小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

雷が鳴ったらコンセントを触ってはいけない?電気のプロが教える「雷サージ」の危険性

2025.10.16

雷が鳴り始めてからコンセントを抜くのは、感電の恐れがあるため危険です。雷が落ちると発生する「雷サージ」は、数km離れた場所でも電線や通信線を通じて家の中に入り込み、PCや家電を故障させるリスクがあります。雷サージによる被害の99%は、直撃ではなく「誘導雷・逆流雷」が原因です。対策としては、使わない時はプラグを抜いておくか、雷サージ保護機能付きの電源タップや、住宅全体を保護する避雷器付きの住宅分電盤の設置が有効です。

目次

突然の雷雨。

窓の外で、ゴロゴロと不穏な音が響き始めた時、ふと頭をよぎるのは「コンセントを抜かなきゃ……」という焦りではないでしょうか。

仕事を支えるPCや、毎日の暮らしに欠かせない家電たち。

まさか、雷で壊れてしまうなんて考えたくもない……。

でも、実はその「抜く」という行為そのものに、危険をはらんでいます。

「雷サージ」という脅威から身を守るためにも、雷の影響と、正しい対処法について、電気設備のプロフェッショナル、パナソニックの西さんと永吉さんに教えてもらいましょう。

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 マーケティングセンター 商品営業企画部 電設資材商品部 電路・盤企画課 西 杜和さん

同課 永吉奈々子さん

雷がなっている時、コンセントを触ってはいけない理由

雷が鳴っている時、コンセントに触ってはいけないのはなぜでしょうか?

詳しく聞いてみました。

■雷が鳴ったら電源プラグには触れない

「雷が鳴り始めてから電気製品の電源プラグを抜くのは、感電の恐れがあるため非常に危険です。ゴロゴロと聞こえたらコンセントには触れないようにしましょう」(永吉さん)

■PCや家電が壊れる…恐怖の「雷サージ」って何?

「雷が落ちると、その周辺にある電線や電話線、アンテナなどに瞬間的に大きなサージ電圧(異常な高電圧)が発生します。

これを『雷サージ』といいます。たとえ数キロ先に落ちた雷でも、電線などを伝わって『雷サージ』が建物内に入り込み、家の中の電気機器などを故障させるリスクがあります。

特に、パソコンやテレビ、スマートフォンなど電子部品を多く使う電気機器ほど高電圧に弱く、被害を受けやすいので注意が必要です」(西さん)

■「直撃雷サージ」と「誘導雷サージ」、「逆流雷サージ」の違い

「雷サージには『直撃雷サージ』と『誘導雷サージ』、『逆流雷サージ』の3種類があります」(永吉さん)

1.直撃雷サージ

「建物の避雷針やアンテナ、送電線・通信線などに直接落雷する現象です。衝撃は大きいですが影響は局所的です」

2.誘導雷サージ

「電線の付近などに落雷した場合に電線や電話線から流れ込む現象で、これは広範囲に影響が出やすく、数km離れた場所でも影響を受ける恐れがあります」

3.逆流雷サージ

「近くの樹木や建造物に落雷した場合に地面を伝ってアースから流れ込む現象で、落雷電流の一部がアースに流れ込むことで、接続した電気機器が壊れる可能性があります。

雷被害は直撃雷のイメージがありますが、99%は『誘導雷・逆流雷など』が原因で、雷サージ対策の必要性は近年高まっています」

【参照】雷サージとは – 雷対策のポイント | 音羽電機工業 – 雷サージ対策、SPD、避雷器、耐雷トランス

雷サージ対策の必要性 – 雷対策のポイント | 音羽電機工業 – 雷サージ対策、SPD、避雷器、耐雷トランス)

恐ろしい雷。家庭でできる対策ってどうすればいいの?

実は、落雷による家電製品の被害は、いつどこで起きてもおかしくないのです。

そのため、適切な対策が重要になってきます。

大切な家電やデータを守るために、家庭でできる雷対策を確認しましょう。

■不在時や使わないPCや家電の電源プラグとケーブル類は抜いておく

「雷被害を防ぐには、不在時や使わない時は電源プラグとケーブル類を抜いておいて、電源と家電やパソコンを遮断することが一番重要です。

しかし、都度の抜き差しは手間になりますし、ゴロゴロと鳴ってから電源に触れるのは大変危険です」(西さん)

■雷サージ低減素子の付いた電源タップに交換

「対策の1つとして、雷サージ低減素子付きの電源タップを利用することが挙げられます。

雷サージ低減素子付きの電源タップは、完全には雷サージの被害を防げませんが、被害にあう確率を下げることはできます。

ただし、ずっと利用できるわけではありませんので要注意です。雷サージ(過電圧)を受けることで電源タップの雷サージ低減素子は劣化してしまいます」(永吉さん)

■避雷器付きの住宅分電盤に交換

「雷サージ低減素子の付いた電源タップを使用するといった対策も有効ですが、局所的な手段のため、随所に同様の対策を講じなければ安心できません。

そこで、住まいの電気の入り口、いわば元栓である『住宅分電盤』に、避雷器搭載のパナソニックの『かみなりあんしん ばん』を設置いただければと思います。

これだけで、住まい全体の雷サージ対策(※1)が可能となります。

また、「避雷器(※2)」は雷サージを受けても繰り返し使えます(※3)。

避雷器本体のLEDが消灯したら交換の合図です。近くで落雷した場合は必ずチェックしてください」(西さん)

※1 電話線やテレビアンテナなどから侵入してくる雷サージに対しては、電気機器の保護はできません
※2 侵入する雷サージを避雷器に流し、大地に逃がすことで、電気機器に過電圧がかからないよう保護しています
※3 (参考)避雷器が雷サージに耐えうる回数:5kA×15回 10kA×1回 以上」

【参照】かみなりあんしん ばん | 高機能商品のご提案 | 住宅分電盤 コンパクト21 | 電設資材 | Panasonic

地震後の「通電火災」も住宅分電盤(感震ブレーカー)で対策

「地震がおさまって電気が復旧した時に、倒れた電気製品や破損した電源コードなどが火元となり発生する『通電火災』。

東日本大震災での火災発生原因のうち原因が特定できた54%が電気関係の火災だったと言われています。

大切な家財を守るためにも、これからの住まいには、この『通電火災』への対策が欠かせません。

対策の1つが『感震ブレーカー』です。避雷器と同様に住宅分電盤に搭載することで、こうしたリスクに備えることができます。

「感震ブレーカー」は、震度5強以上の地震を感知すると、避難時間(3分)を確保したのち、主幹ブレーカを強制遮断して家の電気をストップします。停電後の電気の復旧による通電火災など、避難時のブレーカ切り忘れによる火災の発生を抑えます。

大きな地震の後は、気が動転することも。ブレーカを切る行動すらできない地震を想定し、強制的に電気を断つ備えが大切です。

また、住宅分電盤(※4)に空き回路があれば、避雷器と感震ブレーカーの両方を搭載することも可能です。

これにより、『雷サージ』と『通電火災』という2つのリスクに同時に備えることができ、より安全性の高い住まいづくりにつながります」(永吉さん)

※4 パナソニック製コンパクトブレーカ搭載住宅分電盤の場合

【参照】感震ブレーカー | 住宅分電盤 | Panasonic

■保険で対策する方法も

「もう1つの対策は雷保険への加入です。故障を防ぐ方法ではありませんが、修理や買い替えの出費を補うことができます。

落雷は天災なので、雷で家電が故障、損傷してしまった場合、メーカーの無料保証期間内であっても修理は有償になります。

販売店の延長保証や火災保険(家財)によっては落雷被害の補償を付けられるものもあるので、事前に調べておくとよいでしょう」(西さん)

【参照】雷で家電やパソコンが壊れる「雷サージ」とは?今すぐやっておきたい雷対策

Screenshot

落雷時のコンセントの扱いでよくある質問【FAQ】

■Q.なぜ雷が鳴っている時にコンセントを触ってはいけないのですか?

A.雷が鳴り始めてから電気製品の電源プラグを抜くのは、感電の恐れがあるため非常に危険だからです。

■Q.「雷サージ」とは何ですか?

A.雷が落ちた際に、その周辺の電線や電話線、アンテナなどに発生する瞬間的な異常高電圧のことです。

■Q.どのような電気機器が雷サージに弱いですか?

A.PCやテレビ、スマートフォンなど、電子部品を多く使う機器は特に被害を受けやすいです。また、インターネット回線につながったPCやIoT家電は、通信線からも雷サージが侵入するため、さらにリスクが高まります。

■Q.雷サージにはどのような種類がありますか?

A.「直撃雷サージ」「誘導雷サージ」「逆流雷サージ」の3種類があります。

■Q.雷による被害は、どの種類の雷サージが原因となることが多いですか?

A.99%は「誘導雷・逆流雷など」が原因で、数km離れた場所でも被害を受ける可能性があります。

■Q.雷の影響で停電した場合、どうすればいいですか?

A.停電したら、復帰の際にブレーカが落ちるのを防ぐため、電気製品の電源プラグをコンセントから抜くことが推奨されます。

■Q.雷から家電を守るための家庭でできる対策には何がありますか?

A.不在時や使わない時に電源プラグを抜いておくこと、雷サージ保護機能付きの電源タップを利用すること、避雷器付きの住宅分電盤に交換すること、そして雷保険に加入することなどが挙げられます。

■Q.雷サージ保護機能付きの電源タップを使えば、被害を完全に防げますか?

A.完全には防げませんが、被害に遭う確率を下げることができます。ただし、一度過電圧を吸収すると保護機能を失うため、継続的に使用できるわけではありません。

■Q.「感震ブレーカー」とは何ですか?

A.震度5強以上の地震を感知すると、自動的に主幹ブレーカを遮断し、停電後の通電火災を防ぐ機能を持った機器です。

■Q.なぜ雷保険への加入が対策の1つになるのですか?

A.落雷による家電の故障は天災とみなされるため、メーカーの保証期間内でも修理が有償になることが多いです。保険に加入することで、修理や買い替えの出費を補うことができます。

こちらもチェック!

雷対策はコンセント周りだけじゃない!家電に被害が出てしまう理由とは?

在宅時間の増加で需要拡大!ひそかに売れている電源タップおすすめ8選

全国65の自治体が補助金に対応、地震発生時の通電火災を予防する「感震ブレーカー」とは?

※当記事に掲載している価格などのデータは2025年10月時点でのものです。

文/中馬幹弘
編集/ライター。慶應義塾大学卒業後、野村證券にて勤務。アメリカンカルチャー誌編集長、モノ情報誌編集を歴任

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年10月16日(木) 発売

DIME最新号は、「2025ヒット商品総決算」特集&「攻殻機動隊」映像化30周年大特集!今年話題を集めたヒット商品をどこよりも早く徹底解剖。DIMEでしか手に入らない「攻殻機動隊」オリジナルカレンダーが特別付録に付いてくる!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。