
DVAR関数は、エクセルで条件付きの標本分散を計算できる関数である。基本構文は、=DVAR(データベース, フィールド, 条件)となる。ビジネスにおける統計的分析などに活用できる。
目次
エクセルで統計分析を行う際、条件付きで特定のデータの分散を求めたい場面は多い。たとえば「営業部門だけの売上データのばらつき」や「特定エリアでの顧客年齢の分散」などのケースだ。こうしたニーズに対応できるのがDVAR関数である。
本記事では、DVAR関数の基本的な使い方から、実務で活用できる具体例、注意点、類似関数との違いまでをわかりやすく解説する。
DVAR関数とは?
DVAR関数は、条件付きで統計分析を行いたいときに便利なエクセルの関数である。まずはその概要と役割、構文について解説しよう。
■DVAR関数の役割と特徴
DVAR関数は、エクセルのデータベース関数の一つであり、条件に合致した数値データの標本分散を計算する機能を持っている。条件を絞り込んで統計処理をしたい場面で非常に有用である。
■標本分散とは
標本分散とは、データの一部(サンプル)からそのばらつきを示す指標であり、母集団の傾向を推測するために使われる。統計分析においては、全データが揃っていない場合でも活用できる点が特徴である。
■基本構文と引数の意味

DVAR関数の基本構文:DVAR(データベース, フィールド, 条件)
- データベース:列見出しを含めたデータの範囲
- フィールド:計算対象となる列の列名または列番号
- 条件:検索条件を指定する範囲
実例で学ぶDVAR関数の使い方
ここでは、実際のサンプルデータを使ってDVAR関数の使い方を段階的に解説する。初心者でも理解しやすいように、条件の設定や数式の書き方も説明する。
■サンプルデータの準備

■条件の設定と関数の立式
「部署が営業」のデータを対象に、売上の標本分散を求めたい場合

関数の立式:=DVAR(A1:D6, “売上”, F1:F2)

この関数は、データベース A1:D6 のうち、「部署」が「営業」に一致する行を抽出し、それらの「売上」の標本分散を返す。
■結果の解釈と分散の意味
標本分散の値が大きければ、営業部内で売上にばらつきがあることを意味する。逆に分散が小さければ、メンバー間の売上が安定していると読み取れる。
DVAR関数の活用シーン
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DVAR関数は、業務上さまざまな場面で活用できる。ここでは、ビジネスにおける代表的な使い道を紹介する。
■商品カテゴリ別の返品率のばらつきを把握
カテゴリごとの返品率に関するデータをDVAR関数で分析すれば、どのカテゴリの品質が不安定なのかを可視化でき、品質管理の指標として活用できる。
■拠点別の顧客対応満足度の分散を分析
アンケート結果を元に、各支店や営業所の顧客満足度のばらつきを分析すれば、サービス品質の平準化や重点改善のヒントが得られる。
■月ごとの支出項目のばらつきを把握
月次での経費や支出データを条件付きで抽出し、ばらつきを分析することで、予算超過リスクやコストの波を見える化できる。
DVAR関数を使うメリット
DVAR関数を活用することで得られる主なメリットを、3つ挙げて紹介する。
■条件付きで柔軟に統計分析ができる
DVAR関数は、複数の条件に基づいたデータ抽出と統計処理を一度に実現できるため、フィルターや手動集計を使わずに済む。複雑な条件を設定した統計処理を簡単に行える点が最大の魅力である。
■手動でのフィルタや抽出を自動化できる
関数として記述するため、何度でも同じ分析処理が可能であり、再集計やミスの削減にもつながる。
■他の集計関数と連携しやすい
DVAR関数は、DSUMやDCOUNTなどのデータベース関数と同様の構造であるため使いまわすことができる。条件範囲を共有できるため、複数の関数で同じ条件を再利用しやすく、効率的なデータ処理が可能となる。