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なぜ、高額なポテトチップスが人気なのか?湖池屋の担当者に聞く高級ポテチ戦略

2025.09.08

子供のおやつというイメージも今は昔。ずいぶん前からポテトチップスは高級感あふれる商品が数多く登場し、「大人のおやつ」「セレブスナック」の地位を確立している。

1袋25gで640円の高級ポテチも人気に

こだわりの食材を使用し、最先端の技術で作り上げた贅沢な逸品は格式高いパッケージを身にまとい、スーパーやコンビニの棚に堂々と並んでいる。もはや高級ポテチがデフォルトの様相だ。

カルビーは2014年、“ギフトにしたいポテトスナック”を扱うブランド「グランカルビー」を阪急うめだ本店にオープン。これまで、甘く風味豊かな希少品種「インカのめざめ」を使用した数量限定の商品や「オホーツクの塩」を感じられる絶品ポテチなど、贅沢な味わいのポテトチップスを数多く販売してきた。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001515.000030525.html

『大人のおつまみ菓子専門店』がコンセプトの「麻布十番 杵屋」の人気商品は、1袋25gで640円の「杵屋のぽてち エクストラオリーヴ」。

世界最高級と評されるエクストラヴァージンオリーブオイルを100%使用し、スペイン産のじゃがいも、ヒマラヤの天然塩を掛け合わせた至極の逸品だ。

参考:https://www.atpress.ne.jp/news/131358

また、海外勢も当たり前のように高級だ。

漆黒の装いで世界三大珍味のキャビアを使用しているのが、ハンターズ「キャビアフレーバー ポテトチップス」。125gで594円(税込)は、贈り物や特別な時に食べたい一品。

そんな中、最高に美味しいポテトチップスを目指し、果敢に挑戦を続けているのが、日本を代表するスナックメーカー「湖池屋」だ。

筆者は湖池屋が大好きだ。カラムーチョ、スコーンも好きだが、すっぱムーチョの酸味と甘さのバランスに惚れ込んでいる。

幼い頃からそばに寄り添ってくれた湖池屋は、1967年に日本で初めてポテトチップスの量産化に成功した先駆け的存在。

ロングセラーの「のり塩」を始め、数多くのスナックを生み出しているが、高級ポテチへのこだわりは他を圧倒している。

湖池屋はさらに攻める!

先日発売されたのが、ラグジュアリーポテトチップス「湖池屋ファーム ボンノット」。

フランスで栽培されてきた、じゃがいも界のキャビアとも呼ばれる幻の品種「ボンノット」。

1kg約7万円で取引されたことがあるとも言われる世界最高クラス品種のじゃがいもを使ったポテチ最高傑作。

湖池屋独自のノウハウと技術を詰め込み、8年以上の歳月を経てようやく商品化したセレブポテチだ。

1袋55g入りが4袋セットで税込2500円。かつてないほど贅沢で高級な味を是が非でも堪能したいところだが、既に完売御礼。たとえお高めだろうと売れるものは売れる。そして、高級ポテチファンの多さも窺える。

湖池屋はさらに攻める。日本を代表する高級ブランドじゃがいも「三方原馬鈴薯」を使用した最高クラスのポテチも生み出した。

年に一度しか味わえない希少価値の高い逸品は、1袋70g入りが6袋セットで税込1341円。こちらは若干お手頃だが、こだわり抜いた味と食感は馴染みのポテチを超えた極上のひと時に誘ってくれる。

一体なぜ湖池屋は、これほどまでに最高のじゃがいもにこだわり、高級なポテトチップスを次々と生み出しているのか?

今回、株式会社湖池屋広報部の小幡さんに話を聞いた。

――高級じゃがいも使用の商品や高級ポテチを販売するようになったきっかけから教えてください

「1962年から国産のじゃがいもにこだわり、ポテトチップスを作り続ける日本の老舗スナック菓子メーカーとして、創業時代の情熱を胸に湖池屋のプライドをかけて理想のおいしさを追求しようと開発したのが、2017年から展開している「湖池屋プライドポテト」になります」

「当時のスナック市場はコモディティ化が進んでおり、価格のみで選ばれるような状況にあったのですが、日本の老舗として価格だけでなく、価値(付加価値)で選んでもらえる商品で勝負をしたいという思いがありました」

その背景には2016年10月にコーポレートブランドの統合を実施し、創業の原点である「株式会社湖池屋」として新たな一歩を踏み出したことにある。原点に立ち未来へ踏み出す、新生・湖池屋を象徴するものとして「湖池屋プライドポテト」が誕生したという。

――高級ポテチの売れ行きは?

「新生・湖池屋の象徴である「湖池屋プライドポテト」は2017年の発売時に40億円を達成し、その後もリニューアルを重ね、「ピュアポテト」、「湖池屋ストロング」を含めたプレミアムブランドとして市場を牽引、成長を続けています」

「特に「湖池屋プライドポテト」についてはプレミアム市場を代表する商品として好調を続けており、今年については前年比141.9%を記録。スナック市場におけるブランド規模も発売10年未満ながら第6位の位置となっております」

――どのような層が高級ポテチを求めているんでしょうか?

「弊社のプレミアム商品群は『15時のおやつを求める家族層』というよりは、『自分のためのちょっと贅沢なご褒美(お酒のおつまみなど)』として、特に単身やDINKS世帯層からの支持を得ております。また情報感度の高いお客様も多い傾向です」

そんな湖池屋が先日発売し、即完売した「湖池屋ファーム ボンノット」は、新たなチャレンジだったという。

「幻のじゃがいも品種であるボンノットを日本の土壌にあわせながら育成・拡大していくことは、湖池屋にとって前例のないチャレンジでした。ボンノットの個性と日本のテロワールを活かすべく、栽培においても工夫を重ね、試行錯誤を続けながら少しずつ数量を拡大。8年の歳月を経て、数量限定ではありますがようやくECにて販売できるだけの数量を確保することに至りました」

繊細で非常に揚がりにくく、ポテトチップスには適さないと言われた品種さえも究極の食感に仕上げる技術力と熱意。「ボンノット」は今のところ味わうことはできないが、湖池屋にはまだまだこだわりのポテトチップスが揃っている。広報担当のイチオシとは?

ポテトチップス・プレミアム市場拡大の理由

創業から70年を越え、競合他社と同じような低価格ゾーンよりも、付加価値をつけた贅沢でご褒美的なポテトチップスに力を入れている湖池屋。

今イチオシの商品を聞いてみた。

「今期のイチオシは、今年8月にリニューアル発売した「ピュアポテト」です。2018年の発売以来、高い人気を誇ってきましたが、物価高騰の影響で節約志向が強まる一方、価値を感じるものにはお金を惜しまないという“メリハリ消費”の時代にも選ばれ続けるブランドへと進化するべく、独自価値をより明確にしたフルリニューアルを実施しました」

「湖池屋のこだわりである「国産芋100%」に対する安心感とスナック菓子が持つ「やみつき感のある美味しさ」や「食べ応え」を体現するべく、「旨みの濃い肉厚なフライドポテト」という新コンセプトに刷新しました。まるでフライドポテトのように香ばしさとやみつきな美味しさを取り入れ、次から次へと手が止まらない味わいを実現しました」

子供のおやつとしてのポテトチップスから、大人が嗜む洗練された高級ポテトチップスが人気の昨今。プレミアム市場が拡大している理由はなんなのか?

「コモディティ化への反動、お客様の嗜好の多様化(ライフスタイルの変化)、インバウンド消費の拡大(日本の“食”の価値向上)、物価高騰の影響による節約志向に対応した“メリハリ消費”など、理由は様々かと思います。どれか決定的なものではなく、幾つもの要因が重なり、プレミアム市場の拡大につながっているように感じています」

「高級ポテトチップスの人気については、きっかけを限定することはできないですが、一つ挙げるとすればコロナ禍における生活環境の激変により、スナック菓子を含めた“食”に対する意識や“食”を選ぶ&食べることに対する意味・意義が変わったことが大きく影響しているように思います」

1962年に「湖池屋ポテトチップス のり塩」を発売して以来、じゃがいものおいしさや個性を商品に注ぎ込んできた湖池屋。

ちなみに湖池屋のポテトチップスは、じゃがいもの皮をむき過ぎず、適度な厚みでスライスしているため、他社のものより皮が残っている部分が多かったりするらしい。それも、こだわりであり魅力の一つ。

ただ、いくらこだわりを持っていても、それが消費者に伝わらなければヒットにはならない。

ポテトチップス商品でヒットを生み出すために大切なこと、こだわっていることとは?

「ポテトチップスをはじめとしたスナック菓子は嗜好品であり、機能だけで選ばれるものではありません。社会・市場・顧客の変化として現れる“時代の気分”を常に意識しながら、これまでにない価値を創造し、喜びと驚きのある湖池屋らしさのある商品をお届けすることが大切だと思っております」

――今後、開発したいポテトチップスがあれば教えてください

「『湖池屋プライドポテト』や『湖池屋ファーム ボンノット』はスナック市場における挑戦でしたが、今後もお客様の期待を上回る価値を感じられる商品を開発し、皆様にお届けできればと考えています」

「また、ポテトチップスに限らず“スナック菓子”としての領域を拡大し、“食”の領域を変化・拡大していけるような新商品の誕生に向けて、現在、社内にて試行錯誤を行っておりますので今後の湖池屋の展開にご期待いただければと思います」

取材協力
株式会社 湖池屋
湖池屋公式X

文/太田ポーシャ

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