
データベース関数は、条件に応じた集計や分析を手軽に行うためのエクセルの機能である。関数式の構文は、=関数名(データベース, フィールド, 条件) となる。
目次
エクセルには数多くの関数が用意されており、なかでも条件付きで集計できる「データベース関数」は、業務の効率化に非常に役立つ機能である。
本記事では、データベース関数の基本から、DSUMやDCOUNTなどの代表的な関数の使い方まで、初心者でもわかりやすく解説する。
データベース関数とは?
データベース関数は、エクセルの表形式データに対して、条件を指定して集計や分析ができる関数である。
■データベース関数の概要
エクセルのデータベース関数とは、一定の構造を持ったデータ(見出しを含む表)に対して、指定した条件に合致するレコードのみを対象に計算処理を行う関数群である。
特に、売上管理や在庫管理など、条件ごとにデータを抽出して集計したいケースに用いると便利である。
■通常の関数との違い
一般的なSUM関数やCOUNT関数では、セル範囲を単純に合計・カウントするのに対し、データベース関数では条件付きでレコードを絞り込んでから集計できる点が大きな違いである。
例えば「営業担当が田中で商品Aの売上合計」のように、複数条件を柔軟に指定して集計が可能になる。
データベース関数の基本構文
データベース関数は共通の構文を持っている。データの構造と条件範囲の設定が重要である。
■構文の基本形

=関数名(データベース, フィールド, 条件)
- データベース:すべてのレコードと項目見出しを含む表。1行1件のデータで構成される必要がある。
- フィールド:集計対象の列を「列名(”売上”など)」または列番号(3など)で指定する。
- 条件:列名とその下に条件値を入力する。複数の条件を指定する場合は、AND条件なら同じ行、OR条件なら複数行に記述する。
代表的なデータベース関数の紹介
データベース関数には複数あるが、ここではよく使われる4つを紹介する。
■DSUM関数
DSUMは、指定条件に一致するレコードの数値を合計する関数である。
使用例:営業成績表において、営業担当が「田中」の売上合計を出す。
=DSUM(A1:E5, “売上”, G1:G2)
G1に「営業担当」、G2に「田中」と入力しておけば、該当レコードのみを対象として「売上」列の合計を算出できる。
■DCOUNT関数
DCOUNTは、条件に一致するデータのうち、指定列で数値が入っているセルの数を数える関数である。
使用例:商品カテゴリが「電化製品」で、売上金額が入力されている件数をカウントする。
=DCOUNT(A1:E5, “売上”, G1:H2)
非数値(空白や文字)のセルはカウントされない。
■DCOUNTA関数
DCOUNTAは、DCOUNTと似ているが、「空白でないセル」すべてをカウントする。文字列や記号も対象となる。
使用例:営業担当が「田中」の全データ件数(売上欄が空欄でも含む)を数えたいときに使える。
=DCOUNTA(A1:E5, “売上”, G1:G2)
■DAVERAGE関数
DAVERAGEは、条件に合致するデータの平均値を返す。
使用例:商品「A」の平均売上金額を求める。
=DAVERAGE(A1:E5, “売上”, G1:G2)
G1に「商品名」、G2に「A」を入力することで、該当する売上金額の平均値を得られる。
売上管理表での活用例
データベース関数は、実際の業務においてどのように役立つのかを具体的に見ていこう。
■条件範囲の設定方法
次のような売上表を想定する

「営業担当が田中、かつ商品がA」という条件で集計したい場合、次のように設定する:

この条件範囲を使ってDSUMやDCOUNTを実行できる。
■関数の具体的な使用例

=DSUM(A1:E5, “売上”, G1:H2) 商品Aを扱う田中さんの売上合計

=DCOUNT(A1:E5, “売上”, G1:H2) 売上データが存在する件数(空白除外)

=DAVERAGE(A1:E5, “売上”, G1:H2) 商品Aを扱った田中さんの平均売上
このように、条件を柔軟に組み合わせることで、必要なデータを的確に集計できる。