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米国の雇用統計はなぜ注目されるのか?個人投資家がおさえておくべき市場への影響

2025.10.04

投資を始めると耳にする「米国雇用統計」。なぜ注目されるのか?2025年9月5日に発表された8月分の結果と、市場に与える影響についてまとめた。

毎月発表される米国雇用統計は、アメリカの景気を表す経済指標の一つだ。数値の結果により為替や株価が上下するため、日本の個人投資家にとっても注目度の高い数値だろう。

しかし、投資判断の参考値になると理解していても、なぜ注目されるのか、発表された数値をどのように解釈すればよいかがわからない投資初心者も多いはず。

そこで本記事では、新NISAなどをきっかけに投資をスタートした投資初心者向けに、米国雇用統計の数値が表す意味や現時点までの状況について解説する。

2025年9月発表の米国雇用統計8月分は市場予測から大幅に乖離

8月の米国雇用統計は、非農業部門の就業者数が2.2万人増と、市場予測の「7.5万人増」や、前月の「7.9万人増」の数値をいずれも下回った。

失業率は市場予測の4.3%と一致したものの、前月の4.2%を上回り、2021年10月以来の高い水準となっている。

また、平均時給は前月比+0.3%と市場予測および前月と一致したものの、前年同月比では3.7%の上昇で、7月の+3.9%から下振れた。

■なぜ米国雇用統計がこれほど注目されるのか?

米国雇用統計は、FRBが金融政策を決定する上で重要視する指標の一つだ。雇用者数や失業率、賃金動向は、景気の「健康診断表」として機能し、FRBが利上げや利下げの判断を下す際の重要な手掛かりとなる。

特に今回のような弱いデータは、FRBが景気の浮揚策として利下げに踏み切る可能性を示すため、市場の関心を集めやすい。

米国雇用統計とは?個人投資家にも重要な経済指標の基礎知識と見方

米国雇用統計(Employment Situation)は、毎月第1金曜日に米労働省が発表する経済指標だ。景気の現状を測る「非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」が主要な項目で、日本時間での発表時刻は、アメリカのサマータイム期間中は21:30、冬時間では22:30頃となる。

■米国雇用統計の読み方と市場への影響

米国雇用統計では、雇用者数の増加が予想を上回る場合、景気拡大のシグナルと受け取られ、株価やドル相場の上昇につながりやすい。ただし、インフレへの懸念が過度に強まると、FRBへの「利上げ期待」が高まり、株価の下落につながるケースもある。

失業率の上昇は、景気後退への懸念を高め、投資家が安全資産とされる債券に資金を移すことで、金利が低下する傾向が見られる。

平均時給の上昇もインフレ圧力を強め、利上げの根拠としてFRBに作用する場合がある。

■投資初心者が陥りがちな米国雇用統計の誤解

米国雇用統計では「雇用の改善=株価の上昇」という単純な見方が通用しないケースがある。たとえば、2022年のように雇用が好調でFRBが利上げを急いだ結果、株価が下落した前例がある。そのため、単月の数値だけでなく、過去の修正値やトレンド(傾向)もあわせて読むことが大切だ。発表直後の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資の判断材料としよう。

2025年の米国雇用統計の推移と重要な転換点は?

米国雇用統計の2024年から2025年までの推移と、過去数値と比較した現在の状況を見てみよう。

■2024年後半から2025年前半のアメリカの雇用動向

アメリカの雇用は、コロナ禍からの急回復フェーズを終えた2025年前半にかけて企業の採用熱が落ち着き、徐々に減速傾向を見せはじめたとされる。

これは、インフレがピークアウト(上昇率が鈍化)し、企業が人件費を抑える動きに転じたことが原因と言える。業界別ではテック業界が人員削減を進める一方、医療や介護などのサービス業は比較的堅調な雇用を維持していた。

■2025年の転換点となった要因分析

2025年に入ってからは、以下の要因により雇用動向が転換したと見られている。

  • FRBの利上げ政策:2022年から2024年にかけての利上げ(景気冷却策)が企業の採用意欲を冷え込ませた。
  • 企業のコスト削減:企業が収益性を維持するため、積極的な採用を控える動きが強まった。
  • AIや自動化技術の進展:特定の分野では人に代わる技術導入が進み、求人が抑制された。
  • 地政学リスク:関税政策などの不確実性が、企業の投資や雇用決定をより慎重にさせた。

■過去データとの比較で見る現在の位置

今回の雇用減速は、リーマンショック後のような景気後退局面とは異なり、コロナ後の急回復が一巡して正常化へと向かう「踊り場」とも捉えることが可能だ。モルガン・スタンレーの米国株式ストラテジストによれば、米国雇用統計の弱い数値は、歴史的な雇用サイクルの中で景気が底入れした兆候であり、今後は新たなサイクル(回復局面)を探る段階にあるとの見解が示されている。

※参考

モルガン・スタンレーのウィルソン氏:弱い雇用統計は「ローリング・リカバリー」への移行を裏付ける 執筆: Investing.com

The jobs slowdown actually means the recession’s over, not starting, argues Morgan Stanley – MarketWatch

米国雇用統計9月以降の予想と個人投資家の対応策は?

米国雇用統計は毎月1回公表される。日本の個人投資家が心がけるポイントを見てみよう。

■新NISAなどで運用している個人投資家の対策は?

米国雇用統計は、アメリカ経済だけでなく日本や諸外国の株価にも影響を与える。例えば、新NISA投資家の多くが保有する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のようなファンドは、8月雇用統計の発表直後、一時的に基準価額が2%ほど下落した。しかし、これは損失と捉えるよりも、長期投資家にとっては定期的に訪れる下降局面の一つとみなしたほうが実体に近い。投資資金に余裕がある場合は「割安で買い増しができるチャンス」とも言えるだろう。特に積立投資をしている場合は、損切りをするよりも、いずれ来る上昇局面を見越して投資を継続したい。

■米国雇用統計の発表日に個人投資家が取るべき行動は?

米国雇用統計が発表される毎月第一金曜日は、相場が荒れやすいため、特に投資初心者は無理な売買を避けるようにしたい。

米国雇用統計は、短期的な株価や為替変動の材料ではなく、あくまでアメリカ経済の長期トレンドを確認する材料であることを理解した上で、長期の投資(特に投信積立などの積立投資)では、普段の定期的な購入行動を心がけよう。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/編集部

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