性の高く、⼀般的に⾦銭的報酬が⾼いといわれている企業のランクインが目立った。ハードワークな労働環境ではあるものの、⾃⾝の市場価値を高める専⾨性の獲得や⾼⽔準の⾦銭的報酬を得られる点が、高い⼠気を維持しながら業務できるという評価に繋がっていると⾔えそうだ。
●ランクイン企業に寄せられた、ワークライフバランスに関するクチコミ
「ワークライフバランスは⽐較的取りやすい。しかし、それも条件付き。実際には、平均して⽉に 40 時間は残業しているし、そもそも事務作業に締め切り厳守なため昼⾷を取らない事もある。(業務・ゴールドマンサックス)」
「ワークライフバランスに関しては、基本的に気にされる⽅は向いていないと思います。バランスの度合いで言うと、9 割がワークの⽐重で、お⾦を稼ぎたいならどんどん働いていこう︕のマインドになります。(⼾建仲介・オープンハウス)」
「ワークイズライフと捉えている⽅も多く、思う存分仕事を出来る環境にあるので、仕事がしたい⽅にとっては最⾼の環境だと思います。(M&A コンサルタント・⽇本 M&A センター)」
【特徴 2】ハードワークだが、「社員の⼠気」が高い企業には、納得して働ける理由がある
TOP20 社の OpenWork の総合評価点スコアの平均点は 3.43 点(5 点満点中)と⾼スコア傾向にある。ハードワークな環境下でありつつも、⼠気を含めた他の評価項⽬においても⽐較的スコアが高く、結果としてハードワークでありつつも「この会社で働くことに納得・満⾜している」という状態の社員が多いという傾向を⽰している。
●ランクイン企業に寄せられた、ハードワークだが⾃社を評価しているクチコミ
「得られる営業⼒、給料共にギャップはなかった。認識しておくべきこと、としては、ワークライフバランスを求める⽅には合わないと言うことである。それだけハードな働き⽅ではあるが、⾒返りも⼗分にある。(営業・キーエンス)」
「業務に関しては意欲さえあればいくらでも働ける環境である為成⻑したい⼈はガンガン挑戦できると思う。(SE・新プレクス)」
「唯⼀無⼆の仕事も多く、社会へのインパクトを考えると、業務負荷を吹き飛ばすくらいの使命感、ミッション感を得られる職場です。(技術・経済産業省)」
まとめ︓ワークライフバランスを犠牲にしても…。相応の「報い」を感じられる職場の満⾜度は高い傾向
ハードワークな働き⽅であるものの、⼠気が高い社員が多い企業を分析した本レポート、その理由は成⻑実感や⾼報酬といった確実たる「報い」を得られる点が挙げられた。また、ワークライフバランスが決して良い状態とはいえない企業だからといって、必ずしも企業の総合評価も低いわけではないこともわかった。
OpenWork に掲載されている企業の過去 10 年間分の全体平均スコアを分析した研究結果※によると、働きやすさに関するスコアは改善傾向だった⼀⽅で、働きがいのスコアは下降傾向となった。つまり、働きやすい職場環境が必ずしも、働きがいの創出に作⽤するとはいえない結果となった。
ワーキングパーソンが労働に求める真の価値とは、ワークライフバランスを通じて獲得した「時間的な余裕」だけでなく、「その時間を投じる価値」にあると⾔えるだろう。
※出典︓「従業員⼝コミを⽤いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」⻄家宏典・⻑尾智晴(2021)
<対象データ>
2023 年~2025 年9⽉ 30 ⽇までに⼀定数の投稿があった企業 2,328 社を対象。平均残業時間が労働基準法の法定外残業時間である⽉ 45 時間超え、かつ、有給休暇消化率は OpenWork 上の 2023 年度の平均である66%を下回る企業を「ハードワーク企業」として選出の上、「社員の⼠気」が高い順にランキング。
出典元:OpenWork
構成/こじへい