ミニチュアねこの可愛さがぎゅっと!書籍化によって広がる魅力
目黒さんは「ミニチュアねこを書籍にしましょう」「せっかくなら、書籍レーベルを展開しましょう」と提案。そうして進んだミニチュアねこの2次元化プロジェクトは、書籍ならではの特質が活かされた。
「ミニチュアねこの弱点は、コンセプトを知らないと、単なる猫のフィギュアだと誤解されてしまう危険性があるところです。その点、書籍という形ならば、ギミックをしっかり見せることで、“とても小さくて不思議な新種の猫たち”という世界観なのだとわかってもらえます」
コーヒースプーンの上でくつろいでいたり、ちくわの穴から這い出たり、将棋盤の上で駒を指したり。写真にすることでミニチュアねこたちの“ミニチュアさ”がしっかりと可視化できた。
さらにミニチュアねこたちが快適に過ごせるグッズや、与えるべきご飯、一緒に暮らすとどう幸せになれるかを4コママンガなどで展開し、出版社のノウハウがあればこその「飼育書」ができあがった。これを読めば「かわい! 飼いたい!」という気持ちになり、ミニチュアねこへの購買欲がいっそうアップする。
「岡田さんの妄想を書籍化するお手伝いできるかが自分のスタンスでした。岡田さんたちは広告ポスターの世界で活躍していますから、アイデア、画像の合成、レタッチへのこだわりが本当にすごいんです。そこに僕は編集者としてどうパッケージしていけばいいのかを考えていきました」
「勉強にはならないけれど、空想の楽しさを伝えたい」
こうして出版社の中に立ち上がったカプセルトイの書籍レーベル「パンダの穴BOOKS」。もちろん、続刊の予定がある。
「Gakkenの本ですが、勉強にはなりません(笑)。ただ、子どもたちに『空想することは楽しいんだよ』と伝えたい。パンダの穴BOOKSはそういう基本理念のレーベルだと思うんです。今後は今回のような写真による構成だけではなく、絵本にししてゆくなど、商品ごとに見せ方は変わってくるでしょう。自分たちも空想しながら、楽しい本をお届けしたいですね」
ガチャの「パンダの穴」から生まれた“ちょっとヘン”にこだわる書籍レーベル。これが成功すれば、カプセルトイだけではなく、ステーショナリーであったり、ファッションブランドであったり、スイーツであったり、さまざまな業種の書籍レーベルが誕生するかもしれない。出版不況が叫ばれる昨今だが、出版社と他の企業がガチャッと手を組めば、新たな展開が生まれるのではないかと期待している。