
「この仕事、何のためにやっているんだろう?」日々の業務に意味を見出せず、そう感じたことはありませんか?特に若手社員の方であれば、誰しも一度は抱く悩みかもしれません。その背景には、目標や評価基準が不明確であったり、自分の役割が曖昧だったりすることが挙げられます。この記事では、あなたの仕事に「意味」を見出すための具体的なヒントを、識学の観点から解説します。この記事を読み終える頃には、日々の業務に対する捉え方が変わり、モチベーションを高く保ちながら仕事に取り組めるようになるでしょう。
なぜ、「意味」を探してしまうのか?
あなたは、なぜ目の前の仕事に「意味」を探してしまうのでしょうか?それは、無意識のうちに「仕事の意味は誰かに与えられるもの」と考えているからです。上司から与えられた指示や業務に対して、「これは何につながるのだろう」「何のためにやるのだろう」と自問自答するのは、その業務の目的が明確に示されていないケースがほとんどです。
しかし、識学の観点から見ると、仕事に「意味」を求めるという状態自体に問題があります。なぜなら、仕事に意味を求める行為は、自分の責任範囲を超え、組織全体の目標や他者の役割にまで関心を向けてしまうためです。例えば、「この作業は非効率だ」「もっと別のやり方があるはずだ」と考えるのは、本来自分がやるべき役割ではない「効率化」や「仕組みづくり」に意識が向いている状態と言えます。
もちろん、組織全体をより良くしようと考えることは素晴らしいことですが、それはまず自分の役割を完璧にこなせるようになった後の話です。自分の役割が曖昧な状態で、組織全体に意識を向けても、具体的な行動にはつながりにくく、結果的に「この仕事に意味があるのか?」という漠然とした疑問を抱えることにつながります。
仕事の「意味」は、自分で見つけるものではない
では、どうすればこの悩みを解決できるのでしょうか?識学の考え方では、「仕事の『意味』は、与えられた役割を全うすることで生まれる」と捉えます。つまり、仕事に意味があるかどうかは、その仕事が誰かに与えられた瞬間に決まるのではなく、あなたがその仕事の結果を出したときに初めて生まれるものなのです。
例を挙げてみましょう。あなたが営業担当として、既存顧客への定期連絡というタスクを指示されたとします。このタスクには、「売上につながらない」「直接的な成果が見えない」と感じるかもしれません。しかし、この定期連絡を徹底して行うことで、顧客との信頼関係が深まり、結果として大きな商談につながったとします。このとき、あなたは「この定期連絡には、顧客との関係を深めるという重要な意味があったのだ」と認識することができます。
このように、仕事の「意味」は、結果を出した後に後付けで生まれるものです。あなたが与えられた役割に集中し、その役割の範囲内で最大限の成果を出すことができれば、自ずと仕事に対する価値観ややりがいを感じられるようになります。重要なのは、「やるべきこと(=役割)」に集中することであり、「意味」を探すことではありません。
若手社員がやるべきこと:評価基準と目的の明確化
では、具体的に若手社員は何をすべきなのでしょうか?
最も重要なことは、上司に自分の役割と評価基準を明確にしてもらうことです。もし、あなたが「この仕事の意味がわからない」と感じているのであれば、それはあなたの役割が曖昧である可能性が高いです。役割が曖昧だと、どこまでやれば良いのか、どのような結果を出せば評価されるのかが分からず、不安を感じてしまいます。
上司とのコミュニケーションの際には、下記のような内容を確認しましょう。
「この仕事の目的は何ですか?」
この仕事が組織全体のどの目標につながるのかを確認します。
「この仕事の評価基準は何ですか?」
完了の定義、品質の基準、期限などを具体的に確認します。
「私の役割は何ですか?」
あなたが担うべき責任範囲を明確にします。
これらの質問をすることで、あなたは自分の役割を具体的に把握でき、やるべきことに集中できるようになります。そして、与えられた役割を全うすることに集中すればするほど、結果が出るまでのスピードが上がり、仕事に対する「意味」や「やりがい」を実感しやすくなるでしょう。
上司が担うべき責任:役割と評価基準の明確な設計
一方、この記事を読んでいる上司の方にも、明確に認識していただきたいことがあります。それは、部下の役割と評価基準を明確に設計し、伝える責任があるということです。
識学では、組織は役割の集合体であると捉えます。それぞれの社員が自分の役割を全うすることで、組織全体の目標が達成されるのです。しかし、その役割が曖昧なままでは、部下はどこに集中すれば良いのか分からず、結果的に「この仕事、意味あるの?」と悩むことになります。これは、部下個人の問題ではなく、マネジメント側の問題である可能性が高いと言えます。
上司は、部下に業務を依頼する際に、下記のような点を明確に伝える必要があります。
・この業務の背景:なぜこの業務が必要なのか、組織のどの目標に紐づくのか。
・期待する成果:具体的にどのような結果を出してほしいのか。
・評価のポイント:どこを見れば成功と判断できるのか。
これらを事前に明確に伝えることで、部下は自身の役割を正しく理解し、安心して業務に取り組むことができます。また、明確な評価基準があれば、部下は自身の成長を実感しやすくなり、モチベーションの向上にもつながります。
記事のまとめ
「この仕事、意味あるの?」という悩みは、多くの若手社員が抱えるものです。しかし、その背景には、仕事の意味は誰かに与えられるものだという無意識の前提や、自分の役割が不明確であるという問題が隠されています。
識学の観点では、仕事の「意味」は、与えられた役割を全うし、結果を出すことで後から生まれるものです。重要なのは、「意味」を探すことではなく、「やるべきこと(=役割)」に集中することです。
若手社員の方は、まず上司に自分の役割と評価基準を明確にしてもらいましょう。これにより、あなたは仕事に対する集中力を高め、自身の成長を実感できるようになります。
そして、上司の方は、部下が「この仕事、意味あるの?」と悩まないよう、日頃から役割と評価基準の明確化を徹底してください。これにより、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
日々の業務に集中し、自分の役割を全うすることで、あなたの仕事は必ず「意味あるもの」に変わっていくはずです。まずは、あなたの目の前にある役割に、全力で向き合ってみましょう。
文/識学コンサルタント 細見 翔太