
チャネルを横断した購買者特性の分析で店頭陳列や商談、開発などへの活用が可能に
電通は、小売り企業やECサイトなどが保有する「いつどこで何がどれだけ売れたか」を示す購買ログデータに、同社独自の大規模調査データ(※)から生成AIを用いて抽出した、ブランド・商品をどのような人が買ったかという購買者の人物像情報を付与することで、購買場所ごとに購買者像を可視化する「People PALETTE(ピープルパレット)」(商標出願中)を開発。2025年8月28日より提供を開始した。
※株式会社電通が約15万人(約30業種)に対して年2回実施している、価値観・メディア接触などの意識調査データ
本システムにおいては、ブランド・商品についてチャネルを横断した購買者特性の分析が可能。そのため店頭での陳列や商談、商品開発などに活用できるほか、企業による効果的なマーケティング活動への貢献も期待されている。
■「People PALETTE」開発の背景
近年、デジタル技術を活用してマーケティング活動を変革するマーケティングDXが進み、多くの企業がブランド・商品の購買ログデータを保有。データ活用の高度化に取り組んでいる。
ただし、同じ商品Aを買っている生活者であっても、購買場所(コンビニエンスストアやスーパーマーケット、オンラインストアなど)によって、購買者の特性が全く異なる可能性があるものの、購買ログデータは、購買者の行動履歴や実績を示すだけで、属性や特性などの購買者像を詳細に把握することは困難だった。
その対応策として、別途生活者の意識調査を行ない、意識調査データと購買データを統合して購買者像を分析する手法が採用される場合もあるが、費用やリソース、スピードにおいて実施ハードルが高いのが実情だ。
■「People PALETTE」の特徴と機能について
これに対して「People PALETTE」は、生成AIを活用して、同社独自の大規模調査データからブランド・商品の購買者の属性や特性を示す108個のプロファイリング要素「Personality CHIPS」を抽出。
「インフルエンサータイプ」「テレビLover」「社会貢献したい」「情報収集家」などの属性や特性を示す「Personality CHIPS」を、さまざまなブランド・商品にひもづけてデータベース化した。
このデータベースを、小売り企業やECサイトなどが持つ生活者の許諾を得た購買ログデータと、生成AIを用いて統合。特定ブランド・商品の購買実績情報と、そのブランド・商品を購入している人がその購買場所で他にどのようなブランド・商品を購入しているか、という情報を加味することで、特定ブランド・商品の購買者像を分析できるようにした(特許出願中)。
というわけで購買ログデータを持つ小売り企業やECサイトを運営する企業は、購買ログデータ上で購買者像を把握し、マーケティングに活用しやすい形で取引先企業に対して情報提供することが可能になる。
■特定ブランド×特定チャネルの購買者像を示す「People PALETTE」のイメージ図

また、ブランド・商品の「People PALETTE」とテレビなどの視聴ログデータを統合することで、購買者と相性のいいメディアやコンテンツの分析も可能になる。
購買者と親和性の高いメディアへの広告出稿のほか、購買者の特性に合わせた店舗での陳列や販促活動、商品開発にも展開可能なツールであることから、企業側は売り上げの向上や、よりよい顧客体験の創造に活用できる。
電通は今回の発表に際して「当社は今後も、新しい技術やさまざまなデータを活用し、マーケティング活動を進化させるソリューションとして開発・提供することで、クライアントの事業成長に貢献していきます」とコメントしている。
構成/清水眞希