
医療用大麻を処方された患者の約6割が1年以内に使用を中止
慢性的な筋肉痛や関節痛に対して医療用大麻を処方された人の多くが1年以内にその使用をやめていたことが、新たな小規模研究で明らかにされた。米ペンシルベニア州で医療用大麻の使用が認められた患者78人のうち約58%が1年以内に治療を中止していたことが示されたという。米トーマス・ジェファーソン大学のAsif Ilyas氏らによるこの研究結果は、「PLOS One」に8月7日掲載された。
このような高い離脱率は、「医療用大麻が、関心を集めて広く採用されているにもかかわらず、多くの慢性疼痛患者の期待に応えられていないことを示している」とIlyas氏は述べている。
この研究でIlyas氏らは、2022年10月から2024年12月の間にフィラデルフィアのロスマン整形外科研究所で治療を受け、筋骨格系の疼痛に対して医療用大麻が処方された患者78人を2年間追跡し、医療用大麻からの離脱率や離脱に影響する因子について検討した。離脱率は、医療用大麻の使用開始から3カ月後と1年後の追跡時に調査された。
その結果、医療用大麻使用開始1年後の離脱率は57.9%であり、44.7%は使用開始から3カ月以内に離脱していたことが明らかになった。また、治療継続群の平均年齢は64.5歳であったのに対し、離脱群の平均年齢は71.5歳と年齢が高く、両群の年齢差は有意であった。この結果から研究グループは、「高齢者は長期的な影響への懸念や、従来の治療法を好む傾向があることから、医療用大麻などの代替療法の使用に慎重になる可能性がある」と推察している。
一方、痛みの原因による群間差は有意ではなかった。ただし、離脱群では腰痛患者の割合がやや高かった。さらに医療用大麻の使用開始前の身体的健康、および精神的健康の評価スコアについて、使用継続群と離脱群の間で有意な差は認められなかった。
こうした結果を受けてIlyas氏らは、患者が医療用大麻の使用を中止した背景には、治療に対する満足度の低さや副作用の忌避、注射や手術などのより実績のある治療法の選択など、さまざまな理由が複雑に絡み合っている可能性が高いと述べている。同氏らは、「これらの結果は、慢性疼痛患者では医療用大麻を用いた治療に対する反応がさまざまであることを示した過去の研究結果と一致している。痛みが著しく緩和したことを報告した患者がいる一方で、十分な治療効果が得られず、早期に治療を中止する患者がいる」と述べている。
本研究の限界点としてIlyas氏らは、患者が使用した大麻製品の種類に関する詳細や、機能や痛みの改善に関するデータを収集していなかったことを挙げている。その上で同氏らは、「本研究結果は、医療用大麻が一部の患者に利益をもたらす可能性がある一方で、疼痛管理や患者満足度に及ぼす長期的な影響や治療遵守に影響する要因をより深く理解するためには、さらなる研究が必要であることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2025年8月25日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0329897
構成/DIME編集部
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