DVARP関数を使う上での注意点
DVARP関数は便利だが、正しく使わなければ意図しない結果になることがある。ここでは、実際に関数を使う際に気をつけるべきポイントを解説する。
■条件範囲には列見出しを含める
条件範囲に列名が含まれていないと、エクセルは条件を正しく認識できない。必ず条件の先頭に列名(例えば「部署」)を含めることが重要だ。
■空白セルは計算対象外
分散を求める列に空白セルがあると、その行は計算対象から除外される。データが抜けていないかを事前に確認する必要がある。
他のデータベース関数との使い分け
分析の目的によっては他の関数を使うほうが適している場合もある。ここでは、DVARやDSTDEVとの使い分けについて紹介しよう。
■標本分散が必要な場合はDVAR

対象が母集団全体でなく一部のサンプルである場合は、DVAR関数を使うべきである。標本分散では分母が「n−1」になり、母集団の分散を推定するのに適している。
■DSTDEV・DSTDEVP関数との違い
分散は単位が2乗になるため、直感的なばらつきの尺度が欲しい場合は標準偏差関数を使うのがよい。
DSTDEV:標本標準偏差を求める関数(DVARの平方根)

DSTDEVP:母集団標準偏差を求める関数(DVARPの平方根)

まとめ
DVARP関数は、エクセルで条件付きの母集団分散を求められる強力な関数である。条件を自由に設定できるため、実務でのデータ分析やレポート作成にも活用しやすい。
分散の意味を正しく理解し、DVARP関数を正確に使うことで、ばらつきの本質を掴んだ意思決定が可能になる。
本記事の内容を以下で簡単におさらいしておこう。
- DVARP関数とは
- エクセルのデータベース関数の一つ
- 条件に合致するデータに対して母集団分散を求める。
- DVAR関数との違い
- DVAR:標本分散(n-1)
- DVARP:母集団分散(n)
- 分散と偏差の違い
- 偏差はデータと平均の差。分散はその2乗平均。ばらつきの大きさを表す指標。
- 構文と引数
- =DVARP(データベース, フィールド, 条件)
- データベース:表全体(見出し含む)
- フィールド:対象列(列名や列番号)
- 条件:抽出条件を含む範囲(列名必須)
- 使用手順
- データ表を用意(例:A1:C5)
- 条件を別に設定(例:E1:E2に「部署」「営業」)
- 関数を入力:=DVARP(A1:C5, “売上”, E1:E2)
- 母集団分散が自動で返される
- 注意点
- 条件範囲に列見出しを含める
- 空白セルは対象外になるため注意
- 分散は2乗単位(例:円²)になる
- 活用シーン
- 営業部門の売上のばらつき評価
- 教育現場での成績の安定性確認
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構成/編集部