
ベルギー生まれの清涼菓子・FRISK®。1粒口に入れただけで得られる強烈な爽快感に魅せられている人も少なくないはずだ。
このFRISKが、そのまま缶の清涼飲料水になったのは去年2024年のこと。味に関しては賛否両論あったものの、喉を貫く銃弾のような爽快感は確かに巷を震撼させた。詳しく後述するが、あれで刺激を感じない者はまずいないだろう……という具合だ。
この『FRISK SPARKLING』は、今年5月に新ラインナップの『GRAPE』を発売した。今回は製品の開発の裏側を、当事者から伺う機会に恵まれた。
喉への一撃のような爽快感
筆者の自宅に『FRISK SPARKLING』が届いた。
商売柄、メーカーやPR会社から商品のサンプルが送られてくることはよくあり、中にはだいぶ高価であろうガジェットがほぼ一方的に届いたりもするのだが、どのみち共通するのは「気が乗らなかったり、そもそも面白味のない製品は記事にしない」という筆者の方針。そのあたりの条件は、先方にも絶対に呑んでもらう。
その上で、初めて試してみる『FRISK SPARKLING』だが……うわっ、こりゃまたすっげぇ飲み応えだぞ!?
SNSでは「『FRISK SPARKLING』はまずい」という声も一部あるようだが、筆者はそうは感じなかった。味ではなく……そう、やはり喉への一撃のような爽快感が全身を奮い立たせるのだ。物書きの仕事の最中、気合いを一発入れるために飲むものだと考えたら、この『FRISK SPARKLING』は役目を十分に果たしている。
間違いなく、これは気分転換を促すための飲み物だ。
夏に箱買いする人も!
物書きほど、気分転換がモノを言う商売はないはずだ。
執筆仕事には「スタック」という現象がある。たった一文を捻り出すために、何時間も考え込まなければならない現象だ。最近では「AIを使えばスタックなんかしなくなる!」と言ってChat-GPTやGeminiに文章を書かせるライターもいるそうだが、筆者はそんなことをするくらいならとっとと筆を折っている。
人間のライターは、しばしばスタックを起こす。だからこそ、AIには決して書けない一文を捻り出せる。
スタックした時は、何かしらの手段で気分転換を実施する。『FRISK SPARKLING』が常時手元にあれば、当然それを開封するだろう。
てか、これはマジで強烈だ……!
「この商品は飲み物としてかなりのインパクトがあるので、一息つきたい時や気分転換をしたい時に適しています。運転の最中に疲れて休憩する時や、暑い時のクールダウン、眠気覚ましにもいいですね」
そう説明するのは、ダイドードリンコ株式会社マーケティング部 流通企画開発グループ リーダーのバン・クリストフ氏。曰く、「熱心なファンの方は、毎年夏の時期に『FRISK SPARKLING』を箱買いしている」という。
「主なユーザーは、デスクワークの方やゲームのプレイヤー、編集関係の仕事をしている方など、長時間座りっぱなしで疲れが溜まりがちな方々に注目されている印象です」
「説得、というよりも共感」
さて、上述したように『FRISK SPARKLING GRAPE』は今年5月から発売が始まった商品で、これが『FRISK SPARKLING』シリーズの第2弾になる。
2024年発売の第1弾は味も缶のデザインも「まさにFRISK」というものだったが、『GRAPE』はそれよりも飲みやすい甘さが加わっているのが特徴だ。これについてバン・クリストフ氏は、こう説明する。
「第1弾の発表当時から、あの尖った味わいを苦手と感じる方が一定数いると予想していました。そのため、第2弾ではよりマイルドな味わいがベストだと考えていました。お客様からも〝刺激が強すぎるからもう少しマイルドにしてほしい〟〝もっと飲みやすくならないか〟といった声も寄せられていました。
一方で、飲みやすさを追求しすぎた結果、社内の一部からは〝美味しいけれど、なんだかFRISKらしさが失われている〟という声も上がりました。これは刺激感や爽快感といったFRISKの本質が薄れてしまったことが原因だと考え、味わいをゼロから設計し直しました」
そこから幾度もの試作を重ね、開発陣は「華やかで甘口な味わいと既存品に近い刺激感を生み出すことに成功した」という。しかし、一部の開発メンバーからは「まだ確信が持てない」という声も。
そこからの解決の流れを説明するのにバン・クリストフ氏が使った表現が、
「説得、というよりも共感」
である。
意見が分かれるからこそ
「しっかりと合意形成を得るために、実際に試飲してもらいながらコンセプトを丁寧に説明しました。また、社内調査を通じて〝FRISKらしさ〟という第1弾の特徴がしっかりと踏襲されていること、そしてマイルドな味わいも感じられることを数値的に把握し、異なる意見に寄り添いながら、対話を繰り返し、共感を得る形で合意形成を図りました」
ここで言う「合意形成」とは、SNSでインフルエンサーたちが日々繰り広げている「論破を目指す討論」ではないことに注意が必要だ。
我々現代人は、あまりにも「論破」にこだわり過ぎているきらいがある。それはクラウゼヴィッツの『戦争論』に書かれているような「殲滅戦理論」にも似ている。が、軍人ではない者が日常の場面でその理屈を導入すると、結局は相手との遺恨だけが残ってしまう可能性が高い。
だからこそ、このタイミングで出てきた「共感」という言葉に我々は耳を傾けるべきだ。
次に、同社マーケティング部 コミュニケーショングループの森島玲雄氏がこう解説する。
「『FRISK SPARKLING GRAPE』は、マーケティング部と関連部署の累計30人以上がしっかりチェックし、適切な中身になっているか吟味しています。第1弾発売時に圧倒的な特徴が好きだった既存ファンもいる一方で、より飲みやすいものを求める方も多く、どちらの層も満足させる絶妙なラインを目指さなければいけませんでした。そういった様々な意見を持つ消費者が全員満足するような中身を作るのは、特に難しかったと思います」
人間の世界は、チームメンバーが30人どころか5人だけだったとしても「意見が分かれる」という現象が頻繁に発生する。だからこそ、「相手の共感を促すにはどうすればいいのか」ということを真剣に考えなければならないはずだ。
「知性のまとめ方」を学ぶ
森島氏が語ったように、『FRISK SPARKLING』にとっては第1弾よりも第2弾の開発のほうが何かと困難だったに違いない。これはどのような製品にも当てはまることで、既存のファンとこれからファンになるかもしれない人の両方のニーズを、程よく掬い上げなければならないからだ。
『FRISK SPARKLING』はそれだけ考え抜かれた製品で、人一倍の知性を有した人々が全力以上の全力を振り絞ってようやく具現化したもの……と表現するべきだろう。
そして、その知性の使い方や「複数人の知性のまとめ方」も、ここまで書いた『FRISK SPARKLING』の開発秘話から学ぶことができるはずだ。

【参照】
新カテゴリー“冷感リフレッシュ飲料”「FRISK SPARKLING GRAPE」(フリスク スパークリンググレープ)を新発売!-PR TIMES
取材・文/澤田真一