
常に上を目指す「野心家」。強みとなる一方で、心を疲れさせることもあります。この記事では、野心家の特徴としんどさ、そして野心を味方にするセルフケアの方法を心理的視点から紹介します。
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「野心家」という言葉に、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。上昇志向の強い人? 自己中心的? それとも、努力家でブレない人?仕事でも人間関係でも「もっと上へ」と望む気持ちは、誰の中にもあるもの。ですが、それが強く出すぎると、バランスを崩して、自分や周囲との関係にズレが生まれることもあります。
この記事では、心理カウンセラーの視点から、野心家の強みとクセ、その裏にあるしんどさ、そして野心とちょうどよく付き合うヒントをお届けします。
「野心家」ってどういう人? 思考と行動パターンをひもとく
理想を追う野心家には、独特の思考や行動パターンがあります。ここでは、そんな特徴をひもといてみましょう。
(1)常に次のゴールを見据えている
いま手にしているものに満足しきることがなく、すぐに次のステージを目指します。その未来志向が「ガツガツしてる」と見られることもありますが、本人にとっては自然な姿勢です。
(2)我が道を行く、自己基準の人
他人の意見よりも、自分の美学や基準を優先しがちです。信念を貫ける強さがある反面、チームでの協調性に課題が出ることも。
(3)勝負ごとには人一倍熱い
「負けず嫌い」という言葉がぴったりで、競う場面では本気モードに切り替わるタイプ。平時は落ち着いて見えても、内に熱い情熱を秘めています。
(4)自分に厳しくストイック
野心家の人は、人に見せないところで、自分を追い込みがち。「もっとやらなきゃ」「まだ不十分」と、ハードルを上げ続けます。それが成果を生むこともあれば、息切れにつながることもあります。
(5)評価がガソリンになるタイプ
他人から認められることで、自分の存在価値を感じやすいのも特徴です。結果を出したい、称賛されたいという気持ちが、日々のモチベーションになるのです。
野心が暴走すると、なぜ心が疲れるのか?
野心が悪いわけではありません。でも、ちょっとしたズレが心のバランスを崩し、しんどさを生むことも。ここでは、野心が強く出すぎたときに起きやすい傾向を見ていきます。
(1)手応えがあっても「まだまだ」と感じてしまう
成果を出しても「まだ足りない」と感じ、永遠にゴールが来ない感覚に。安心する間もなく次へ走り出すことで、満足感を味わえず心が擦り減ってしまいます。
(2)人より成果を優先してしまう
信頼関係よりも結果や効率を優先しすぎて、人間関係にひびが入ることも。 本人に悪気がなくても、成果へのこだわりが距離感を生んでしまうこともあるのです。
(3)小さな失敗が、大きな自己否定につながることがある
一つのミスで、自分の価値そのものを疑ってしまう。そんなストイックさの裏側には、強い自責のクセが隠れていることがあります。人一倍努力しているのに、うまくいかないと「自分はダメだ」と落ち込むことも。
(4)熱量の押しつけで、人間関係がすれ違ってしまう
同じ温度感や本気度を他人にも求めてしまい、「やる気がないの?」と苛立つことも。温度差に気づかずにいると、関係がギクシャクしてしまいます。
(5)本音を話せる相手が、まわりにいないと感じてしまう
「強くあらねば」と気を張り続けることで、本音を誰にも打ち明けられなくなることがあります。気づけば、心を開ける相手がまわりにいないと感じてしまうことも。
野心を味方に変えるセルフケア
理想を追う姿勢は素晴らしいこと。けれど、野心が強すぎると、心が疲れたり、人間関係にすれ違いが生まれることも。ここでは、野心を味方にするための心の整え方をご紹介します。
(1)小さな「できたこと」に目を向けてみる
野心が強い人ほど、達成してもすぐに次の課題へと意識が向かいがち。その背景には、不足感が隠れていることがあります。だからこそ、どんなに小さなことでも「できたこと」「やりきったこと」に目を向けてみてください。プロセスを認めていくことで、気持ちが安定し、もっと心地よく頑張れるようになりますよ。
(2)「誰のため?」を問い直す
野心がエネルギーとなって動けるのは素敵なこと。でもその矢印が「自分」だけに向きすぎると、いつしか孤独や孤立を生むこともあります。そんなときは、「この目標は誰のため?」「どんな未来につながってる?」と問い直してみてください。その野心に、誰かの役に立ちたいという志が重なったとき、周囲との信頼や共感が育ち始めます。
(3)比べるなら、「昨日の自分」と
野心家の人は、他人の成果やスピードに敏感になりやすいもの。でも、他人との比較はキリがなく、自分のペースを見失ってしまう原因にもなります。「昨日より、ほんの少しでも前に進めたかな?」と問いかけてみてください。そうすることで、結果だけでなくプロセスを大事にできるようになり、自信も少しずつ積み上がっていきます。
(4)「不安な気持ち」も、責めずに受け止める
野心を持つ人ほど、「ちゃんとしなきゃ」と気を張ってしまうことがあります。でも、焦りや不安、落ち込みが出てきたときこそ、それを否定せずに「そう感じてもいいよ」と寄り添ってあげることが大切です。そうやって自分にやさしくできると、気持ちが安心し、また自然に前へ進めるようになります。さらに、自分の弱さを受け止められる人は、人との距離も縮めやすくなっていきますよ。
野心を、あなたの味方にするために
野心は、未来を切り拓く力になります。けれどその反面、焦りや自責に振り回されて、心がすり減ってしまうことも。だからこそ、不安や弱さを責めずに受け止め、これまでのプロセスをねぎらうことが大切です。そうすれば、心が整い、もっと気持ちよく前に進めるようになります。
野心は「自分を前に進める力」。志は「周りを巻き込み、共に進む力」。両方がそろったとき、成長は長く続いていきます。野心を上手に活用し、ちょうどいい距離感を見つけていきましょう。
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