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問題は〝あなた〟じゃない!人生の物語を書き換える「ナラティブセラピー」とは?

2025.10.18

「うまくいかないのは自分のせい」と思い込んでいませんか? ナラティブセラピーは、悩みやつらさを“あなたの性格”ではなく“物語”として捉え直す心理療法。自分と問題を切り離し、人生を新しい視点で書き換える方法を紹介します。心を軽くする考え方のヒントが見つかるはずです。

皆さんの人生がうまくいかないと感じたとき、そのうまくいかない原因だと感じていることは、本当にあなた自身が関係していることなのでしょうか?

ナラティブセラピーとは、悩みや困難を個人の性質ではなく、人生の“物語”として捉え直すアプローチのことを言います。この視点の転換が、生きづらさを乗り越える大きな力となってくれるのです。

本記事では、ナラティブセラピーについて、わかりやすく解説していきます。

ナラティブセラピーとは

ナラティブセラピーとは、クライエント(相談者)が語る人生の“物語”に注目し、その物語を書き換えていくことで、悩みや困難を乗り越える力を引き出すカウンセリング手法のことを言います。

問題をその人の性質と見なすのではなく、人生の物語に影響を与える「外側の存在」として捉え直すことが大きな特徴です。

■自分の物語に沿って人は行動する

私たちは誰でも、自分の経験や出来事をつなぎ合わせて、「自分はこういう人間だ」というセルフイメージを持っています。このセルフイメージができた過程を、人生の物語として捉えます。

この個人的な物語が、私たちの考え方や感情、行動の基となっているのです。

もし「私はいつも失敗する」という物語を信じていると、挑戦を避けたり、自己肯定感が低くなったりと、その物語に沿った生き方をしてしまいます。

■自分と問題を切り離す

ナラティブセラピーで最も大切なのは、その人と問題とを切り離して考えることです。これを「外在化(がいざいか)」と呼びます。

外在化とは、例えると「私は不安感を強く感じてしまう」と考えるのではなく、「不安が私の人生を支配しようとしている」と捉え直すことです。これは不安を自分と切り離した考え方です。こうすることで、問題はあなた自身の一部ではなく、対処すべき外部の課題に変わります。

これにより、問題に圧倒されることなく、その問題とどう付き合い、乗り越えていくかという視点を持つことができるようになります。

■ナラティブセラピーの目的

ナラティブセラピーの主な目的は、その人を長年苦しめてきた固定的でつらい物語を、自身の手で希望に満ちたものへと再構築することにあります。

このプロセスを通じて、問題への見方を変えることで新しい視点を獲得するとともに、「自分にはどうにもできない」という無力感から脱して人生の選択権を取り戻し、さらに自己肯定感を高めることで精神的な幸福感(ウェルビーイング)を高めます。

このように物語を書き換えることで、問題に支配される感覚から解放され、人生の主導権を自分の手に取り戻すことが可能になるのです。

ナラティブセラピーはどう進められるのか

ナラティブセラピーでは、カウンセラーはクライエント自身が人生の専門家であるという敬意を払い、一方的なアドバイスはしません。まずクライエントの物語を丁寧に聞くことから始め、その悩みをクライエント自身から切り離す視点で、対話を進めていきます。

1.物語の中にある問題を丁寧に聞く

まず最も重要なのは、クライエントが今、どれほど問題に苦しめられ、悩まされているのか、その頭から離れないつらいことを丁寧に語ってもらいます。カウンセラーは、その問題がクライエントの人生にどのような影響を及ぼしてきたのか、クライエントの視点に立ってじっくりと耳を傾けます。

2.問題をクライエント自身から切り離す(外在化)

物語を聞いた上で、クライエントを苦しめている問題をクライエント自身と切り離して、外にある別のものとして扱います。これは、クライエントの性格や性質として問題を捉えるのをやめる、ということです。

例えば、「心配性な私は、大事なプレゼンで頭が真っ白になってしまった」と考えるのではなく、「“不安”が私の頭を真っ白にさせて、大事なプレゼンを邪魔した」というように、問題(不安)を主語にして捉え直してみるのです。

このように問題に名前をつけたり、キャラクターのように扱ったりすることで、問題を客観的に見られるようになります。

3.問題の思い通りにならなかった物語を探す

次に、その切り離された問題(例:不安)が、クライエントの人生に及ぼしてきた影響を一緒に見ていきます。

それと同時に、「あなたが“不安”の言うことを聞かなかったことは?」「“不安”の力が及ばなかった瞬間は?」といった質問を投げかけ、問題の思い通りにならなかった、あなただけの特別な物語を探します。その特別な物語こそが、新しい物語への突破口となります。

4.クライエントの強さを元にした、新しい物語に書き換える

見つけ出した特別な物語を手がかりに、クライエントの隠れていた強みや価値観、スキルを再発見していきます。そして、それらの物語の要素をつなぎ合わせ、これからのクライエントを支える、新しい物語に書き換えていくのです。

【参考】日本ナラティブセラピー協会 、 (株)心理オフィスK

文・構成/藤野綾子

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精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。

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