ダイナミックプライシングとは、変動料金制のことです。需要に応じてモノやサービスの価格を変え、顧客に提供します。本記事では、ダイナミックプライシングの仕組みやメリットについて解説します。導入時に気を付けたいポイントや事例なども参考にしてください。
目次
ダイナミックプライシングとは、モノやサービスを常に一定価格で販売するのではなく、需要に応じて価格を変動させる仕組みのことです。適正価格で提供することにより、企業と顧客、双方にメリットをもたらします。本記事ではダイナミックプライシングについて、わかりやすく解説します。
ダイナミックプライシングの意味とは

「ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)」とは、商品やサービスの需要に応じ、価格を変動させる仕組みのことです。ダイナミックには「動的」や「精力的」、プライシングには「価格設定」などの意味があります。
「変動料金制」とも呼ばれるダイナミックプライシングは、航空機やスポーツ観戦のチケット、ホテルの宿泊料金などに導入されています。
これらの共通点は、季節やイベントなどにより需要が異なることです。近年はAIの普及により、より柔軟で確実な需要予測が実現しています。
ダイナミックプライシングにおける価格変動の仕組み

ダイナミックプライシングは、以前は人の手によって行われていました。近年、この仕組みを柔軟かつ確実なものにしているのがAI(人工知能)です。
AIは、過去の売上額や顧客動向などを分析し、商品やサービスに対する需要を推定します。さらに、年間の固定費や変動費、利益などをもとに最適と思われる価格を算出するという仕組みです。
たとえば、需要が高いと思われる時期に価格を高く設定すれば、利益の最大化が図れます。反対に、需要が低い時期に行う値下げは、顧客に対する商品やサービスの利用訴求につながります。
【企業・顧客】ダイナミックプライシングのメリット

ダイナミックプライシングは利益増だけでなく、顧客満足度向上につながる点が大きな特徴です。企業と顧客、双方にメリットをもたらす仕組みといえます。
ここからは、メリットの具体的な内容について確認していきましょう。
■企業側のメリット
ダイナミックプライシングを導入すると、以下のようなメリットが期待できます。
・収益拡大
・設備・人的リソースの有効活用
・在庫数の最適化
・マーケティング戦略への活用
需要に応じた最適価格を設定すれば、おのずと収益が拡大します。分析段階で必要と思われる設備、スタッフを把握できるため、設備や人的リソースの有効活用にもつながるでしょう。
生産時の無駄がなくなり、在庫数の最適化が図れる点もメリットのひとつです。また、顧客情報や購買動向などのデータをマーケティングに活用することで、さらなる企業成長が期待できます。
■顧客側のメリット
ダイナミックプライシング導入による顧客側のメリットは、時期によってリーズナブルな価格で商品やサービスを利用できることです。
たとえば、航空機のチケットは早朝、深夜など利用者が少ない便ほど価格が低く設定されています。ホテルの宿泊代は、閑散期は安く繁忙期は高く設定されるのが一般的です。
ダイナミックプライシングを上手に活用すれば、大幅な節約を実現できます。価格が低い時期を予想し旅のスケジュールを組むこともできるでしょう。
【企業・顧客】ダイナミックプライシングのデメリット

ダイナミックプライシングがもたらすのは、メリットだけではありません。企業と顧客、双方にデメリットとなるケースも考えられます。
とくに企業において、デメリットの把握は重要です。場合によっては利益損失につながる可能性があります。そのため、導入前はメリットとデメリットを比較したうえで慎重な検討が求められます。
■企業側のデメリット
企業におけるダイナミックプライシングのデメリットは、主に以下の3点です。
・顧客の不信感を招く恐れがある
・導入にコストを要する
・繁忙期のニーズが低下する
価格の変動率があまりにも大きいと、顧客の不信感を招く恐れがあります。需要の高い時期に価格を上げ、利益を得たいという考えが顧客の反感を買う可能性もあるでしょう。
また、AIを用いたダイナミックプライシングの導入には、一定のコストが必要です。さらに、「閑散期になれば価格が安くなる」という顧客の考えが、繁忙期のニーズを低下させる恐れがあります。
■顧客側のデメリット
ダイナミックプライシングを上手に活用すれば、利用者は商品やサービスを割安な価格で手に入れられる可能性があります。しかし、希望する利用のタイミングが必ずしも需要の少ない時期と重なるとは限りません。
そのため場合によっては、価格が高い時期に購入せざるを得ないケースもあります。さらに価格の変動が頻繁に起きると、利用者にとっては買い物時のストレス要因となる可能性もあります。







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