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なぜか面接官によって評価が違う…採用のブレをなくす方法

2025.10.06

「面接官によって合否の基準が違い、結果的に自社の理想像とかけ離れた人材ばかり採用される―この悩みは多くの組織のトップや人事担当者が直面する課題です。こうした“採用のブレ”は、評価基準の曖昧さや属人化や「基準・体制の不明確さ」が主な原因です。本記事では、採用活動を“属人性”から脱却させるための採用・育成一体型プロセス設計の手順と、評価基準の明確化・運用の実践法まで、具体策をセットで提示します。

採用の属人化がもたらす組織リスク

採用活動は組織の目的達成のため、その役割を担う人・将来的に担える人を集める重要施策です。しかし、よくある誤解は「今すぐ戦力になる人=最適人材」と考え、実務能力のみを重視する採用基準です。実際には、たとえスキルがマッチしていても、組織のルールや文化に適応できない人材は、中長期で組織の看板を損ね、成長を阻害するリスクとなります。

面接官の経験や勘に頼り、評価基準が曖昧なまま採用活動を進めると、面接官ごとに着目するポイントがバラバラになり、評価軸がぶれる結果となります。こうした属人化によって「組織適応能力」や価値観のマッチングがおろそかになり、定着率の低下や離職率の増加、チーム力の低下につながるのです。

明確な採用基準の策定と統一

「実務能力」と「組織適応能力」の両面から、理想とする人材ペルソナを明確化することが重要です。まず、自社の経営方針や事業戦略、現場からのニーズ、そして既存の優秀人材の行動特性を洗い出します。

採用基準書や評価シート、質問例リストなどを作成し、全面接官に事前共有することで、評価のバラつきを防ぎます。抽象的な表現は避け、「前の職場や今までの経験」などを「いつ、どのような状態で」と具体的に確認することが重要です。

組織適応能力の定義とその重要性

組織適応能力とは、「自己評価ではなく他者評価を受け入れる能力」「自分の立場や上司・部下の位置づけを正しく認識する能力」、この2点を柱とする組織で働くうえで不可欠な力です。これは自己中心的でなく、組織のルール・上司のフィードバックを受け入れ、適切に振る舞える力とも言い換えられます。専門的スキルや実務経験がいくら高くても、この組織適応能力が乏しければ、長期的な活躍や組織定着にはつながりません。

一見「即戦力」に見える人が、組織文化と価値観に馴染めず短期離職や対人トラブルを招く事例は後を絶ちません。したがって、実務能力だけで評価・採用を行うと、“当たり外れ”の博打的要素が強まり、本来の組織力強化が妨げられてしまうのです。

評価・面接プロセスの仕組み化

採用活動のブレを防ぐには、プロセス自体の仕組み化・標準化が不可欠です。特に「構造化面接(Structured Interview)」の導入は、再現性の高い採用を実現するうえで有効です。

具体的には、面接において全候補者に同じ質問と評価項目で対応し、回答を定量的に記録します。評価項目に応じた加点・減点ルールを設けることで、主観の排除と客観的な合否判定が可能になります。

さらに、複数面接官がいる場合は面接・評価会議で、「判断基準のすり合わせ」や「合否ラインの統一」を実施し認識のズレを無くすことが大事です。加えて、選考ごとのデータ管理や進捗・通過率の分析を仕組みとして導入すれば、ボトルネック分析や課題抽出にも役立ちます。

採用プロセス効率化

評価の仕組み化だけでなく、採用業務全体の効率化も押さえるべきポイントです。求人掲載から応募受付、候補者情報管理、進捗状況・面接結果の一元管理を実現します。これにより人的ミスの防止・連絡ミスの削減・進捗の見える化が可能となり、採用精度の向上と担当者負担の軽減が実現できます。

自動返信メールや面接スケジュール調整、選考結果の自動通知などの機能も活用できるのであれば、コミュニケーションの属人化を排除も可能になります。

応募~面接~内定~入社後フォローまで採用フローをスピーディーかつ効率的に運用することを目指します。

他にも、現状の採用データ(応募数・通過率・離職率等)を分析し、課題がどこに発生しているか定量的に把握したうえで、改善サイクル(PDCA)を回すことが仕組み化の要となります。

「採用」単体では組織は強くならない

「良い人を採る」ことだけに注力しない理由は明確です。採用だけで組織運営を安定させるのは、“一発勝負”に依存するリスクの高い施策です。むしろ、「ポテンシャルのある人材を見極めて採用し、組織内で育てること」こそが真に再現性のある人材戦略となります。

つまり、自己利益中心の行動を優先するよりも、組織や上司の求める組織の中で役割を果たすことのできる“適応能力”が高い人材を採用できれば、その人は組織の中で育てることが可能となるので、入社後の育成プログラムへとつなげる「採用・育成一体型プロセス」を機能させることができます。

採用活動と育成をつなぐ「仕組み」の強化

採用時点で“完璧”な人材ばかりを採用できる企業は存在しません。「将来的な可能性」にも比重を置き、採用後の「育成」もセットにした仕組みこそが、組織の未来を安定させます。

たとえば、評価シートの活用に加え、入社後の教育・研修とOJT実務実践経験化と連動。新入社員・中途社員の“成長課題”を早期に明文化し、成長支援型プログラムを用意すれば、成長速度と定着率双方が高まります。採用時の“見極め”と育成施策の連動が、組織文化に根ざした人材育成の要となります。

まとめ

面接官ごとの評価の違い(採用のブレ)は、評価基準や仕組みの曖昧さから生じます。理想の人材ペルソナの明確化・評価基準・面接プロセスの全社的な標準化・データ活用・コミュニケーションの自動化まで、一貫した仕組みづくりが再現性の高い採用には不可欠です。

また、組織における評価の枠組みを定義し、誰が面接しても「同じ質・同じ観点」で評価できるプロセス管理体制を築くこと。特に「組織適応能力」を、(1)他者評価の受容 (2)立場への自覚という明確な定義で見極め、採用・育成を連動させる設計が欠かせません。

さらに採用後の育成までを連動させることで、単なる即戦力採用にとどまらず、持続的な組織成長へつなげることができます。属人化の排除と評価・運用ルールの明文化で、誰が面接しても同じ質・同じ観点で人材を見極めることができる。その仕組み化こそが、これからの人事・採用活動の鍵です。

文/識学コンサルタント 藤田 聖二

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