知ってる？「看過できない」の意味とビジネスシーンでの正しい使い方

「看過できない」の意味と正しい読み方

『看過できない』という言葉を正しく使いこなすためには、まず基本的な知識を理解することが大切です。正しい読み方や具体的な意味、ビジネスシーンでの適切な使用場面について見ていきましょう。

■「見過ごせない」という意味を持つ

『看過できない』の『看過』は、『かんか』と読みます。辞書では『看過』は『見過ごす』『見逃す』という意味とされており、そのまま放置することを指します。

したがって、『看過できない』は『見過ごせない』という意味の表現です。一般的には、そのまま放置できない深刻な問題・状況に対して使用されます。

日常会話はもちろん、ビジネスシーンでも頻繁に用いられます。

■ビジネスシーンでの具体的な使用場面

ビジネスシーンで『看過できない』を使う場面は、何らかの問題が起きているときです。特に、深刻な問題が起きているときに使うことが多いでしょう。

• これだけ返品が続いていては、さすがに看過できません
• 半年以上の業績悪化が続いており、看過できない事態です
• 今回の遅延は看過できません

職場では、組織や業務の品質管理に関わる重要な問題を指摘する際に、『看過できない』がよく用いられます。重大な事態であることを、周囲に明確に伝達する効果があります。

ビジネスメールでの「看過できない」の使い方と例文

ビジネスメールで『看過できない』を効果的に使用するには、相手との関係性と状況の深刻度に応じた適切な表現方法を身に付けることが重要です。ここでは、具体的な場面を例文と併せて解説します。

■上司への報告メールでの「看過できない」の使い方

上司へ問題報告をする際は、『看過できない』を使う前に状況の具体的説明を添えることで、意図が明確に伝わりやすくなります。

• 先日の品質チェックで判明した問題は、クライアントへの影響を考慮すると看過できない事項です
• 今回の事案は法的リスクを伴うため、看過できない状況と判断いたします
• 継続的な売上減少が続いており、看過できない状況です

『看過できない』と明示することで、問題の重要性と早急な対応の必要性を、上司にはっきりと伝えることができます。

■同僚や部下に指摘する際の「看過できない」の使い方

同僚や部下に対して『看過できない』を使う際は、人間関係への影響を考慮した配慮が必要です。この表現は強い語調なので、使い方によっては信頼関係を損なうことがあります。

注意を伝える際は、できるだけ穏やかな表現を選び、相手への配慮を忘れないようにすることが大切です。

とはいえ、大きな問題があり、会社・部署全体から見ても許容範囲を超えている場合などには、強い言葉で注意するケースもあります。

• コンプライアンス違反の可能性があり、看過できない状況です。事実確認をした上で、再発防止策を検討する必要があります
• 安全規則違反は全社的に看過できない重大事項です。なぜこのような事態になったのか、原因から一緒に考えていきましょう

状況に応じて言葉を選びつつ、『看過できない』を用いる際は、問題解決と信頼関係維持の両立を意識することが重要です。

■取引先に対する「看過できない」の使い方

取引先へ問題を伝える場合は、双方の関係維持を踏まえた慎重な言い回しが求められます。まず事実を整理し、感情に流されない冷静な対応を心がけましょう。

• 納期の大幅な遅延により顧客への影響が深刻化しており、看過できない状況となっております。誠に恐れ入りますが、今後の改善策についてご一緒に検討いただけますと幸いです
• 最近の製品に品質基準未達が見受けられ、対応を怠ることで看過できない問題に発展する可能性が懸念されます。貴社の品質管理手順について、ご相談の機会をいただきたく存じます
• 貴社からの請求額に重大な誤りがあり、看過できない金額差が生じております。詳細を確認の上、適切な処理方法を協議させてください

協力して課題を解決する姿勢を示すことで、双方の信頼関係を保てます。『看過できない』という言葉を使う際は、解決に向けた具体的な提案も併せて伝え、前向きな話し合いにつなげましょう。

「看過できない」の言い換え表現と類語

『看過できない』という表現は、相手に強い印象を与えるため、状況に応じて適切な表現に言い換えることが重要です。ここでは、主な言い換え表現と使用場面について、具体的な例文とともに解説していきます。

■似た意味を持つ「見過ごせない」

『見過ごせない』は、『看過できない』の言い換えとしてよく使われます。どちらも重大事案や放置できない問題を指しますが、含まれるニュアンスに若干の差があります。

• この問題は、見過ごすことができません
• 取引先の▲▲の納品が遅れており、見過ごせない問題です

『看過できない』は重大な問題や公的な場で使われる傾向があり、『見過ごせない』は日常的な会話や些細な問題にも使いやすい表現です。

どちらも相手への注意・警告として強い言葉に当たりますが、『見過ごせない』はより日常的な場面にも用いやすいでしょう。

■対応が必要なときに使える「放置できない」

『放置できない』は、無視してそのままにはできない状況を示す言葉であり、『看過できない』とほぼ同じ意味合いで使われます。

• 今は目立った問題になっていないものの、放置できない状況です
• ◯◯のクレームはこれ以上放置できないので、すぐに対処してください

「現時点では大きな問題がなくても、放置すれば新たなトラブルにつながる」「早急な対応が求められる」といった意味を強調したい場合に使えるでしょう。

■英語表現への言い換え例

『看過できない』を英語で表現する際は、状況に応じて適切な表現を選択することが重要です。

一般的には『cannot overlook』を使い、ビジネスでは「We cannot overlook these quality issues（これらの品質上の問題は看過できない）」のように使用されます。

また、『cannot ignore』は、相手に早急な対応が必要な状況を伝えるときに使われます。例えば、「That cannot be ignored（それは見過ごせません）」と表現すると、すぐに対応が必要であることを示せるでしょう。

「看過できない」使用時の重要な注意点

『看過できない』という強い表現を使用する際は、単に問題を指摘するだけでは不十分です。効果的に活用するために、以下の注意点を確認していきましょう。

■感情的にならずに客観的事実に基づいて使用する

『看過できない』を使用する際は、主観や感情ではなく、客観的な事実を示して冷静に伝えることが大切です。

問題を指摘するとき、「この状況は腹立たしい」といった感情表現は避け、具体的なデータや事実を示すようにしましょう。

例えば、「不良品率が5%で、業界標準の2%を大きく超えていますので看過できません」と明示すれば、納得感が高まります。

感情的な表現を避け、論理的で前向きな伝え方を意識することで、相手との信頼関係や円滑な問題解決に結び付きます。

■相手の立場や状況を考慮した使用タイミング

『看過できない』といった強い表現は、相手の心情や仕事状況にも配慮して使う必要があります。相手が忙しい時期や心理的に負担を抱えているときは、突然厳しい言葉を用いると抵抗感を生む恐れがあります。

部下が続けてミスをした場合でも、すぐに「看過できない」と断じる前に、まず本人の状況や背景を確認することが重要です。

取引先とのやりとりでは、相手の業界事情や置かれた立場を考慮し、伝え方を工夫することが必要です。

例えば、「ご事情は承知しておりますが、品質面で看過できない問題が生じております」といった共感を示す言葉を添えることで、建設的な話し合いにつながりやすくなります。

「看過できない」はビジネスでよく見られる表現

『看過』は『かんか』と読み、重大な課題・見逃せない問題を指摘するときに『看過できない』と表現します。ビジネスシーンでは、上司への業務報告や取引先との問題協議の場面でよく使われる表現です。

ただし、『看過できない』は強い印象を与えるため、状況に応じて『見過ごせない』『放置できない』といった、他の表現を使い分けるのが望ましいでしょう。

使用する際は感情的な言い方ではなく、事実を根拠にした上で解決策も示すことで、より前向きな問題解決につながります。

構成／編集部