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忙しいビジネスパーソンこそ「リート投資」が向いている理由

2025.10.07

リートとは何か

リート(REIT)は、たくさんの投資家から集めたお金で不動産をまとめて買い、その家賃や売却益を配当として受け取れる仕組みです。株式と同じように証券取引所で売買できますから、現物のマンションを一棟買うような大金は不要です。東京証券取引所の公式ガイドでも、J-REITは上場しているため少額・分散・高い換金性が特徴だと説明されています。また、米国の業界団体Nareit(米不動産投資信託協会)は、多くのREITが利益の大半を配当として投資家に支払う枠組みで運営されると述べています。配当の“出どころ”が家賃という日常的なキャッシュフローであることが、リートの分かりやすさです。

とはいえ、仕組みがシンプルでも何に投資しているかで性格は変わります。オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテルなど、用途によって景気への強さや賃料の動き方が違います。ここを用途ごとの顔つきとしてつかむと、ぐっと理解が楽になります。

リートにはどんな商品があるのか、具体的な投資先も解説

まず最初は、実在の投資法人名を交えながら主要セクターの特徴を解説します。たとえばオフィスなら、三井不動産系をスポンサーにもつ日本ビルファンド投資法人(8951)が代表的です。東京23区の中でも競争力の高いビルを集め、オフィス特化で運用している大手で、「上場REITの草創期からの主力」という立ち位置が分かりやすいはずです。

三菱地所系のジャパンリアルエステイト投資法人(8952)も同様に、都心オフィスを主戦場に据える老舗のひとつです。オフィスは景気や働き方の変化に敏感で、空室や賃料改定の波が出やすい一方、立地・ビルグレードが強い物件は底堅いという二面性があります。

住宅では、全国の賃貸住宅へ幅広く投資するサムティ・レジデンシャル投資法人(3459)が身近です。単身者向けからファミリー向けまで、入居者が分散されることでディフェンシブな安定感を作りやすいのが住宅セクターの良さです。住宅は契約の回転が速く、退去と入居の積み重ねでじわりと賃料を積み上げるタイプなので、派手さはないが粘り強いという理解が適切です。

商業施設では、流通大手グループを背景にもつイオンリート投資法人(3292)がわかりやすい存在です。大型ショッピングセンターを中心に、地域の日常生活を支える“生活インフラ資産”へ投資しているのが特色です。固定賃料に加えてテナントの売上に連動する歩合賃料が入る場合もあり、消費環境の良し悪しが配当に映りやすいのが商業セクターのクセです。

物流では、日本プロロジスリート投資法人(3282)といった国際物流デベロッパー系が軸になります。いずれも先進的な物流施設(高天井・大型梁下・自動化対応など)を関東・関西の幹線アクセス良好なエリアに集中的に持ち、長めの賃貸契約でキャッシュフローを安定化させる考え方が基本です。Eコマースが伸びる局面では堅調ですが、新規供給が重なると賃料改定が鈍るといった供給サイクルの影響も受けます。

ホテルでは、ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)が代表例です。固定賃料に加えてホテル売上に連動する可変賃料を組み合わせる形が一般的で、インバウンドや景気の波をダイレクトに受ける高ベータ資産です。観光旺盛期は強く、外的ショック時は弱い──この “振れ幅” をどう扱うかがホテル投資の肝になります。

こうしたリートの種類がみえてくると、銘柄の選び方がぐっと立体的になるはずです。リートの性格を踏まえた上で、あなたの家計や働き方に合うセクターが見えやすくなります。

リート投資のメリット・デメリット

リートの一番の魅力は、配当の見通しが立てやすいことです。分配の源泉は基本的に “家賃” であり、運用報告書には入居率や賃料改定、借入の状況などが細かく開示されます。さらに、上場リートは数万円から買えて、いつでも売れるという利便性もあります。個人で物件を買って管理・修繕・入居者対応をする手間は不要で、運用はプロに任せることができます。結果として、株式・債券に次ぐ “第三の柱” として、家計に毎期のキャッシュインをもたらす役割を期待できます。

一方で、リスクがないわけではありません。まず、リート価格は金利と景気に敏感です。金利が上がると借り換えコストが高くなり、同じ家賃でも投資妙味が薄く見えやすく、評価倍率(P/NAV)が重くなりがちです。景気が落ち込めば空室が増え、賃料が伸び悩み、分配も弱くなります。商業やホテルのように売上連動部分(歩合・可変賃料)がある用途は、景気の波がそのまま数字に現れます。また、リート配当は一般的に課税対象で、現物不動産の減価償却のような節税効果は期待しづらい点も理解しておきたいところです。

こうしたプラスとマイナスを天秤にかけたうえで、用途分散と時間分散を意識すると、リスクの山谷を慣らしやすくなります。住宅や物流で “守り” を作り、オフィスや商業で “景気のうねり” を拾い、ホテルなどインバウンドを少量のスパイスにする──そんな配合を月次・四半期レベルの点検とセットにすれば、配当の安定と増やし方の両立が現実的になります。

どんな方がリートに投資するのが向いているか

リートは、忙しいビジネスパーソンと相性が良い資産です。現場作業が不要で、KPI(入居率、賃料改定、LTV、借入の固定比率など)を数字で追えるからです。毎月の余剰資金で定期つみたてをし、ボーナス時に指値で買い増しする、といったルール運用との相性も抜群です。逆に、自分で物件をいじりたい、借入を活用して大きくレバレッジを効かせたいという方には現物不動産のほうが向いているかもしれません。

初めての一歩を踏み出すなら、まずは自分のお金の用途を書き出してみてください。たとえば「毎月の安定収入がほしい」「老後資金の柱を作りたい」「景気回復の波に少し乗りたい」── その答えに合わせて、セクター比率を決めることが近道です。安定を重視するなら住宅・物流を厚めに、成長を取りにいくならと、用途ごとに “代表格” をひとつずつ判断材とすることです。

ここで大切なことは、買わない基準も先に決めておくことです。たとえば「LTV(借入比率)が高すぎる銘柄は買わない」「直近の入居率が明確に悪化している銘柄は見送る」「P/NAV(ピー・ナブ)が極端に高いときは焦らず待つ」など、3つだけルールを決めておきます。あとは、毎月・四半期に一度、各銘柄のIR資料や決算サマリーをさらりと眺め、数字の推移に違和感がないかを確認するだけで十分です。

おわりに

リートは、配当を得るための現実的な選択肢です。その特徴を理解し、代表的な投資法人をベンチマークとして頭に入れておけば、ニュースや金利の変化も自分ごととして読み解けるようになります。始め方はシンプルでかまいません。まずは目的と代表銘柄を決めて、積立と指値で時間分散を効かせ、買わない基準で感情を整える。これだけで、投資はぐっと続けやすくなります。

今回の賢者のビジトークはREIT投資について解説させていただきました。

文/鈴木林太郎 経済ライター

テックと経済の“交差点”を主戦場に、フィンテック、Web3、決済、越境EC、地域通貨などの実務に効くテーマをやさしく解説。企業・自治体の取材とデータ検証を重ね、現場の課題を言語化する記事づくりが得意。難解な制度や技術を、比喩と事例で“今日使える知識”に翻訳します。

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