倫理観とは、人として正しい行動をするための心の基準で、ビジネスシーンにおいても重要な要素です。倫理観を高めるには、自分を客観視する、ストレスをためないなどの方法があります。
目次
倫理観は、単なるルール順守とは異なり、個人の価値観として機能するものです。まずは、倫理観の基本概念を知っておきましょう。
倫理観とは何か?
■人として正しい行動をするための心の基準
倫理観とは、人が行動を選択する際に『何が正しいか』を判断するための、内面的な基準です。
単なる法的なルールや社会的な慣習とは異なり、個人の心の中に根ざした価値観の一部として機能します。例えば、落とし物を拾ったときに、持ち主に返すべきかと考える気持ちは倫理観の表れといえるでしょう。
倫理観は、『倫』(人として守るべき道)と『理』(道理や筋道)という漢字から成り立っており、社会生活における善悪を見分けるためのものさしの役割を果たします。
文化や教育、これまでの経験によって形成されるため、人によって多少の違いはありますが、基本的には社会で共有される価値観に基づいています。
■倫理観と道徳の違い
倫理観と道徳は混同されがちですが、適用範囲に違いがあります。倫理観は社会全体や組織における行動基準を指し、より外向的で公的な性質を持ちます。
一方の道徳は、個人の内面的な価値観に基づく善悪の判断基準です。例えば、職場でのハラスメントを目撃した際、『組織の倫理規定に反する』と判断するのが倫理観であり、『人として許せない』と感じるのが道徳心といえるでしょう。
ビジネスの現場では、企業の倫理規定のような明文化されたルールが倫理観を形づくり、個人の道徳心がその土台となります。
■ビジネスシーンで倫理観が重要視される理由
現代のビジネスシーンでは、倫理観の重要性がかつてないほど高まっています。顧客との取引において倫理観を欠いた行動をすると、企業に対する信頼が大きく揺らいでしまうこともあるためです。
また、組織内においても倫理観を持った行動が求められます。職場でのハラスメント防止には、相手を尊重し、公平で健全なコミュニケーションを取る姿勢が必要です。
ビジネスの現場では、倫理観が企業の社会的責任を果たす行動指針となり、信頼関係の構築に欠かせない要素となっています。
倫理観の類義語と言い換え表現

倫理観には、さまざまな類義語が存在します。ここでは、『モラル』『良心』『正義感』という三つの言葉を挙げて解説します。
■モラル
モラルとは、英語の『moral』に由来した言葉で、社会生活を営む上で個人が守るべき道徳的な基準・規範を意味します。
倫理観と同様に、日常生活で『順番を守る』『嘘をつかない』といった基本的な行動指針がモラルです。ビジネスシーンでも、企業の信頼性に直結する重要な要素となっています。
例えば、コンプライアンス違反が発生した際に『モラルに反する行為』と表現されるように、組織運営の根幹を支える概念です。
個人の価値観・考え方に深く関わる概念であるため、明確な基準が定められていない場合も多く、状況に応じた適切な判断が求められます。
■良心
良心とは、自分の行動が善いか悪いかを判断し、正しい方向へと導く内面的な心の働きを指します。倫理観が社会的・規範的な基準であるのに対し、良心はより個人の内面に根ざした概念です。
例えば、他人に迷惑をかけたときに「申し訳ない」と感じたり、誰かを「助けたい」と思ったりする気持ちは、良心から生まれます。
良心は、人間が生まれながら持っているという考え方と、後天的に育まれるものであるという考え方の両方があります。
いずれにしても、個人が誠実で責任ある行動を取るための内面的な指針として、重要な役割を果たすものです。
■正義感
正義感とは、不公正・不平等な状況に対して「間違っている」と感じ、正しい状態にしようとする心の働きです。
例えば、職場で同僚が不当な扱いを受けているのを見て、見て見ぬふりができず積極的に行動を起こそうとするのは、正義感の表れです。
ただし、何が正しいかは人によって異なるため、価値観の違いによって人間関係に不和をもたらすこともあります。
また、感じ方の強弱にも個人差があり、過度に強い正義感は時として問題を引き起こすことがあります。
倫理観が欠如した人の特徴

倫理観が欠如した人には、特徴的な行動パターンがあります。ここでは、代表的な特徴を三つ紹介します。
■感情を優先して行動する
倫理観が欠如している人の最も顕著な特徴は、自分の感情を最優先にして行動することです。例えば、イライラしているからといって、周りに八つ当たりしてしまうことがあります。
自分の感情をコントロールできず、その時々の気持ちに流されて行動するため、周囲の人は振り回されてしまうでしょう。また、職場全体の雰囲気にも悪影響を及ぼします。
このような感情優先の行動パターンが生まれる背景には、ストレス・不満の蓄積があります。心理的な負荷がかかると、人は本能的にそれを解消しようとするため、倫理的な判断よりも感情的な反応を選んでしまうのです。
■周囲のことを考えない
倫理観が欠如した人は、自己中心的な考えをしがちです。他者の感情や立場を理解しようとせず、常に自分の欲求・利益だけを求める傾向があります。
相手の考えや置かれた状況を理解する能力が不足しているため、自分の行動が周囲にどのような影響を与えるかを予測できません。
例えば、会議で自分の意見が通らないと分かると、周囲の声に耳を貸さず、一方的に自分の考えを押し付けようとするでしょう。
結果として、職場での人間関係に深刻な問題を引き起こし、チーム全体の生産性低下につながる可能性があります。
■ルールやマナーを守らない
社会的なルールやマナーを軽視し、守らない傾向があります。列に割り込んだり、喫煙禁止エリアでタバコを吸ったりなどの行動をする人は、倫理観が欠如しているといえるでしょう。
さらに深刻な場合、平気で法律違反をすることもあります。注意されても「みんなやっている」「大したことではない」と言い訳し、自分の行動を正当化しようとしがちです。
ビジネスの現場では、こうしたルール軽視の姿勢が組織全体の信頼性を損ない、企業の社会的責任を果たす妨げとなる危険性があります。







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