
EFFECT関数は、複利効果を考慮した利回り計算するエクセル関数である。構文は、=EFFECT(名目利率, 期間数)となる。実質的な金利がすぐに計算できるため、投資判断や借入評価に役立つ。
目次
エクセルを使って金利計算を行う際、よく使われるのが名目年利である。しかし、実際の投資やローンの利回りを正確に把握するには、利息の複利効果を加味した「実効年利」を考えるほうが重要だ。
この記事では、エクセルの金融関数である「EFFECT関数」を活用して、実効年利を正確に求める方法をわかりやすく解説する。
EFFECT関数の基本
EFFECT関数を正しく使いこなすためには、その定義や構文、名目年利との違いを明確に理解する必要がある。ここではEFFECT関数の基本的な概要について解説する。
■EFFECT関数とは
EFFECT関数は、名目年利と複利の回数から実効年利を算出するためのエクセル関数である。名目年利は金融商品のカタログや契約書などによく登場するが、それだけでは実際の利回りを正確に評価することは難しい。複利回数を考慮して得られる実効年利を求めることで、投資の収益性や借入の負担を正しく比較できるようになる。
■実効年利と名目年利の違い
名目年利とは、単純な年率であり、実際に資金に対して適用される利回りとは限らない。たとえば、名目年利が6%でも、年に12回複利計算される場合は、実際の利回りは6%以上になる。これに対して、実効年利は複利効果を反映した「本当の年利率」であり、金融商品の実質的なコストや利得を評価する指標として広く使われている。
■EFFECT関数の構文

=EFFECT(名目利率, 期間数)
- 名目利率:名目年利率(5% → 0.05)
- 期間数:1年間に利息が複利で計算される回数
名目利率は実数値(小数または%形式)で入力し、期間数は正の整数で指定する必要がある。
EFFECT関数の基本的な使用例
EFFECT関数の理解を深めるには、実際の使用例を見るのが効果的である。ここでは、典型的な複利パターン別に使用例を紹介する。
■例1: 月次複利の場合

=EFFECT(0.05, 12)
名目年利率が5%、月に1回複利が適用される場合、計算結果は約5.12%(0.051161898)となる。複利の回数が多いほど、実効年利は高くなる。
■例2: 四半期複利の場合

四半期ごと(年4回)の複利を想定した場合の計算は以下の通りである。
=EFFECT(5%, 4)
この場合、実効年利は約5.09%(0.050945)となる。
■例3: 日次複利の場合

365日複利での実効年利は、次の式で求められる。
=EFFECT(5%, 365)
この場合の実効年利は約5.13%(0.0513)である。日次で利息が再投資されることで、名目年利よりも実際の利回りは増加する。
実用的な活用例
EFFECT関数は、金融商品を評価したり、借入コストを見積もったりする際に実用性が高い。以下に具体的な活用例を紹介する。
■投資商品の比較
名目年利が同じでも、複利回数が異なると実効年利は変わってくる。複数の金融商品を比較する際に、EFFECT関数で実効年利を算出すれば、より正確な比較が可能となる。たとえば、年利5%の商品でも、月複利と年複利では、リターンに差が出るため注意が必要だ。
■住宅ローンの実効金利計算
住宅ローンの利率はしばしば「年◯%(月払い)」と表示される。ここでEFFECT関数を使えば、毎月の返済による実質的な負担率を正確に把握することができる。これにより、複数のローン商品を比較検討する材料になる。
■企業財務分析
企業が借入や社債発行などで資金調達する際、実効年利を把握しておくことで、資金コストの分析が可能となる。財務部門ではEFFECT関数を活用し、調達先や調達手段ごとの実質的な金利比較を行っている。
他の金利関数との比較
金利に関するエクセル関数はいくつか存在するが、それぞれ用途が異なる。EFFECT関数と類似関数の違いを正しく理解することで、適切に使い分けることが可能となる。
■NOMINAL関数
EFFECT関数が名目年利から実効年利を算出する関数であるのに対して、NOMINAL関数は、実効年利から名目年利を逆算する関数である。

つまり、この2つの関数は互いに逆の処理を行う関係にある。用途によって使い分けることが重要である。
■RATE関数
支払回数・支払額・現在価値などから利率を求める

■FV関数
将来価値(Future Value)を計算する。

■PV関数
現在価値(Present Value)を計算する。
