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「鬼滅」が映画でまたもや大ヒット、全方位経営で成功を収めているソニーの凄さを語りたい

2025.09.14

ソニー傘下のアニプレックスが制作する劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第1章』が公開から38日間で興行収入280億と、日本歴代興行収入第3位となっている。

映画「鬼滅の刃」、作品の結末を知っていても観たくなるワケ

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が公開から4日で観客動員が516万人、興行収入73億円を突破した。公開初日興行収入16億円、公開3日で興行収入…

本記事では、エンタメ、ガジェット、金融・・・と全方位経営で利益を伸ばす、ソニーという企業のすごさを紹介していく。

“ウォークマンのソニー”からの脱皮

ソニーは、1946年終戦後に、東京通信研究所という名で、通信機器の会社として設立された。

それから、日本初のトランジスタラジオ、日本初のテープレコーダーを発明、昭和後期にはウォークマン、平成にはプレイステーションが大ヒットした。

しかしながら、ウォークマンは、デジタル化されていったものの、iPodやスマホの普及により2010年ごろから販売数はピークアウト。

ウォークマンやゲーム機器、デジタルカメラようなエレクトロニクスメーカーのイメージがあったソニーだが、現在、最先端のイメージセンサーやゲーム機など製造業としての顔はもちろん、音楽や映画等のエンターテイメント会社へと変貌している。

ソニーのここがすごい!「歴代経営者がすごい」

2012年、ソニーは4,550億円もの巨額の赤字を抱えた。このとき、社長となったのが平井一夫氏である。

平井氏は、主力事業であったエレクトロニクス事業出身ではなく、米国で音楽、ゲーム事業に携わってきた方だった。

就任当時、iPhoneが普及し、ソニーが主力としていたビデオカメラ、デジタルルカメラ、パソコンなどが低迷していった。

特にテレビは8年連続赤字となっていたが、2年で黒字化を果たし、分社化、パソコン「VAIO」を売却、大規模なリストラも行った。

そして、半導体投資のための公募増資を行い、ネット配信により低迷していた映画配給等を行うソニー・ピクチャーズ(コロンビア)の立て直しも行った。

6年後には7,348億円の過去最高益というV字回復を果たした。このときの不採算事業を分社化、黒字化し、今のソニーの基礎を築いている。

平井氏がなんとか口説いて子会社からソニー本社に復帰してもらったのが、次期社長吉田憲一郎氏だ。

吉田氏は財務畑出身で、今のソニーを作る攻めの経営を行った。

2018年にEMIミュージックパブリッシングを買収し、旧譜の楽曲権を得た。これにより、現在ストリーミング再生が当たり前となった時代に、楽曲権によって収益が得られるようになった。

2021年に米クランチロールを買収し、アメリカやヨーロッのアニメファンに向けて日本のアニメを配信できるようになった。

十時祐樹氏に社長をバトンタッチしてからは、KADOKAWAに投資し、KADOKAWAの知的財産との相乗効果を狙っている。

ソニーのここがすごい!「音楽、映画で大ヒットを連発」

見事、エンタメ会社となったソニーだが、コンスタントなヒットが続いている。

音楽では、YOASOBIの「アイドル」やCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」「オトノケ」が、アニメの主題歌として大ヒットし、世界でもアニメとともに耳に残る音楽が大人気となった。

アニメでは、コロナ禍においても、2020年に『鬼滅の刃無限列車編』が大ヒットし、現時点で日本歴代興行収入第1位となっている。

最近公開された、無限城編第1章も人気で、前作の無限列車編を上回るペースで、興行収入を記録している。この後第2章、第3章と続く予定だ。

無限城編は、世界でも人気で、香港では上映開始された8月は、どこの映画館も予約でいっぱいになっていた。低迷した香港の映画館に活気をもたらしたほど。

2020年度の決算発表では、鬼滅の刃無限列車編の効果で、音楽分野の営業利益1,881億円のうち3割弱の約564億円の利益が鬼滅の刃が貢献したということだ(その他モバイルアプリ等も含む)。

8月に2025年第1四半期の決算発表が行われ、鬼滅効果のある音楽分野の利益見通しについて、2024年度と同じ水準の売上高、営業利益水準を予想している。

決算説明では、鬼滅のヒットは既に織込み済であるとしているが、利益の上振れがあるのを期待したい。

今後は、エンターテイメント分野に集中?

現在のソニーは、自動車やカメラに使われるイメージセンサーのような先端技術製品、ゲーム事業、音楽や映画事業で、コンスタントに利益を稼げる会社になったが、金融子会社もある。

ソニーの創業者の1人、盛田昭夫氏が「ソニーに金融機関を持ちたい」という夢を発端に、製造業としては異端だが、子会社として銀行や生命保険、損保保険を抱えるソニーフィナンシャル・グループがある。

ソニーフィナンシャル・グループは、以下のようにコンスタントに利益を出してきた奉公者だ。

(出典)ソニーフィナンシャル・グループ 有価証券報告書
https://www.sonyfg.co.jp/ja/financial_info/yuho/250616_01.pdf

しかしながら、2020年にソニーグループは、上場していたソニーフィナンシャル・グループを完全子会社化したが、2025年にスピンオフによりソニーグループ株主にソニーフィナンシャル・グループの株式を配当し、再びソニーフィナンシャル・グループを9月29日に新規上場させる予定となっている。

ソニーフィナンシャル・グループに、ソニーの名前は引き続き残るもの、今回のスピンオフで連結から外れ、持分法適用関連会社となる。これにより、損益は持分によりソニーグループに反映されるが、連結の時のように資産負債がソニーグループに反映されることはなくなる。

これにより、ソニーフィナンシャル・グループの巨大化した資産負債をソニーグループから切り離し、エンターテイメントやイメージセンサー事業に集中できるとしている。

9月29日の株式市場は、ソニーフィナンシャルグループを切り離した状態のソニーグループとなるため、その価値分、ソニーグループの株価が下がる可能性が高い。

ソニーグループの株価は史上最高値付近となっている。

前述のスピンオフでソニーフィナンシャル分株価が下がる可能性、米関税の影響で業績には不透明さがある。

ただ、今収益の柱となっている音楽配信は、権利をもとにコンスタントに収益が得られるため安定している。

ゲーム機は、機種の販売に頼らず、会員の課金等で収益を安定的に得られ、映画もヒット作品だけでなく、その権利をもとに配信会社から収益を得られるようになった。

エンターテイメント事業は、過去景気に左右されるものであったが、ソニーグループは不景気でも稼げる体質にしてきた。日本のエンターテイメントが世界に「感動(KANDO)」を与えられたら、クリエイターにも利益還元できる好循環になっていき、さらに良い作品が生まれる。今後のソニーに期待したい。

(参考)
商品のあゆみ−パーソナルオーディオ | ソニーグループポータル
2020年度業績説明会QA要旨
2025年度第1四半期 業績説明会 QA要旨
FY20.4Q_Presentation(J)
パーシャル・スピンオフ | ソニーグループポータル
ソニーフィナンシャル・グループ 有価証券報告書
有価証券報告書 | 資料 | 財務情報 | ソニーフィナンシャルグループ
ソニーグループ 有価証券報告書
有価証券報告書等 | ソニーグループポータル

文/大堀貴子

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