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「ダイナミックプライシング」って何?変動料金制の商品を買うことのメリット

2025.10.23

ダイナミックプライシングによる価格設定のステップ

ダイナミックプライシングによる価格設定は、以下のステップを経ておこなわれます。

・ステップ1.データ収集
・ステップ2.需要の予測
・ステップ3.価格設定

とくに、最適価格を決定づけるデータ収集は重要なステップです。ここでは、各ステップのポイントとともに手順を確認していきましょう。

■ステップ1.データ収集

まずは、ダイナミックプライシングに必要なデータを収集します。大切なのは、以下のようになるべく詳細で膨大なデータを集めることです。

・月別・曜日別の売上高と来客数
・曜日別・時間帯別の来客数
・顧客の属性
・天候、曜日、時間帯
・在庫数
・イベント内容

これらのデータに加えて必要なのが、競合他社の価格設定情報です。データ収集の幅が広いほど、より最適な価格を設定できます。

■ステップ2.需要の予測

収集したデータをもとに需要を予測します。AIシステムを活用すれば、予測業務を効率化でき便利です。

手動で予測する場合は「移動平均法」または「指数平滑法」を用います。

【移動平均法】
一定期間の平均値を予測値とする方法です。過去の売上実績を四半期(3カ月ごと)で区切っている場合は、該当月の直近3カ月の平均値を参考にします。

【指数平滑法】
予測した需要と実際の需要の差を元に、次の需要を予測する方法です。

計算式 予測値 = α× 実績値 +(1-α)× 予測値(見込み)

α:平滑化定数と呼ばれ、0から1までの値を取る重要なパラメータです。
α の値が1に近いほど直近のデータに重みが置かれ、予測は最新の変動に敏感になります。
α の値が0に近いほど過去の予測値に重みが置かれ、予測は安定します。

移動平均法に比べると、計算自体は比較的単純です。しかし、α の値を適切に設定する必要があるため、予測分析に慣れない間は移動平均法の利用をおすすめします。

■ステップ3.価格設定

分析結果を元に価格を設定します。AIシステムを導入している場合は、1円単位で設定可能です。

設定後は、価格変動によりどのくらいの成果がでたのか、分析と改善を繰り返します。ダイナミックプライシングは導入して終わりではなく、各部署での成果の共有と調整が必要なことを理解しておきましょう。

ダイナミックプライシングの導入ポイント

ダイナミックプライシング導入時は、以下のポイントをおさえることが大切です。

・業界内や競合他社を分析する
・信頼性や透明性を重視する
・適切に価格をコントロールする
・専門的な知識をもつ人材を確保する

導入が企業成長につながるよう、それぞれの重要性を確認していきましょう。

■業界内や競合他社を分析する

ダイナミックプライシング導入時は、業界内や競合他社をあらためて分析しましょう。業種によっては、価格変動の仕組みが適さないケースも考えられます。

たとえば、価格の透明性が重視される教育関連サービスや、生活必需品である食料品などは、ダイナミックプライシングの効果が限定されやすい分野です。導入が顧客離れにつながる可能性もあるため、業界や競合他社の動きを分析し現状を把握してください。

■信頼性や透明性を重視する

ダイナミックプライシングを導入する際は、その理由を明示し、顧客の理解を得る必要があります。理由が不明確な価格設定は、顧客の不信感を招く恐れがあるからです。

理由とともに顧客側のメリットを提示すれば、顧客エンゲージメントが高まります。導入時は価格の透明性を重視しながら、顧客との適切なコミュニケーションを図りましょう。

■適切に価格をコントロールする

需要があるからといって、価格をあまりに高く設定するのはダイナミックプライシングにおいて逆効果です。最高値と最安値との幅が広いほど、顧客の不満は生じやすくなります。

価格にはあえて上限または下限を設け、その範囲内で適切にコントロールする意識が重要です。AIシステムを活用すれば、状況の変化に応じた適切な価格を設定しやすくなります。

■専門的な知識をもつ人材を確保する

ダイナミックプライシングは、専門的な知識をもつ人材の確保が成功の鍵となり得ます。AIシステムを導入する際も同様です。システムを適切に運用できるような環境整備が求められます。

企業成長につなげるためには、中長期的な視点も必要です。導入時はランニングコストもふまえ、設備投資を検討してください。

ダイナミックプライシングの活用事例

東京ディズニーランド®ならびに東京ディズニーシー®を運営する株式会社オリエンタルランドでは、2021年3月20日入園分のチケットから変動価格制を導入しています。

これにより、来場者は閑散期と繁忙期のチケット代を比較検討できるようになりました。

また、2025年10月時点では15時から利用できる「アーリーイブニングパスポート」や、17時以降の夜のパークを楽しめる「ウィークナイトパスポート」も設けられています。

料金は、パークを1日楽しめるチケットより低く、顧客はよりお得にチケットを購入できる仕組みです。企業側は需要の下がりやすい時間帯の顧客を獲得でき、ダイナミックプライシングならではのメリットが反映した事例といえます。

参考:株式会社オリエンタルランド「東京ディズニーランド(R)/東京ディズニーシー(R)チケットの変動価格制導入について」

ダイナミックプライシングへの理解を深めよう

ダイナミックプライシングでは、需要に応じて商品やサービスの価格を設定します。利益増加が期待でき、顧客側にもメリットのある経営戦略のひとつです。

ただし、場合によっては企業と顧客双方にデメリットをもたらすケースも考えられます。導入時はそれぞれへの理解を深めたうえで、変動価格制による効果の最大化を図りましょう。

文/編集部

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