400億円超えはいつ？劇場版「鬼滅の刃」をもう一度見たくなるアニオリ要素

9月8日、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開52日間で観客動員数2200万7405人、興行収入は314億2591万6900円となったことが発表された。歴代興行収入ランキング2位の『千と千尋の神隠し』の316.8億円を超えることは確実、1位の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の407.5億円を超えられるかに注目が集まっている。今後の記録は2回目、3回目と劇場に足を運ぶファンがどれだけいるかにかかっている。そこで今回は、一度も鑑賞では見落としてしまいがちな原作にはなかった”劇場版オリジナル”要素を紹介したい。再度劇場に足を運ぶきっかけになれば幸いだ。

しのぶの新ワザ、村田のエフェクトなどファンが喜ぶアニオリたち

胡蝶しのぶと童磨の戦闘シーンで登場した蟲の呼吸「虻咬ノ舞 切裂の誘い（もうかのまい せっさくのさそい）」は原作には登場していない。

原作で童磨に使った蟲の呼吸は「蜂牙ノ舞 真靡き」「蜻蛉ノ舞 複眼六角」「蜈蚣ノ舞 百足蛇腹」の三種類のみ。劇場版ではこれらの技の描写が鮮明に描かれるだけでなく、新たな蟲の呼吸まで披露されており、初見で気付いたファンはかなり原作を読み込んでいたことだろう。

蜂、蜻蛉（トンボ）、ムカデときて新技はまさかの虻（アブ）。虻に刺されると激しい痛みを伴うことで有名。上弦の鬼に使う大技としても十分なモデルである。なお、技名の漢字表記に関してはノベライズ版『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」にて判明した。

しのぶの戦いでは、肺が切られた後の呼吸音やしのぶの舌打ちなど原作を補完した描写も多く描かれている。中でも「蜈蚣ノ舞 百足蛇腹」の軌道の読めない動きで童磨を翻弄する様子はしのぶに強さや蟲の呼吸に対する解像度をぐっと上げてくれた。今後語り継がれる鬼滅の刃のアニオリのひとつになることだろう。

そしてSNSでも大きな話題になったのは、鬼殺隊の村田の水の呼吸に関する描写だ。劇場版のとあるシーンで村田の戦闘が描かれたのだが、水の呼吸の使い手である村田が放った水の呼吸「弐の型 水車」の水エフェクトが”薄すぎた”のだ。

これにはちゃんと理由があり、原作コミック17巻のおまけページにて村田について「使っているのは水の呼吸なのですが薄すぎて水が見えません」との説明があり、劇場版での戦闘シーンのエフェクトはこの設定を反映したものなのだ。これには思わずニヤリとしたファンも多いのでないだろうか。鬼滅の刃はTVアニメシリーズからアニオリのクオリティが高く、製作陣の作品に対する深い理解度や愛情には本当に脱帽させられる。

他にも、映画冒頭で無限城に落ちる柱たちの表情や姿勢には個性が出ているがこれも原作にはない。蛇柱・小芭内と恋柱・甘露寺のキュンとするやりとりはもう一度劇場で見たいものだ。猗窩座の回想シーンに登場するお手玉に込められた意味も考察のしがいがある。キャラクターたちの表情や無限城そのものの演出など細かいオリジナル要素を挙げると本当にキリがない。こうした小ネタがSNSで拡散され後になって知って「見落としてしまった！」という要素がいくつもあるだろう。こうした心理が、今もなお本作の興行収入・観客動員数が伸ばし続けている要因なのだ。

400億円超えは来年2月ごろ？

前作は興行収入400億円まで220日を費やしている。もし仮に今作が同程度の日数がかかるとすると、2025年7月18日に公開されたので220日後は2026年2月23日になる。しかし、『鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の興行収入・観客動員数の推移は前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を上回っている。このペースで行くならば、おそらく2026年の2月の初旬〜中旬には興行収入400億円の大台を突破するだろう。そうなれば、歴代興行収入1位の407.5億の突破まですぐ。

観客動員数を伸ばすために入場者特典やグッズの販売などさまざまな施作がとられているが、カギとなるのはファンの熱量だ。上でも紹介したように本作はファンですらもう一度見たくなるような仕掛けが施されている。まだまだ、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の熱は治らないのは間違いないだろう。毎週、10億円以上も興行収入を伸ばし続けているのがその証拠だ。今から前作『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を超える瞬間が楽しみだ。

※トップ画像は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』本予告映像より　©吾峠呼世晴／集英社・アニプレックス・ufotable

文／峯亮佑