
CONVERT関数は、単位変換を自動化できる関数である。長さ・重さ・温度・時間などの単位に対応している。関数式の構文は、=CONVERT(数値, 元の単位, 変換後の単位)となる。
目次
エクセルを活用した作業の中で、単位変換が必要になる場面は意外と多い。たとえば、インチとセンチメートルの変換、ポンドとキログラムの換算など、計算のたびに手作業で換算式を探していては非効率である。このような煩わしさを一瞬で解消できるのが、CONVERT関数だ。
本記事では、CONVERT関数の基本的な使い方から業務での実践例、注意点までわかりやすく解説する。
CONVERT関数とは
エクセルのCONVERT関数は、異なる単位間の数値を簡単に換算できる便利な関数である。単位ごとの計算式を覚える必要がなく、数式一つで正確な変換が可能だ。
■CONVERT関数の概要
CONVERT関数は、長さ・重さ・温度・時間など、さまざまな物理的な単位を他の単位へ自動的に変換する関数である。建築設計、理科実験、国際物流など、単位換算が日常的に発生する業務で非常に役立つ。
たとえば「10インチをセンチメートルに変換したい」といった場合、関数1つで瞬時に結果を得られるため、作業の精度とスピードが大幅に向上する。
■利用できる主な単位の種類
CONVERT関数は以下のような単位に対応している。
- 長さ(メートル “m”、インチ “in”、フィート “ft” など)
- 質量(キログラム “kg”、ポンド “lbm”)
- 温度(摂氏 “C”、華氏 “F”、ケルビン “K”)
- 時間(秒 “sec”、分 “mn”、時 “hr”)
その他、圧力、エネルギー、速度、体積などにも対応
CONVERT関数の構文と基本的な使い方
CONVERT関数の使い方は非常にシンプルだ。以下で構文と基本的な使い方を解説する。
■構文と各引数の意味
=CONVERT(数値, 元の単位, 変換後の単位)
- 数値:変換したい対象の数値
- 元の単位:現在の単位(例:”in”)
- 変換後の単位:変換したい単位(例:”cm”)
■具体的な使用例
インチからセンチメートルへ変換する事例で説明すると、セルA1に「10」という数値があり、それをセンチに換算したい場合は以下のように記述する。
=CONVERT(A1, “in”, “cm”)

結果として、10インチをセンチメートルに変換した数値25.4が得られる。

よく使われる単位変換の例
CONVERT関数は日常業務でも使用する場面が多い。ここでは、実務でよく使われる変換例をいくつか紹介する。
■長さの変換(メートル・インチ・フィート)
メートルからインチ:=CONVERT(1, “m”, “in”) → 1メートルをインチに変換すると39.37008インチ

フィートからメートル:=CONVERT(3, “ft”, “m”) → 3フィートをメートルに変換すると0.9144メートル

■重さの変換(キログラム・ポンド)
キログラムからポンド:=CONVERT(5, “kg”, “lbm”) →5キログラムをポンドに変換すると11.02311ポンド

ポンドからキログラム:=CONVERT(10, “lbm”, “kg”) →10ポンドをキログラムに変換すると4.535924キログラム

■温度の変換(摂氏・華氏・ケルビン)
摂氏から華氏:=CONVERT(100, “C”, “F”) → 摂氏100度を華氏に変換すると212度

華氏からケルビン:=CONVERT(32, “F”, “K”) → 華氏32度をケルビンに変換すると273.15度

CONVERT関数を使う際の注意点
便利なCONVERT関数ではあるが、使用上の注意点もいくつかある。
■正しい単位記号を使う必要がある
エクセルでは「cm」や「kg」といった記号は決められた書式でのみ有効である。
たとえば「キロ」は「kg」だが、「g」や「lb」などと混同しやすいため、公式の単位一覧を参照して正しい記号を指定する必要がある。間違った場合は、#N/Aエラーが発生する。
■日本語の単位表記には対応していない
「センチ」「キログラム」などの日本語表記では認識されない。すべて英語表記(記号)で指定する必要がある点にも注意が必要である。