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オーダースーツにネクタイ姿でキリマンジャロに登頂した鉄人社長の奇想天外すぎる経営戦略

2025.10.10

「ビジネスパーソンの勝負服」で、富士山やモンブラン、キリマンジャロの登頂に成功している社長がいる。

過酷な挑戦に身を投じる「オーダースーツSADA」の佐田展隆社長

「オーダースーツの着心地と楽しさで日本のビジネスシーンを明るくしたい」、そんな思いを胸に、社長業務をこなしながら過酷な挑戦に身を投じているのが、「オーダースーツSADA」の佐田展隆社長だ。

これまで、自社のオーダースーツを着用して挑んだ山は数知れず。

日本百名山の一つ、標高3180mの槍ヶ岳のてっぺんでもオーダースーツ。

アフリカ大陸最高峰、標高5895mのキリマンジャロ登頂でもオーダースーツ。

雨にも風にも雪にも負けないSADAのオーダースーツを社長自ら体を張ってPR。社長という地位に甘んじることなく、社員の誰よりも高みを目指すその心意気には尊敬しかないが…

なぜそこまでやるのか?

それは経営戦略としてどうなのか?

そして、本当にSADAのオーダースーツは登山にも耐えうる機能性を持ち合わせているのか?

今回、おそらく世界唯一のスーツ登山家社長である佐田展隆氏に話を聞いた。

――自社スーツで山登りを始めたきっかけを教えてください

「そもそもは、社員からの無茶振りでした笑」

――無茶振り?

「アメリカの動画マーケティングの成功事例を見つけた社員がいて、そのチャンネルではミキサー会社の社長が自社のミキサーで、iPadやナイキの靴を砕くという動画を上げていたんです」

「それを見せてくれた社員から『社長が自社製品で変なことをやるとバズるんですよ』と熱くプレゼンされました。確かにお金もかからなそうだし、私が積極的に動くことでバズるなら最高。じゃあ、やってみようかってことに」

――部下の提案に前のめりの社長って素敵です笑

「ありがとうございます。当時、2013年は富士山が世界遺産に登録されて注目を集めていたタイミングでした。私は以前から山登りが趣味で、「富士山なんてサンダルでも登れる山だ」と豪語していたので、ある会議で部下から提案されたんです」

『今、富士山が世界遺産になってアツいです。社長、スーツに革靴で富士山に登って来てください。しかもサンダルより革靴の方が登りやすいですよね?』

「結果、満場一致に。しかもスーツに革靴はもちろん、ビジネスバックを片手に富士山に登ることになりました。するとその動画が日刊工業新聞さんと産経新聞さんの取材を呼び込み、このチャレンジ動画をシリーズ化しようということになったんです」

ビジネススーツで富士山に登る!

以来、登山はもちりん、山スキーやサーフィン、マグロ釣りなどあらゆる挑戦をYouTubeで発信。これまでの挑戦で特に印象的だったものを教えてもらった。

【スーツ着用がマナー!?モンブラン登山】

「2023年にヨーロッパ最高峰のモンブラン(標高4810m)に挑戦したのですが、現地ガイドさんにスーツでの登山は可能かどうかを聞いたところ「昔の人みたいな恰好で登りたいんだな」と言われたんです」

「というのも、1900年代初頭までは多くの人がスーツ姿でヨーロッパアルプスに挑んでいたそうで、シャモニーの登山博物館に行くと、スーツにアイゼン、ピッケル、ロープという姿の登山家の写真が並んでいました。登山は紳士のスポーツだったので、「山への敬意」という意味もあったと思いますが、実際に写真を見て驚いたのを記憶しています」

【スーツでスキージャンプのきっかけはあのレジェンド!】

「ソチ五輪で41歳で銀メダルを獲得し、「レジェンド」と呼ばれて話題になった葛西紀明さんのニュースに社員が盛り上がり、私がスーツでスキージャンプをすることに」

「大学4年間、ノルディック複合をやっていたので、スキージャンプの経験はありましたが、15年ぶりだったのでスモールヒルに挑戦しようと思っていました。しかし社員は「こんな小さいジャンプ台じゃ駄目」と譲らなくて…」

「やりたいのは山々なんだけど大けがをするかもしれないし、一歩間違えれば死んでしまうかもしれない。そう伝えても社員たちは納得してくれず、結果スモールヒルとノーマルヒルの間をとってミディアムヒルで挑戦することに」

「ところが現地に行ってバーに座ってみると、「やはりコイツはマズい」と恐怖が湧いてきました。これは時間を置くともっと怖くなると思い、「エイヤ!」とスタートを切ったんですが…結果は皆さんご存知の通りです」

オーダースーツでスキージャンプしてみた

19,800円から本格フルオーダースーツが購入できる理由

自社スーツで過酷な挑戦をする一面だけがクローズアップされがちだが、それが実現できているのは「オーダースーツSADA」の製品が耐久性と機能性に満ちているからに他ならない。

頑丈で吸水速乾性や保温性も高いウール素材は超高性能。天然素材のなかでは最強だと佐田社長は語る。

「キリマンジャロでの過酷な6泊7日を1着のスーツで乗り越えられたのは、弊社のオーダースーパーに用いているウール100%生地の強度があったからこそ」

「また、冬の木曽駒ケ岳では50m近い暴風に吹かれましたが、ヒートテック的なインナーを着こんでいただけでアウターは出さずに済みました。体感マイナス20度以下でもスーツで行けることが確認できました」

さらに、各種自動化技術の導入により年間13万着のフルオーダースーツを制作し、そのうち9割を自社の直営店舗で販売。19,800円(税別)から本格フルオーダースーツが購入できる「低価格」「高品質」も大きな魅力の一つだ。

「自動化・機械化を徹底的に進めた自社工場で製造しているので、中間流通マージンを極小化出来ていおり、費用対効果はどこにも負けないものを販売できています」

「中国縫製のフルオーダースーツメーカーとして、SADAは最大手なのでボリュームディスカウントを効かせて物流費も最合理化できています。そのため、既成スーツ並みの価格で本格フルオーダースーツを仕立てることが出来るんです」

あまりの低価格に、「安かろう悪かろう」との誤解を生み、「すぐ破けるに違いない」などと言われていたこともある。

それが、佐田社長が自社スーツでの登山を始めた理由でもある。

さらにその挑戦は、スーツを進化させるヒントも生み出していた。

「岩を登るときに腕が上がりにくかったので、パターン修正で肩回りの可動域が広くなるように変更させました。今のSADAの製品は全てそうなっています」

近年、特にコロナ禍以降、オーダースーツへの関心が高まっているらしい。その理由について佐田社長はこう分析する。

「コロナ前は、スーツを着る人は何となく着ているだけだったと思います。中には「スーツは作業着」などと言う方も。しかしそれは違います。スーツは対面する相手に「感謝」と「敬意」を伝えるために着用するもの。ビジネスという場での最上級の「おもてなし」ドレスコードです」

「コロナを機に、なぜスーツを着なければいけないのか?これはどの様な意味のドレスコードなのか?を考える人が増えたと私は感じています。相手に「おもてなし感」を与えられるものを考えた結果、多くの人がフルオーダースーツを選ぶようになったのかもしれません」

日本人のスーツ姿を世界一「おもてなし感」溢れるものに

ここ数年、ビジネスパーソンのスーツ離れが進んでいると言われているが、オーダースーツSADAは好調だ。

2024年7月期の売上高は過去最高の42億円を記録し、2025年7月期は半期終了時点で前年同期の15%増になっている。

コロナにも屈せず、毎年順調に売り上げを伸ばしている理由はなんなのか?

「先にも言いましたが、「感謝」と「敬意」を伝える為にフルオーダースーツにしたいと考える方が増えたということ。自然と新規のお客様が増えている実感があります」

「 また、私のYouTubeチャンネルを始め、「激レアさんを連れてきた」などのメディア出演を見て来店されるお客様も多くいらっしゃいます。地道なブランディング施策が弊社の認知度を上げていると考えています」

まだまだ険しい道が続く紳士服業界でこれからも生き残っていくために必要なこととは?

 「弊社はハイクオリティのフルオーダースーツを低価格で販売できる背景を持った稀有な企業です。このことを正確に多くの人に知ってもらえれば、弊社は選ばれる会社として生き残っていけると思っています」

「また、「安かろう、悪かろう」などの誤解や「SADAは単なるパターンオーダー」などの誤解をしっかり解消していける情報発信が必須だと思っています」

企業のリーダーが自ら前面に立つことで、会社の知名度を上げ、フルオーダースーツの敷居を下げていく。オーダースーツのイメージを変え、業界を活気付けたい思いがそこには溢れている。

これからの佐田社長、そして、オーダースーツSADAはどこを目指していくのか?

「個人的には、インナーにスーツを着て、エベレストに登りたいと思っています。そのステップとして、今年の年末にイモトさんが断念した南米大陸最高峰アコンカグア(標高6959m)に挑戦します。まず、この挑戦を成功させ、次はヒマラヤの8000m峰に挑戦したいと思います」

「会社としては100店舗、年商100億円の企業に成長させたいと思っています。先代の父は『年商はお客様のボリュームで社会への影響力だ』と言っていました。その影響力を使い、「ビジネススーツは世界共通語での、ビジネスの場における、最上級のおもてなしドレスコード」だということを日本人に思い出して貰おうと思っています」

「日本人は世界一の「おもてなし」民族です。そんな日本人のスーツ姿を世界一「おもてなし感」溢れるものにしたいと思っています」

取材協力
株式会社オーダースーツSADA
さだ社長YouTube

文/太田ポーシャ

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