裁判所のジャッジ
男性の請求は棄却されました。
裁判所はザックリ、
・男性社員の発言は就業規則の【性的言動】にあたる
・戒告処分は問題なし
・なので、損害賠償請求は認めないです
と判断。
▼【性的言動】とは何か?
―― セクハラ社員、何か反論でも?
セクハラ社員
「私の発言には性的な意味は含まれないから【性的言動】にはあたりません」
―― 裁判所さん、いかがですか?
裁判所
「シャラップ!【性的言動】には『女性だから……』という性別により役割分担すべきとする意識に基づく言動も含まれる」
▼ Xさんの発言は【性的言動】にあたるか?
裁判所は以下の点に着目しました。
・男性社員が、男性トイレを使うのに下ろしたものをなんで上げてくれないのかなどといった話を繰り返した、こと
・「Yさん、基本、男性用やから、男性用使わしてもらんやからー、下ろしたもんは、上げといてよ」などと発言
結果、「本件各発言は、女性が男性も使用するトイレを使用した場合には、後に使用する男性のために便座を上げるべきという、性別により役割分担すべきとする意識に基づく言動にほかならないので【性的言動】にあたる」と認定しました。
詳細は割愛しますが〈+ 女性社員に不利益を与えた〉ということで就業規則に違反すると判断しました(つらい思いをして何回も病院に行かれたようです)。
▼ 戒告処分はOKか?
裁判所は「戒告処分はOK」と判断しました。理由は以下のとおりです。
・3度にわたり女性社員に対し、ハラスメント発言をした
・部長から注意を受けても、少なくともそのあと2度、同様の発言をした
・事情聴取等をした部長らに対して、「下ろしたものをなんで上げてくれないのか」などといった話を繰り返す
・部長から「上げとけということ自体が間違っており、前に言ったことを全然わかっていない」として叱責を受けたあとも「謝るような問題なんすかねー」と発言
・自己の発言に対する問題性を 十分に認識しているとは認められない状況
・戒告処分は懲戒処分の中で最も軽い
というわけで、戒告処分はOK!(=社会通念上相当)と判断。なので男性の会社に対する損害賠償請求は棄却されました。
さいごに
「女性だから○○」「男性のくせに○○」のような発言はパワハラに該当する可能性が高いです。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
文/林 孝匡