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ドイツ発「Staffbase」が仕掛ける、従業員の幸福度を上げるユニークな戦略

2025.10.07

コストをかけた割にはシステム運用が上手に行かないという話はよく聞く。特にAIが上手く働かずに使いづらいという意見や、外資系のシステムは細かな点で融通が利かずに、使いにくいと言う声も多い。そんな中、ドイツ本社のStaffbase(スタッフベース)のコミュニケーションツールが注目されている。このほどStaffbase Japanカントリーマネージャーに就任した赤平百合さんに、使いやすさの秘密について聞いてみた。

会社全体でエンゲージメントアップを目指す

――今年6月から日本のカントリーマネージャーに就任されましたが、それまでのご経歴とご専門分野を簡単に教えてください。

赤平さん はじめまして!簡単なプロフィールですが、17年間、IT企業に勤務し、直近ではオラクルでSaaS事業などを統括していました。特に外資系企業を含め、日本市場に展開するスタートアップを3社ほど担当してきた経歴があり、私自身、ゼロからの立ち上げを得意としています。

これまでの体験から、外資系の大手企業に属して特定領域のスペシャリストとして働くよりも、小さな企業であっても、自分が主役となって、ゼロから会社のカルチャーや営業戦略を創り上げるような仕事が好きで楽しいと感じています。今年6月からドイツ本社のStaffbaseが日本での事業をスタートさせることに参加できて、毎日、楽しいですね。

――仕事が楽しいと感じられるのはとても素敵ですね!Staffbase日本代表としての抱負を教えてください。

赤平さん 米国ギャラップ社の従業員エンゲージメント調査で、日本の「仕事に対して意欲的かつ積極的に取り組む人(Engaged)」の割合はわずか6%にとどまっており、世界最低水準であることが判明しました。私自身、日本代表としてStaffbaseが「働く人の幸福度アップに繋がるためのお手伝い」をしていきたいと考えています。すべての従業員、お客様、働くあらゆる人の幸せの実現を目指します。

そのためには誰一人、取り残されない情報発信、コミュニケーションの仕組みを作って行きたい。単なるツールの提供ではなく、働くための体験やエンゲージメントの向上といった、会社全体の変革のパートナーとしてお役に立ちたいと思います。

――「変革のパートナー」ついて、詳しく解説してください。

赤平さん 日本だとデジタトランスフォーメーションは業務改善のツール的な印象ですが、私達は従業員のエンゲージメントにフォーカスしていて、会社全体の変革のためのお役に立ちたいのです。

変革とひとことで言っても、会社の変革に関わる人間はトップだけではありません。社内には変革を担う人はたくさんいらっしゃいます。コミュニケーションリーダーはもちろん、人事、IT担当者、営業、現場で働く人々、パートさんやアルバイトさん……変革とはそういったすべての人に関わってくる問題です。グローバル企業では同じ社員でも使う言語が違うし、働く場所も異なります。Staffbaseのコミュニケーションツールは70以上の言語に対応し、自分で使っているスマートフォンを使って会社の情報を獲得できるようになっています。

Staffbase Japan カントリーマネージャー
赤平 百合さん

本当に必要な情報だからこそ読みたくなる

――ドイツに本社を置くStaffbaseのコミュニケーションツールは国境や言語を越えて伝わるツールなのですね。

赤平さん 北米で働く営業の社員で英語しか話せない人だったら、英語の情報が表示されますし、アジアの工場で働く人なら、現地の言語で安全性などの情報が表示されます。ゲリラ豪雨などの自然災害や、工場のカフェテリアのランチ情報といった、その人に合った情報が通知されるので、自然に読むことができます。

自分が主役となって見に行くことで、必要であるニュースが伝わるのです。そこに、経営層のメッセージが挿入される仕組みなので、トップダウンでもスムーズにメッセージが伝わる仕組みとなっています。

――社長からのメッセージは真面目に読まなくても、カフェテリアの今週のランチメニューや、帰宅時のお天気情報なら読みたいです!

赤平さん ランチメニューの情報入手の流れで社長のメッセージが挿入されていたら、つい読んでしまうでしょう。そういった、伝えるための細かな工夫が凝らされているところが、スタッフベースの強みのひとつです。

日本では特に製造業で働く人たちに利用していただきたいと考えていますが、工場以外にも店舗など、会社からパソコンが支給されていない人であっても、自分のスマホやiPadといった個人のデジタルツールで利用できます。そうやってトップの声を伝え、従業員の声を拾い上げることで、企業の変革につなげることが可能になります。

パソコンを支給されていない現場の人でも自分のスマホが使える

ユーザーに寄り添うことで使いやすさがアップする

―― Staffbaseのコミュニケーションツールは、その企業に応じて作られるのですか?

赤平さん コミュニケーションツールの使い方はその企業によってそれぞれ異なるので、お客様の要望に応じて細かく作っています。スマホにはその企業用に作られたStaffbaseのコミュニケーションツールをアプリとしてダウンロードでき、 そこをタップすれば会社のサイトに繋がり、あらゆるテータを一つにまとめて管理することが可能です。例えばあと何日、有給休暇が残っているかを確認することもできます。

さらに例えば新入社員のために、教育ツールを配信して、問題を解きながら知識を得られるようなサイト作りも効果的です。

これまで日本の工場では会社の携帯やスマートフォンが支給されていないところがほとんどでした。結果的に、コミュニケーションツールそのものが利用できなかったり、社員向けのサイトを開いても使いにくかったり、そもそも利用してみようと思えないようなサイトだったりしたのです。

そうした課題に対し、私どものコミュニケーションツールは個人の携帯で利用でき、かつ、安心・安全に使えるような社員向けのサイトにすることも可能です。

コミュニケーションツールの活用で社内全体の意思疎通が向上

――Staffbaseはどんなサービスに特徴もしくは強みがあり、世界中に認知されるようになったのでしょうか?

赤平さん コミュニケーションツールそのものは新しいサービスで、これから広がってくる市場です。Staffbaseはコロナ禍でフェイスtoフェイスのコミュニケーションができない期間に、その問題を解決するために、多くの企業様に導入して頂いたのでツールの利便性などには実績があります。

先ほど、「トップダウンで社長の文章が流れてきても、読まない人がほとんど」という話が出ましたが、同じように、会社のニュースをただ伝達しても、読んでくれません。私たちはそれらの問題をモバイルファーストで解決していこうと考えています。日本ではまだまだ普及しているとは言えない分野なので、主に製造業をターゲットに進展し、物流や医療機関などへ広げていく予定です。

――特に利用しているお客様からの声を教えてください。

赤平さん 日本本社で海外拠点をもっている企業が、海外との連携が簡単にできた、という声はよくいただきます。言語も複数、対応できるので、その点も良かったと評価していただきました。

また、日本国内で展開している企業からは、モバイルを使うことで、経営層と現場のコミュニケーションが良くなったと言われました。アプリを使うことで簡単に読むことができ、会社や経営層からのメッセージを伝えやすくなったと評価されました。

Staffbaseのサンプル画面

アンケートを取って終わりのツールではない

赤平さん コミュニケーションツールではアンケートを使って、現場の声などの情報収集することがあります。例えば従業員満足度のアンケートや、実施したキャンペーンの感想や、社長が代わった時に「新社長に聞きたいことはありますか?」といったアンケートです。でも、そのアンケートで収集した生の声を次のアクションにどう生かすかという点が、従来のコミュニケーションツールでは上手く対応されていなかったようです。

私どものツールでは収集したアンケート情報を使って、企業文化をどう変えていくか、クライアントにどう対応していくかという、対処の方法まで具体的に踏み込んでいる点に、お客様から高い評価をいただいています。

コミュニケーションツールでアンケートをして、結果の数字を社員に発表しただけでは、次につながりません。たとえ「80%の人が良いと評価しました」という数字が出たとしても、ではあとの20%に深刻な問題や解決すべき課題が潜んでいないのか、8割の人が良いと感じている点をより成長させて100%にすべき点はどこか、といった点には言及されていなかったのです。私どもではそうした点を改善させて、社員のエンゲージメントを高めるようなシステムにしています

さらには、従業員の幸福=エンゲージメントの定義そのものもわかっていない企業もあるので、私どもと一緒にゼロからそれを構築していく。それは企業の文化を創造する私どもには、世界中で2000社以上の企業と1650万人以上の従業員で利用して頂いた実績があるので、そうした事例を日本の企業に提案しながら、社員の幸せに繋げていきます。

――よく、外資系のシステムは使いにくいという印象がありましたが、Staffbaseではアンケートの対応など、細かに対応している点が、「使いにくさ」を払拭しているように感じます。

赤平さん クライアントの要望に寄り添って、きめ細かく何がしたいのかを解決する、そんな工夫が凝らされたツールです。情報を確実に届けるにはどうしたら良いか、徹底的に考えられています。ですから、スマホの中だけでなく、重要な情報は社内のデジタルサイネージに連動して、モニターでの同時発信も可能です。

届くべき人と場所へきちんと情報が届くようなシステムです。たとえば法律が改定されたら、それに関係する部署だけに法律の概要について、わかりやすい解説文を届けることもできます。これまで、会社から届くメールは未読が多いと言われていましたが、それは関係ない情報が大量に入ってくるからで、本当に大事な情報しか来なかったら、必ず開いて読むでしょう。

二つの新たな連携サービスでより使いやすく便利に

――具体的なStaffbaseのサービスを知るため、個別の案件について教えてください。まず、電通総研とのパートナーシップですが、電通総研を選んだ理由や、Staffbaseが今回のパートナーシップに期待している点について、教えてください。

赤平さん 電通総研さんとはとても良いご縁を頂きました。今回はリセラーパートナー(販売代理店)としての契約です。大手企業向けの遠隔支援など、業界の実績のある電通総研さんは多くの大企業のお客様をサポートしておりかつ、経営者改革ということで理解をいただき、興味を持ってくれた点はとてもありがたいことです。

――9月2日、ServiceNow(サービスナウ)社との製品連携を発表しました。「デジタルワークフローと社内コミュニケーションが融合され、ServiceNow AI Platformの機能をすべて の従業員が活用できるようになる画期的なサービス」とのことですが、私達ユーザーにどんなメリットがありますか?

赤平さん ServiceNowとはグローバルでの連携を結ぶことができました。互いのツールを使えるようになるのはユーザーにとってはとてもメリットがあるでしょう。例えば、StaffbaseのコミュニケーションツールにServiceNowの検索機能を活用することが可能になります。

デジタルワークフローと社内コミュニケーションが融合され、ServiceNowの機能を使えるようになると、例えばタスクの決定までに要する時間が短縮できるようになるといったメリットも考えられます。

ServiceNowは特に業務の効率化といった面で有効なツールであり、Staffbaseはコミュニケーションツールとしてのノウハウをもっています。二つが合わされば、多くの企業が課題とする業務効率化と、エンゲージメントを高めることができるでしょう。

――最後に赤平さんが考えている今後の目標や課題などについて教えてください。

赤平さん 日本でブランドを確立してコミュニケーションリーダーとして浸透させていきたいというのが第一の目標です。弊社は全世界のコミュニケーションのリーダーです。特に広報などコミュニケーションリーダーとコミュニティを作っていますが、そういった立場の人に向けて、社内広報の従業員インターナルコミュニケーションのメッセージを伝えることができたらと思っています。

特に日本がものづくりで発展してきたからこそ、製造分野で働く人々をコミュニケーションツールでハッピーにしたいという気持ちが強く、現場の社員から会社を強くさせていくことに力を注いでいきたいですね。もちろん、物流、医療などにもターゲット拡大していこうと考えています。仕事のモチベーションが成果に与える影響は大きいと思います。コミュニケーションツールで多くの人を幸せにできたらと願っています。

Staffbase Japan カントリーマネージャー
赤平 百合さん

日本や韓国、香港などの東アジアで17年以上にわたりSaaSおよびクラウド企業のビジネス拡大に携わったグローバルビジネスリーダー。ダイバーシティと女性リーダーシップを支援し、次世代のインクルーシブリーダーの育成に積極的に取り組んでいる。異文化に関する専門知識と人材重視のアプローチにより、日本市場に進出するグローバル企業にとって信頼できるパートナーのひとり。Staffbase入社以前は、日本オラクルで4つの市場でSaaSビジネスの拡大と、クラウド教育部門の成長を牽引。HubSpot Japanでは初代ゼネラルマネージャーとして市場参入と現地オペレーションを指揮し、Meltwater Japanでも上級職を歴任し、代表取締役を務めた。

取材・文/柿川鮎子

Author
明治大学政経学部卒業後、経済系新聞社で自動車、ISOなどの担当記者に。退社後5年間、動物病院に勤務した経験から、飼い主さんの気持ちに寄り添ったペット記事を執筆中。 得意なテーマは 1)生産性向上などのマネジメント関連と、 2)犬猫やエキゾチックを含 めた飼育動物全般、の2つ。 作家として小説「犬にまたたび猫に骨」(講談社刊)、「極楽お不妊物語」(河出書房新社)を発刊。ノンフィクションでは小学館刊「全国から飼い 主が駆けつける!犬の名医さん100人データブック」、文春新書「動物病院119番」、ほか多数。趣味は野鳥観察、現在、2羽のオカメインコを溺愛中。

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