直結する大型施設が9月に本格オープンし、多くの人が集まっている高輪ゲートウェイエリア。再開発がすすむこのエリアに、ローソンとKDDIが展開する最先端のテクノロジーを駆使した「リアルテックコンビニエンスストア」がある。
この店舗はAIやロボティクスなどのテクノロジーを活用した、リテールテックの実験場として位置づけられており、従来のコンビニの「当たり前」から一歩進んだ取り組みを提供している。
「新しいお買い物体験」とは、いったいこれまでと何が違うのだろうか――。「Real×Tech LAWSON」の構想を具現化した1号店について、株式会社ローソン インキュベーションカンパニー オープン・イノベーションセンター センター長の佐久間大輔さんと、TechMagic ロボット事業本部 プロジェクト統括部 部長の曽我祐介さんに話を聞いた。
「未来コンビニ」に詰まった進化とは?

リアルの温かみとテックの力を融合させた、未来コンビニ1号店としてオープンした「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」は、「TAKANAWA GATEWAY CITY」のTHE LINKPILLAR 1 NORTH 6階にある。このローソンを構想した背景を佐久間さんはこう語る。
「将来的な労働力不足に対応するためにはテクノロジーを活用する必要があると考えていました。店舗のオープンまでは構想から約1年半。多くの企業や人の力を借りながら、目まぐるしく動く世の中に合わせて、急ピッチで取り組んできました。 従来のローソンとは違う仕掛けが多々あるため、オープン以降、特にお子様連れのお客様がテクノロジーに触れて喜んでいただいている様子が印象的です」
■商品の関連情報を表示するサイネージ
店内を見渡すと、確かに最新の技術がいたるところに活用されている。まず目に飛び込んでくるのが、各所に設置されたサイネージだ。このサイネージは天気情報や電車の遅延状況、イベント情報なども表示されるという。

商品のプライスレールをタッチすることで、商品の詳細情報がサイネージに表示されるという仕組みも。
■「からあげクン自動調理ロボ」が大活躍
そしてローソンと言えば「からあげクン」。サイネージを大規模に連動させ店舗をジャックする演出はぜひ体験してもらいたい。あげたてのタイミングでからあげクンが踊る演出や音が流れ、「からあげクン揚げたてのおしらせ」が流れるのだ。

そして、サイネージだけではなく、今回のデジタル体験において、特に力を入れたポイントが、からあげクンの自動調理ロボットだそう。冷凍されたからあげクンをスタッフがセッティングするだけで、自動的に揚げる作業を担ってくれるという。揚げている間、今までは目を離せなかったが、自動化されたことで、ほかの業務が可能になる。
「からあげを揚げる作業は一見単純に見えますが、ロボットにやらせようとすると実は結構大変な作業なんです。例えば、からあげ同士がくっついてしまうと衣が剥がれてしまうので、適切な強さで揺らす必要がありますし、揚げムラなども防ぐ必要があります。その振動に関するチューニングが難しかったですね。将来的には、冷凍庫から出して調理をし、パッケージするところまでの全自動化を目指しています」
そう語るのは、自動ロボを担当した曽我さんだ。このようなロボットの導入で、店舗業務の効率化をすることは、人手不足という側面を解決するために大きな力となるが、お客の満足度にも繋がるという。
「人材不足をフォローし、業務負担の軽減が期待できるだけではなく、従業員はあいた時間を活用し、お客様への対応など〝人でなければできないこと〟の業務により集中できます。この店舗では、からあげクン自動ロボット以外にも、飲料陳列ロボや、自動掃除ロボも活躍しています」(佐久間さん)

陳列ロボットは、どの商品がどこにあるのかを認識している。そして、アームにカメラがついており、商品の欠品部分を見つけて補充する役割を担っているのだ。

■遠隔地にいるスタッフのアバターが接客!
人手不足問題の解決という面では、もうひとつ注目なのが「3Dアバター遠隔接客」だ。例えば、タバコを購入する際の年齢確認。遠隔にいるスタッフが年齢確認すると、画面にバーコードが表示され、それを読み取ると購入できるようになっている。

「このアバタークルーはスタッフが自宅などから対応しています。東京に住んでいる必要はなく、遠隔地でも問題ありません。コンビニは現在24時間営業です。海外のクルーを活用することで、深夜帯の対応をしてもらうといったことも可能に。もともとは外で働けない人の雇用を増やすという目的でスタートしましたが、多様な働き方を実現するためのシステムとして重要な位置づけになっていくと思います」(佐久間さん)
ほかにも、店内の防犯カメラではAI分析を行い、客がどのように歩いているのかや、どこで悩んで何を買ったのかなどを分析。個人情報の取得はしていないそうだが、属性として「男性の若者が」というレベルでの調査は行い、マーケティングの一環として活用もできるという。

「今後の店舗展開に、Real×Tech LAWSON1号店で得た情報を活用していく予定です。しかし、ここに導入しているテクノロジーすべてが全国の店舗に入るということは考えていません。地域や立地に合わせた特性があるので、店舗ごとに最適な組み合わせを考えていく必要があります。テクノロジーで担う部分と、リアルな人が担う部分のすみ分けを店舗ごとに吟味して展開していきたいと思います」(佐久間さん)
お客にとっての新しい体験価値の創造と、店舗従業員の働きやすさにもつながるオペレーションの革新を目指している「Real×Tech LAWSON」。高輪ゲートウェイエリアからスタートしたローソンの新しい挑戦をぜひ体験してもらいたい。
文/田村菜津季
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